海外投資家を組合形式で国内株式案件に連れてくる時、どうしても忘れてはいけないあれの話

25%-5% ルール、その超面倒な実務とは?

最近、というか、まぁ、自分自身が国内の組合スキームのアドミ業務の紹介とかを取り扱い始めた頃なのでちょうど 2008-9年あたりから、徐々に海外の投資家を呼び込みたい、という国内の組合形式で投資する人たち、要はバイアウトの人たちとかベンチャーキャピタルの人たちとか、のニーズが高まってきて、そのために国内ファンドとケイマンファンドのパラレルスキームの話とか、国内スキームと海外スキームのメリット・デメリットの話とか、色々と比較検討をするなんてことをある意味ずっとやってきたような気がしています。

他方で、その議論の中で、逆になぜ海外の投資家さんが日本のファンドに投資しないの?(そりゃ、日本語読めないし、日本の法律わからないし)とか、海外ファンド経由でもなぜ入らないの?という話がよく出てきます。その大きな原因として常に挙げられる理由が、税金の話、なのですが、これがなかなか上は上から、下は下まで、今時の表現で「もやる」ので打開策がこう出てこない、という状態が続いているなぁ、というのが個人的な印象です。

で、実際に、その税金の件で最近実務的にあれこれやって、ああ、これじゃあ、という実感することがあったので、いつものようにちょっとピッチブック仕立てで作ってみました。とはいえ、この手の話は個別性が高いことを書くと、やれ税理士法が、とか、やれ守秘義務が、という話になるのであまり突っ込んだ話はできないのですが、それでも自分の備忘程度にはなるくらいの情報量にはなっているはず、なのでちょっとご覧ください。

Shareslideはこちら。

で、これを枕兼前提知識として、もう少し突っ込んだ話はこの本編であるブログの方でだらだらやろうかな、というのが、いつも通りのスタイルですので、もし長い話が気に入らない、耐えられない、つまらない、と言う方、ここらでお引き取りの程を。

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米国投資家向けファンド、その税務とストラクチャーの面倒な関係

私がファンドに携わったころ、アメリカの投資家を入れると厄介だから絶対に触るな、と当時の大ボスで今もなおヘッジファンド業界で著名な運用者として香港あたりで元気にされている方から叩き込まれた経歴があるにも関わらず、ファンドを作ってお金を集めるなら、投資意欲に旺盛な米国投資家を入れるべきだ、なんてしたり顔でいう御仁を身近にもつ私ですので思いっきり米国投資家さんの対応を体で覚えてきた(苦笑)のですが、そんなことを言えるのは投資家を入れた後の実務を手触りでやらないからだ!と、思いっきり言いたい訳でして、今回はそういう愚痴を思いっきり交えつつ、実務者の苦労の背景にいかにアメリカって国は。。。という話をしたいと思います。

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初めて人を雇った時に読む本

会社を始めて、パートの人でもいいから誰か手伝ってほしい!、なんて思いながら仕事をした経験はありませんか?人を雇えるくらい忙しく、仕事があるなんて羨ましい話ですが、会社を作ってやってみよう、と思ったビジネスの成功の最初の兆しでもあるので何はともあれ喜ぶべきことです。

でも、日本で人を雇う、というのは会社を始める時以上に色々と面倒があるって知っていますか?

会社を始める時にはどんな仕事であれ、会社法に基づいて会社のルールである定款を(世の中にたくさんダウンロードできる雛形に毛を生やした程度かもしれませんが)決めてハンコを押して、人生で初めて公証役場に出向いてその定款の認証をしてもらい、その書類と銀行残高の写しなど世の中にたくさん書かれている記事に従って法務局に行って会社の設立登記をして、その後に税務署と(東京都だったら)都税事務所に行って事業の開始届を提出して、やっと社長としての活動が始められる、ふぅ、って体験をしたわけですが、まだ、会社法だけのお話でした。

その後、一人でビジネスを進めて、うまくいったらやるべきことは一緒に仕事をしてくれる仲間を雇うことです。でも、人を雇ったら費用がかかるなぁ、なんて思うかもしれません。でもあなたの手の届かないことをやってくれることでより売り上げが上がる、と思ったら、雇う方が良さそうではないですか?

さて、人を雇った後、ちゃんとやったらどうなるでしょう。

ざっくり言えば、労働基準法に基づいた人を雇う環境を整えると同時に、最低でも労働基準法と労働契約法で求められる最低条件以上の雇用するための条件を準備した上で雇う人と条件交渉して、さて最初の出社日に働いてもらう横で雇用保険と労災保険と健康保険と厚生年金に加入するための事務所の届出をすると同時にて雇った人の保険加入手続きもしなければならず(労働保険は保険料の前払いすらせねばならず)、その横で税務署にも給与支払事務所としての届出をして、ちょっとしたら健康保険証とか雇用保険加入証が届くから雇った人に渡してあげて、さらにはさらに、働いてもらって増えたかもしれない売り上げからお給料を払う時に、健康保険や厚生年金、雇用保険の保険料と所得税の源泉徴収と地方所得税の特別徴収と称した金額を計算しては差っ引くは給与台帳に記録して、月末に健康保険と厚生年金の保険料を納付し、翌月の10日までに源泉徴収した所得税を納付して、年末には年末調整するし、毎年7月には健康保険と厚生年金と労働保険の毎年の手続きをして、9月になったら健康保険と厚生年金の保険料の改定が起こるし。。。

なんてことが目まぐるしく起こり続けるんです。それも、雇う人が増えれば増えるほどその手続きは発生して。。。

って、知ってましたか?多分、自分が会社勤めしていた時にこんなことになっていたなんて人事部に配属されたことがなかったら想像もしたこともないですよね。私も人事部に配属されたことはありませんが。。。

もし人を雇ったあと、何も知らずに何もしなかったら。。。

こんなこと、知らずに自分の理想を求めちゃう社長業に飛び込むのが普通です。で、雇って気づいて勉強しながらでも知っている人にお任せでもどちらでもいいのですが、手続きをしたならまだいいほうです。知らずに雇い始めてどこかのタイミングで、あれ?なんてことになったら目も当てられません。労働基準法違反から所得税法違反、などなど、ペナルティを受けるだけならまだいいほうです。仕事上で怪我とかされて、でも労災保険に入ってませんでした、となると、怪我の補償を会社で全額負担、なんて事業収益へのダメージが大変なことになります。

そういうお手伝いをしてくれるのが、社会保険労務士さんだったり税理士さんだったりするのですし、お願いをしたら助けてくれるわけですが。。。どうしても費用がかかりますよね。それ以上に、任せてしまうと自分の会社が何をどうしているのか分からないまま走り出すので、どこにビジネス上のリスクがある、ということを知らずにいることになります。ええ、実際に一度人にお任せでやっていたこともあるのですが、そのおかげで人を雇う・解雇する、ということのリスクや責任に対する自覚が低かったなぁ、と今思い返すと感じることでもあります。

ということで人を雇った時に自分で手を動かすこと方がいいとは思うけど

何をどう手をつけたらいいのか分からないですよね。会社の設立と同じように、世の中のブログ記事などで沢山書かれていて、あちこちに情報が散らばっています。ということは全体として何をしなければいけないのか、という俯瞰する作業がしづらいのです。しかも個別に調べていくので調べてかき集める時間もかかります。手間ですよねぇ。

ということで、そんな経験をもとにとうとう書いてしまいました。kindle本です!

この本では、会社として人を雇うときにやらねばならない手続きと、雇った人のためにやらねばならないことを、端っこから端っこまで全部カバーしています。しかも、このところの政府による電子申請への誘導もあることから、e-Govを使った電子申請の方法についてもその準備の仕方から実際の手続きの作業までも説明しています。

なぜこの本を書いたのかというと

ただのファンドのコンサルなスローステップスがなぜこんな人の雇い方みたいな門外漢的なことを書いたの?と思ったかもしれません。実際、ファンドについての本を書いている途中でこの本を先に仕上げたくらいなのです。

人を雇うこと、それは思っている以上に責任が重い

私自身、自分で会社を3つ立ち上げて、最初の時は上に書いたように人事労務関係は人にほぼお任せをしました。お金で解決できるのですから楽でした(笑)でも、正直言えば、仕組みをよく理解しないまま人を雇っていたので、いざ人を解雇することとかを考える時にいつ出来ていつ出来ない、とか社員の大変な時期をどう各種の社会保険で守ってあげなければいけないのか、ということをちゃんと理解せずにいました。

その後、スローステップスは人を雇うことなくやっていますからいいのですが、その次の会社で一から全部自分の手と頭で手続きを全部やってみたのですが。。。まぁ、大変でしたけどいい勉強になりました。

ところが、とあるお客様とのお仕事の際に、この辺りの仕組みを作らねばならない、となった時にちゃんと説明できない自分がいたんです。過去に一通り手を動かして届出とか全部やったにも関わらず、です。他方で、そのお客様も、残念なことに人に丸投げしようとして自分で何もしようとしなかったのです。それをみて、これは雇われた人を最低限のセーフティネットで守ってあげられないし、お客様自身も法令遵守リスク、特に労基署が入った時に基本的な整備が出来ていない、という問題があると思ったのです。

実際、労働基準法の求める被雇用者の保護というのは、年俸制の部長なのだから管理者として残業代(や深夜手当)を払う対象じゃないからタスクを完了しさえすればどれだけ働いても問題はなく、ただ約束した年俸を払えばいい、という勝手な論理で打ち崩せるほど甘いものではないのです。最高裁での過去の判例は結構雇うがわにとって厳しいものばかりになっています。それを人任せでリスクがどこにあるのか経営者が把握しないままでいる、というのは会社にとって危険極まりないですし、そこで働く人たちにとっても守ってもらえるものがない、という不安定な状況を作り出しかねないのです。

ただ、そのお客様との契約は当初の予定通りに終わることになっていましたので、その先のフォローをすることが出来ません。ですので、マニュアルの形できっちり残しておけばいざというときにみてもらうことでなんとかならないか、と思ったのです。

この本は、その急いで作ったマニュアルをより丁寧な形で、かつ、2020年11月24日に急にサイトのアップグレードをしたe-Govに出来るだけ内容を更新した形にしました。

本当は社会保険労務士が書いた、と言えればより箔が付くと思いますが、ここは会社をいくつもやって、水も甘いも知った実務者の観点で書いた、ということでまずは読んでいただけると、別の視点での労務仕事の大変さと重要さを知ってもらえると思います。

ということで、スローステップスの初の書籍、「クリック・レフス」レーベルからお届けする「初めて人を雇ったときに読む本: 新米社長のあなたに送る人を雇った時のお仕事一覧 (スローステップス・クイックリフス)」は2020年12月31日から Kindleで読めますのでぜひご覧ください!

おまけ

このブログを隅から隅まで読んだことのある人なら、あれ?と思ったかもしれません。そうです。二項有価証券のその他の権利の説明の記事の中で書かれていた、謎の収益分配プロジェクトで触れられていた本、なのです(笑)あれってでっち上げのフィクション、ってみなさん思っていましたよね。実は、実際に本の準備だけはしていたのです。ですので、この本の売り上げに参加するプロジェクトはないですからね(笑)

本の読み合わせ – 判断力は他人の影響に左右されやすいから、陰謀論を信じる頭のいい人もそれなりにいるし、2016年の不思議な選挙結果にも納得した、という3冊

突然ですが、おかげさまで、著者は方々で #みやたべろぐで有名になっているようでして、って今見たら、このハッシュタグに投稿する栃木は宇都宮のステーキハウスさんがいるようなので、もし世の中が問題なく出歩けるようになったら行ってみようかな(行ったら「#みやたべろぐ割引」よろしくね!って読んでくれることなんてないか(笑))、なんて食べ物に関してフットワークの軽い人、的に思われているらしいです。

ですが、これを書いている 2020年は、この年初から世界中で大流行してしまったCOVID-19の影響もあり、食べ歩いてそんな写真をinstagramや facebookにアップしていると

「食べ歩くなんてだめ。街を歩いている人で掛かっているけど検査すらしてもらえない人がたくさんいるんだから感染リスクが危ないのでWFH(Work-from-home)しなさい。」

なんて言っている本人は優しさを持って(でもかなり個人的バイアスのかかった事を)言っていることや

「こんな時に出歩いて食べ歩くなんて不謹慎だ。WFHって知ってるか?」

なんて、多分送ってきた人よりも私は随分早くからWFHを自分の人生で実践してきてるんだけど。。。と思うようなことを5月あたりまでに散々っぱら言われたので、正直心が挫けてしまい、世界が平和になるまでやめよう、と思っています。ずーっとお待たせしてごめんなさい。でも、そういう事情なんです。ここでこっそり謝らせていただきます。

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大事な家族を失った後、どうしてもやらなきゃいけないこと

つい最近のこと、若い頃から随分とお世話になった方が親族が亡くなりました。その家族にもとてもお世話になったので、こんな時にどうしたら力になれるか考えました。

と言って、金融にまみれてこの25年生きてきたこの身として、出来ることなんて言えば、フィナンシャル・プランナーとして残された家族がこれからどうしてもやらねばいけないことについて出来るだけわかりやすく説明しながら、実はいうほど時間が残っていない、ということを知らせること、と思って、このところの倣いで作ってみました。

https://www2.slideshare.net/ShinobuMIYATA/ss-239298138

とは言え、結局題材自体が重すぎるし、やればやるほど個別性の高い話になっていくので、一人で頑張っちゃうにはハードルが高い、ということを伝えつつ、法律にがんじがらめに縛られた役人の中でも特に厳格な運用で知られる(と、格好よく書いてみた)国税庁は時間も内容も厳しいから早めに色々と手を打ってね、というメッセージになる程度に省いてみたのですが。。。実際、今までで一番情報量の多いピッチになりました。なので、もし自分の時間が惜しいから簡潔に説明して、という人はこのピッチだけ読んでください。

そうでない、つまらないおしゃべりに付き合ってもいいよ、という人はもう少しお付き合いください。

せめて花束だけでも

人生最後の仕事は残された遺族に託すしかない

まず、最初に言いたいのは、どうやら年間で相続税を支払うことになったケースは 8%ちょっと、らしいということ。言い換えると、92%弱の相続については相続税を支払わないで済んでいる、らしい。でも、払わないで済むためには、相続対象の純資産総額、言い換えると、残された資産と負債の差額、が、基礎控除と呼ばれる相続の際の最低ラインを超えるか超えないか、の違いだということ、なのです。

実際、過去に私の一番近いケースの場合、よくぞここまで何も残さなかった、という祖母は当然のこと(それでも、相続と遺品整理はまた別の話。何も残さないくらいシンプルな田舎生活をしていてもトラック一台分の遺品は残ったし、その処理は思い入れの残った親族には大変だけど、そういう片付けをする業者さんにとってはあっという間、の程度だけだった、よう)ですが、昨年、10年を超える難病との闘病生活に対して、難病であることが認知されて認定されるのに最後の1年まで時間のかかった母のように収入がなく、年金をもらう手続きもできなかった人のようなケースならば当然計算するまでもない程度しか遺産も遺品も残らなかったのですので、極めて簡単な手続きで終わった記憶しかないのです。

ですが、人生80年から100年と言われて退職後には2億を残さないと老後の生活が辛い、なんて、証券会社とか無責任なフィナンシャルプランナーの話を信じてためた人ならば、残念ながら 3,000万円 + 600万円 x 法定相続人 という相続税の基礎控除以上の資産を残したことが分かった瞬間、さらに複雑な相続税の計算の泥沼に陥る、のです。

いや、だからと言って残さない人生を勧めるわけではないし、さらに残念な事実として、狙った通りの金額を残して自分のタイミングで人生を終える、なんてスティーブ・ジョブスくらいしかできないので、せめて死後の自分が手出しできない相続の部分は家族がなんとか出来るようにしておかねば、という気分にはなる、というか、相続に関する入り口の資料を作ってみたら思った、のです。さらに言えば、ここではそんな終活の準備を促す記事、ではなくて、むしろ残された家族への道標を示すのが本筋、ではあります。つい、忘れそうになるけど。

では託すにはどうしたらいいのか?

相続とかの税務だけが整理、だというつもりはありません。荼毘に伏すときに一緒に焼いてもらうためのものを指定し、形見分けをするためのものをどれにするのか(それに残りは捨ててもらって構わないのか)、だって、税務署の気にしないところであっても残った家族たちにとっては思い出の残ったものですから大事な話ではあります。

まずは資産を引き継ぐ前にそれまでの年収に対する納税、というハードル

とはいえ、金目のものについてはどうしても金額という価値がついて回る以上、時間的な制限すらある納税の対象にならざるを得ない、ようなのです。例えば自分のこの瞬間を思えば、いくつ世界中に銀行口座があって(残高はろくすっぽないけど)、証券口座があって、そのほかの金目になりそうな資産と、それ以上に、自分のクレジットカードが何枚あっていくら使っていて(ということは、マイレージやポイントがいくら残っていて)、どんなサブスク(そこには、Amazonプライムや Netflix 、Dropbox のようなそんな今時の物だけじゃなく、電気、ガス、水道、インターネットのようなものや、不動産の固定資産税だって含まれるワケだけど)にどのカード(クレジットカードだけじゃなく銀行口座からの自動引き落とし)を登録しているか、そして、それぞれの口座やカードで給料から、持っている証券からの利金や配当金、不動産からの家賃収入、ウェブサイトの広告収入や Kindle からの印税(もしあれば)、ヤフオクからブックオフまでの税務署が追っかけてくる可能性のある動産の売り上げ、果ては持続化給付金の入金まで、口座の移動明細のどこまでをまず「自分自身」が把握していることでしょう。

その上で、残る家族にそれぞれの口座へのアクセスの仕方を引き継げるようにしないと、そもそも自分の死んだ年の元旦から死んだ瞬間までの年収に対する準確定申告をするのが大変で、その申告と納税期限である(事実上)死亡してから4ヶ月以内に、その年の収入と控除できる費用を把握して、申告書を作って、納税するまで間に合うか、というのを考えておかないといけないようです。忘れないで欲しいのは、自分なら把握しているけれども、自分じゃない人たちにとっては初めての作業になる、ということです。

で、遺産相続、というドラマチックな話を。。。の前に

よく言われる話として、死んだら銀行口座が凍結しちゃう、ということ。実際、凍結するのは銀行口座だけじゃなく、クレジットカードだって当然に止まっちゃいます。クレジットカードのブログで書いているように、クレジットカードは持っている人の将来の返済能力に依存して発行されているのですから、死人に口はなく、当然稼げないワケだから(遺産を除けば)将来の支払いに対する信用力なんてないに等しい、ということで利用を止められちゃいます。

とすると、怪しいサブスクとかはいいとしても、この5年くらいで公共料金や税金はクレジットカードで払えるようになったのでクレジットカード払いに切り替えて、「あ、クレジットカードの有効期限が過ぎたままにしちゃったから払えず請求されちゃった」なんて経験をした人ならわかりそうですが、カードが止まると公共料金の支払いも止まるから水道が止まる、なんて事態にも。まぁ、口座を凍結されても同じことになるのですが。。。

なので、この辺りのライフライン系の名義変更と支払い方法の変更は最優先でやっておいた方が良さそうです。

そして、遺産相続、なのですが、資産だけが相続されるわけじゃなく

相続税、を計算するには、相続として何があって、どれを誰が持っていくの?という整理をしなければ始まらない、のですが、ピッチの中では、誰が、というところに遺書に予想外の名前が出てくるかも、とか、法定相続人に予想外の人が出てくる話を書きました。いや、遺書はさておき、知らない法定相続人が出てくるってなさそうで実際にあるのでご注意を。

そして、相続するものって、プラスの価値のある物だけ、ではないのです。例えばクレジットカードの未払い利用料(と、もしリボ払いなんてしてたら未払いの金利とか手数料に相当する金額もね)、サラ金からの借入金、そして住宅ローンの未返済分、さらには友達からの借金や、借家の家賃まで、払わなければいけない、というものは一通り、支払い義務を引き継がねばならないのですが、前述のように資産に隠れ資産がありそうなのと同じで、借金とか負債も当然知らないところに隠れている可能性は否定できません。

で、さらに厄介なのは、プラスの資産だけ相続してマイナスの負債は相続しません、という都合のいいことが出来ない、ということなのです。その代わり、例えば100の資産と40の負債と抱き合わせで相続して相殺した結果の 60を経済効果として相続して相続税を負担し、100の資産から40の負債を将来にわたって精算していく、ということが出来るです。

そして、8%の相続税の納税になるかどうかのテスト、とは

前述を踏まえて、例えば、全体で5,000万円の資産と400万円の負債があると、結果として経済的に残る4,600万円に対して、最初に紹介した「3,000万円 + 600万円 x 法定相続人 」という相続税の基礎控除額の計算をして、この基礎控除後に課税対象となる遺産総額が残るか、というテストをすることになります。この例でいえば、法定相続人が3人いれば基礎控除が 4,800万円、という計算になります。

その結果、この例や私の祖母や母の時のように、世の中の92%弱の人たちは、この計算をして課税対象がない、というと、相続税の呪縛から解放され、そうでない8%の場合には、相続税が全体でいくら掛かって、それぞれの相続人に対していくら負担がいくべきか(また、それを踏まえて、この人に資産と負債を寄せて最終的な相続税の負担をどれだけ減らせるか、のような作戦を練り出す)ことになるのです。

と書いただけでも、結構個別性が高いことがわかるでしょ?なので。。。

何をどうしたらいいのか、って人それぞれの部分が本当にでます。それまでの人生を反映している以上、それは仕方のないことなのだと思います。知人と最近話したのですが、その方も結構相続では手を焼いたそうで、相続の得意な共通の税理士さんのアドバイスをちゃんと聞いていれば半年アクションが早かっただけでも1億円の納税額の違いがあった、そうなのです。

他方で、相続の手伝いをします、と言って生前から手数料の無駄に高い信託商品とかコンサルフィーを取ろうとする銀行や信託の営業が本当に多いのも事実です。実名と実際の手口を思いっきりここで公開したいくらいですが、著者の品位を下げても仕方ないので我慢しますが、言いたいこととしては、銀行をはじめとした金融関係の業者はどうしても手数料という利益を優先せざるを得ないのにで絶対に相談する相手にしてはいけない、ということと同時にて、私もその一端にいるフィナンシャル・プランナーや税理士、弁護士と言った人たちの中でも相続に強い人、というのはいますから(全部任せるのではなく)そういう人たちの中立的な意見を元にした助けをもらいながら進めていくことを最初の選択肢に持って欲しい、と思っています。それが、残る家族に経済的に一番効果があって、かつ残された資産や債務などを通じた故人のひととなりや最後の日々の活動を思い出していく時間を作って行ける方法だと感じています。

まとめ

家族を失ってからの日々、というのは、私自身も感じましたが、日常と全く異なる感覚に襲われ続けるのに、常に様々な判断を求められ続ける時間、でもあります。当然、正しい回答を出すことが一番いいに決まっていますが、あの精神状態では何を間違ったか、何をし忘れたか、なんて反省することすら難しかった、と振り返って見ると感じます。

なので、大変な時間だから、一人で抱えず、でも、出来るだけつまらない人たちに捕まらないように。それで後になって、なんてことを、なんて後悔だけはして欲しくない。それがこの記事の1番の思いです。

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