ファンド – fund

ファンド (fund)とは、複数の資金の供給者(投資家: investor や資金の貸出人: loan provider / loan lender)から供給された資金を、予め定められたある一定の投資方法や戦略 (investment strategy)、目的 (investment purpose)や制限(investment restriction)に基づいて投資を行い、また投資資金を回収、再分配するための仕組みをいう。

一般的に、投資信託 (mutual fund / investment trust や Luxembourg FCP – fond commun de placement) のような契約により資金を保有・保全する形態、(J-) REIT や Singapore VCC (Variable Capital Company) と言った、(可変資本)株式会社法人の形態、そして limited partnership や商法上の匿名組合/民法上の任意組合のように、組合の形態をとるものと大別することができる。

似たような意味の言葉として、集団投資スキーム (collective investment scheme、略して CISと呼ぶ人もいる) という言葉がある。広義の意味としてはファンドと変わるものではないものの、国内では、投資信託や会社型投信のような有価証券扱い出来ない組合形式の投資形態のもの(金融商品取引法 – Financial Instruments Exchange Act でいうところの2項有価証券と呼ばれる、従来型である投資信託以外の投資スキーム全般)や、法制度を利用することで金融商品取引法上明確な定義に基づいて(2項含めた)有価証券とは呼べないがこのような意図を持って設定された投資主体を呼ぶことが多い。

Economic Substance でケイマン諸島はつまらないオフショアになる?

(書き始めた時には)気づけばもう2019年も残るところ1ヶ月を切ってしまいました。毎度のことながら、今年何か生産的なことをしたかなぁ、新しいチャレンジをしたかなぁ、なんて思い返そうとしますが、今年はオフショア国内のそれぞれで組合型のファンドを立ち上げたなぁ、なんて思えば確かに新しいことをした、といえそうだし、新旧のフラッグシップファンドでの資産取得も時間的なプレッシャーだけでなく取得時のちょっと複雑なストラクチャーを組んでみたり(良い子は真似しないでね。まぁ、詳細はいえないけど多分真似できないけどなw)と、事業的には生産的だったような気はするけど、革新的な何かが出来たか、といえば、まぁ、日本に数少ないセカンダリー戦略ファンド、ってことくらいかなぁ。まぁ、元々そういうことをするチームなわけですが。

と、ある意味事業と企業運営に忙殺されていたような一年っぽかったのですが、それでも、ファンドを作るとか、ファンドを買うとかしていると、日本や米国などの古くからある(と言っても、日本の法規制は2007年ですが、米国だと1940年の Investment Company Act や 1933年の Securities Act とかなり古くからある)投資家に関する法規制への適合性の確認のような問題もあれば、今回のような極めて新しい法規制の導入時期に対応しながら走らねばならない、というところで、やっぱりファンドっていうのは常に法規制との時代の要請への対応の歴史の積み重ねだなぁ、と感じたのです。

近年になるまでの法規制のメインが投資家保護の対象をどうするか、もしくはプロ投資家が投資に対するあらゆる制限をいかに解除していくか、という論点だったのが、近年の各国政府の注目するところが犯罪等の収益資金やテロリスト支援資金の移動防止、脱税・課税回避や資金隠し、という不法行為に対するところが一巡し、その次のステージに移って来ていると見られています。それが今回のお話となり、2019年のファンド業界で誰もが取り組まなければならなくなった Economic Substance のこと、なのです。

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ESG とか SDGs とか TCFD とか – (純)投資で本当に世界を変えたいの?

最近、投資の中に ESG – environment, social and governance- とか SDGs – sustainably developed goals – 、TCFD – taskforce for Climet-related Financial Disclosure – という言葉を散りばめて投資の呼び込みの手口を働きかける(ここ以上に怪しい)コンサルとか、投資を促そうとする運用会社とか、取引所とか(笑)果ては行政機関とか(爆)増えたというか、そんなのばかり、という気がして仕方がありません。

実際、最近私が深く関わっている、というのが公然の秘密になっている某運用会社で立ち上げたセカンダリー戦略ファンドのDDQ – due diligence questionnaire – も ILPA – international limited partners association – 要は世界的なプライベート資産への投資家の団体の標準的な質問票 (Questionnaire) に準拠するように数10ページにわたるものを作成していたのですが(ライセンス回避でファンド運用をしようとしている人たち(もしくは、その振りをして投資家のお金をいいように使おうなんて考えている不届き者ども)、本気でまともな投資家さんと向き合うならば名刺がわりにそれくらい作らないと、ですよ。と言って、これを作ったからと言って投資家が投資するわけではないですが。。。)、その後半の質問は主に、運用機関の ESG の取り組みのみならず投資先企業への ESG の取り組みの推進度合い、であったり、diversity and inclusion – 日本語ではそのままカタカナでダイバーシティ・アンド・インクルージョンで使われていますが、単純に社会とか組織の多様性にのみならずそこにより多くの多様性のある人や考え方、ライフスタイルなどを内包し受け入れていくか、という概念への取り組みについて答えることが求められていました。

また、ちょうどこれを書いている最中(といいつつ、既に1ヶ月以上経っています。あ、その時の雑感は某運用会社の従業員ブログに載せる、はず。今書き上がったから(笑))に毎年訪問しているベトナムの運用会社の投資家年次総会に参加した際にも、ベトナムのプライベートエクイティ投資にも拘らず(いや、欧米の贈収賄関連の法律のおかげで海外からの企業投資のリスクが最も高い国の一つ、とまで言われたこの国だからこそ、投資への安心材料として)、欧米のスタンダードレベルのESG 目線での投資判断を入れている、ということで、その投資のアドバイスをする ESGコンサル会社によるプレゼンまで行われたのです。

そこのいずれの根底には多分、日本より先を行っているだろう海外の投資家の投資・運用に求める社会への還元という考え方やそれ以上に超長期的なブランドイメージや経営資源の保全が根付いたものの表れ、なのかもしれませんが、そこは少数先鋭といえば言葉はいいが、実質平均年齢50才以上のおじさんたち6人プラスアルファな組織では最初からダイバーシティどころか偏りしかない組織ですので何を語りそれが投資のアルファに影響するのか、なんて難しいどころの騒ぎではないのです。

とはいえ、世の中はそういうことを求める風潮にあるわけですが、さて、本当にそれって投資を通じて実現できるのでしょうか。いくつかの、そしていくつもの現実を踏まえていつものように超個人的目線で語らせていただきます。ストラクチャーなのに的外れな投資を語るのか、なんて言わないように。

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