[投資のコストと効果] iDeCoのメリットは確定申告で得るあれだけではなくて

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以前書かせていただいた、30代から40代までの金融リテラシーを強化しよう、というメディアでオフショアの話というのはなかなか目立たなかったのですが、目立つコンテンツはどうしても、「ふるさと納税制度」、前回の「NISA」といった個人の所得税減税というお得感に訴求するような何か、というものばかりだったようです。その中で、同じように目立ったコンテンツとして、やはり昨年あたりから銀行さんが力を入れてきたのが、今回取り上げる iDeCoなのですが、某りそな銀行さんの店舗に貼られた某カタカナ五文字の喜劇俳優さん以外のポスターで目を引くのはどうしても、減税効果のこと。しかし、iDeCoはそれだけのためにやるべきことなのでしょうか。。。

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そもそもiDeCoってなに?

iDeCoとか言って、金融系商品にありがちなアルファベットな言葉ですが、じゃあ、これが何の略かといえば。。。 individual type Defined Contribution Plan – 個人型確定拠出年金の太文字部分だけ取ってキャッチーな言葉にしようとしたんだろうなぁ、ということが透けて見える感じ、ですね。でも、年金、という言葉が出てきちゃったので、どうやら適当に作られて流行った商品ではなさそうなことだけは見えてきました。むしろ年金ですので国の大掛かりな仕掛けが背景にありそうな。

というか、年金って何?

そもそも、この国の年金の仕掛けってこの瞬間、どこまで理解してますでしょう。知ってるよ、という人もいるのは分かるものの、大抵は年金手帳を持ってるけど、給料から天引きされてるけど、で止まる可能性が高いでしょうから、その辺りを基礎から丁寧に始めてみようと思います。

国民年金 – 実は誰もが入っている年金で、その筋ではいわゆる一階部分

(国籍問わず)日本に住み、働く人たちは法律に基づき、国民年金に入らねばならない、という国民年金法、という法律がありましてこれに基づいて、この国に住んで働いている20才以上60才未満の人は大抵この国民年金に入っています。

通常、「国民年金というと自営業の人たちが入るもの、会社勤めは厚生年金」、と思いがちですが、厚生年金の加入は国民年金法では第2号被保険者と位置付けられていまして、厚生年金の保険料として納められたものの一部が基礎年金拠出金という形で国民年金に拠出されて、自営業の人たちなどの第1号被保険者からの保険料とともに、世界最大の年金運用者として知られ(世界中の運用会社にちやほやされるから運用報酬を渋り倒すことでも知られ)る年金積立金管理運用独立行政法人(GPIFの方が分かる人の方がきっと読者では多いでしょうね(笑))運用され、年金受給者への年金としての支払いに回ったりする、という流れになっています。

ちなみに、いわゆる会社勤めの方の配偶者で認定基準年間所得が130万円未満の方は第3号被保険者ということで厚生年金の手続きの時に届出することで加入しますが、この時の保険料はただ。だけど、この第3号被保険者の分も厚生年金で基礎年金拠出金を拠出する時に負担していることになっている、のですから、実は稼いでいる人の配偶者でいることというのは年金の観点で言えば費用負担ゼロで年金をもらえるという非常に美味しいと言えますし、これって実は働く女性の数と労働時間を年額所得130万円で抑制している原因のひとつだということに政府は直視すべき事実だと思うのですがね。(関係者の方、見てますかー?)

厚生年金とか共済組合とか国民年金基金とか – 国民年金の上にあるその筋で言う所の二階建て部分とは

さて、一階部分の次は二階部分の話。第2号被保険者という勤め人な人たちが年金に入ると言えば思いつくのが厚生年金ですが、前述の通り、実はこれは国民年金に付け加えて入っている年金制度、なのですね。ちなみに、勤め人のうち、私企業に働く人は厚生年金法の第1号被保険者に当たって、第2号被保険者な国家公務員な人たちだと国家公務員共済組合や国家公務員共済連合会(後者はアルファベット三文字でKKRKokka-koumuin Kyosai Rengokai -になるので、日本中のあちこちにこれ関係の宿泊施設とか見られますが、プライベート・エクイティ・ファンドの大手、KKRKohlberg Kravis Roberts – とは関係ない、のは業界初心者のネタですな(笑))に、第3号被保険者な地方公務員な人たちだと、地方公務員共済組合や、地方公務員共済組合連合会、全国市町村職員共済組合連合会に、第4号被保険者な私学の先生方には日本私立学校振興・共済事業団に所属する、けどこれらは全部2015年10月以降、第1号とその他が一元化されたことでこうやって一纏めに厚生年金、と説明できるようになったそうな。ちなみに、そういう資金ですので、運用は。。。またGPIFさんが国民年金と一括して、とはならず、第2号以降はそれぞれの組織が運用して、第1号が国民年金と一緒にGPIFさんが運用しているそうな。そりゃ、GPIFの運用資産が大きくなる訳だ。。。

では企業に勤めていない国民年金の第1号被保険者な方に対する2階部分は何になるか、というと、国民年金基金というのがありまして、もし加入手続きをしたことのある人ならば分かるのですが、国民年金に上乗せしませんか、という資料を渡されたことがあるかもしれません。あれです。あ、ちなみに、国民年金の保険料に毎月400円上乗せして払ったら、「200円 x 付加保険料納付月」の額が年金に上乗せされますよ、という話がありますが、あれは国民年金の保険料の話なので、国民年金基金とは別のお話です。しかし。。。日本年金機構のページで説明がありますが、

これを払えば2年で元が取れますよ

とオススメするなんて。。。(汗)

ちなみに。。。第3号被保険者な勤め人の配偶者の皆さんにはこの2階建て部分はございません。そもそも一階部分がただなんだしさ、それ以上に何をタダで期待するのよ(ベーっだ)

厚生年金基金とか、企業年金とか、年金払い退職給付とか、いわゆるその筋のいう所の三階部分

さて、年金制度ってまだまだあって、国民年金に国民年金基金という上乗せがあるように、厚生年金には厚生年金基金という屋上屋のような仕組みがあったりしました。その昔、厚生年金の運用を企業が代行して行う代わりに企業側で独自の上乗せをします、という制度を厚生年金基金ということで1966年あたりから導入されていました。

こいつは勤め人ならば誰にでもあるもの、ではなく、勤めた企業の福利厚生の制度で設定されている企業に勤めるとある、という類のものです。しかも、これがあるときは、一般的にその保険料は企業が負担して雇用される被保険者からの拠出はない、というなんと太っ腹!まさに企業が従業員の退職後の豊かな生活のために準備してくれるとても素敵な制度、ですよねぇ。。

というと、とてもいい話なのですが、当然、これって企業側からすればコスト負担以外の何者でもない話ですよね。しかも、これをその昔は勤務年数や退職時の給与のようなある程度決まった要素で計算することで支給額が決まってしまう仕組みしかなかったものの、90年代に入るまでは株もインフレも自然に上昇するから給付するよりもそんな基金の資金は増えて問題はなかったのです。が、インフレもなければ株や債券の値動きがここまでぶれる世の中においては将来の支払いを約束することは、最悪企業からの追加持ち出しも求められて結果企業すら倒れるリスクも負いかねない、というところまできた基金が増えてしまいました。

そんなある日、リーマンショックも終わったところで、これまたアルファベット3文字で始まるヘッジファンド運用で儲けさせまっせと、詐欺を働いたAIJ投資顧問、という連中がその口車にまんまと乗ったこういった企業系の年金の資金を使い込んで消失させて(ついでに独立系運用会社の信用も失墜させて、メディアにオフショアファンドの信用に泥を塗らせて)しまったことから、かなり損害が広がり、2014年からそんなことを企業に任せてはいけない(じゃあ、国がやればいいの?という疑問はさておき)、ということで、厚生年金基金の新規設立は認めなくなり、また財務内容が悪い所は特に(五年以内に)代行返上して解散しなさい、という方針になったのです。

他方で、2002年に出来た確定給付型企業年金制度を利用して厚生年金の代行をしないけど退職時の条件で年金の支給額が決まる仕組みで3階部分だけの提供をする、という制度が出来ていてこれを利用したり、2001年に出来た、今回のiDeCoを含めた最終的な給付額は運用方法を選択した被保険者のリスクで行う確定拠出型年金制度の企業型(なので掛け金は企業持ち – マッチング拠出とかもあるけどここでは割愛ね)を利用するところが出てきたり、と、実はここには(3階を提供しないからiDeCoやっていいよ、という選択肢を含めて)色々なケースが存在します。

ちなみに、国家公務員など人たちにも同じような3階部分はありまして、特に2015年の一元化のあとでは、年金払い退職給付と一元化による制度移行の間を繋げるための「職域部分」と称するものがあります。これも解説はパスね。長くなるから。

さて、個人事業主などの第一号被保険者の人たちへの3階部分は、2階部分のない第3号被保険者の人たち同様に。。。実はありません、でした。が、2017年1月からiDeCoが一部の例外(制度の重複ということを避けるため、企業型の確定拠出年金に加入している時に、企業型年金規約がiDeCoに加入することを許容していない場合のみ加入不可。)を除いて国民のうち20才以上60才未満であれば誰でも加入できるようになったことで、実は、この3階部分としての iDeCoの守備範囲は広範囲なのです。

で、なんでこんな基本を説明したかというと。。。

これらの年金制度って、考えて見たら、一階部分も二階部分も支払っている保険料はある程度一定(毎年微妙に変わりますけど)ですが、支払われる年金も納付月数などからある程度計算できる一定の額、にお約束されています。いわゆる確定給付年金の仕掛けを利用していますが、前述の通り、年金の運用が上手でなかったり、AIJ事件のような運用以前の問題とはいえ給付金の財源を毀損するようなことがあれば、期待している将来の給付が実現できなくなるか、財源の元となる企業や国の財源に手をつけてしまい、根っこから破綻しかねないリスクがある、のです。また、少子化による保険料の減少と高齢化による年金給付額の増加、という根本的なキャッシュフローの前提の変化に対応していないのも明白ですから。。。まじヤバイんすよ(笑)

となると、個人で年金を守る方法ってこの制度上は三階部分で自分でリスクをとる、か、この年金制度の外で巨額の富を蓄えるか、のいずれかもしくはその両方のようです。とはいえ、年金制度の外で富を蓄積する、というのは、いくら税制上のメリットが期待できる生命保険商品を使ったりしたところですら、結局利益に対して個人の所得税なり法人化した企業に法人税がかかるわけですから運用益の再投資の効果が税金で取られる分だけ悪くなるのが単純に予想できます。としたら、年金制度の中ならば税金はかかりませんから、再投資という時間と利回りのマジックを最大限に利用した富の蓄積を目指せそうな気がしますよね。

このことを理解するにも、この屋上屋な年金制度をまず知っておくべきだと思ったわけです。いや、文字数稼ぎじゃないですから(笑)

で、確定拠出年金ってどういうこと?

ということで、iDeCoの説明にやっと入ります(苦笑)が、まず確定拠出年金の仕組みでも。キャッシュフロー的には、企業型なら企業が、個人型(要はiDeCo)なら加入する個人が、毎月一定の掛け金をこの年金制度に拠出していくのですが、問題は、この拠出したものをどう運用するか、なのです。確定拠出年金の場合は、運用先として複数の選択肢が提示されるのでその中からどれで運用するかを選択して行くことになります。例えば、iDeCo の場合、某りそな銀行だと選択肢として

  • りそな据置定期預金『フリーポケット401k』
  • 「りそなDC信託のチカラ ターゲットイヤー20X0年」など資産分散型投資信託が11本
  • 日本債券型投資信託が4本
  • 日本株式型投資信託が8本
  • 外国債券型投資信託が3本
  • 外国株式型投資信託が4本
  • 国内不動産(リート)が1本
  • 外国不動産(リート指数連動型投資信託)が1本

と、元本確保な定期預金を除くと実は確定拠出型年金向けに設定された投資信託に投資することになるのです。これが、もし日本生命にiDeCoの口座を作ったならば、その投資可能となる商品は

  • 「ニッセイ利率保証年金(10年保証プラス/日々設定)」
  • (なぜか)りそな据置定期預金『フリーポケット401k』

のような元本確保型商品と

  • 株式と債券の比率一定運用型投資信託3本
  • バランス リスクコントロール型投資信託1本
  • 国内/海外株式/債券指数連動投資信託4本
  • 国内株式アクティブ型投資信託3本
  • 海外株式アクティブ型投資信託2本
  • 海外債券アクティブ型投資信託1本
  • 新興国指数型投資信託2本
  • リート指数型投資信託2本

と、いう品揃えだったります。いわば、iDeCoの口座を開ける先である運営管理機関によりその商品の揃えが毎月の掛け金の拠出先の選択肢になり、その中で選んだ投資商品のリターン(それが定期預金だったり、その同等のリターンの生保であっても、もしくはリスクを取りにいっても)がiDeCoの年金積立期間の終了時期であるあなたの60才になった時の受け取り原資になるのです。

さて、運営管理機関によって商品の選択肢が変わるので、この運営管理機関を選ぶか、その取り扱い商品を選ぶか、と言った話になると思いますが、そのあたりの話は後回しにして、いつものようにキャッシュフロー分析をやってみたいと思います。ここから先は、確定拠出年金もiDeCoに話を絞っていこうと思います。

0. iDeCoの運営管理機関を選んで口座を開ける

何を始めるにもまずは口座を開く必要があります。今では iDeCoを提供する金融機関(運営管理機関、とこの場合は呼ばれます)が多くあります。前述のように商品の品揃えは機関ごとに異なりますし、手数料も、国民年金基金連合会への口座開設時の手数料の2,777円や月々の国民年金基金連合会への月次手数料の103円と信託銀行への月次手数料の64円の合計167円を除くと機関ごとに0円(楽天証券やSBI証券、大和証券)から数百円(りそなだと口座が給与振込口座ならば262円かそうでなければ316円、三井住友銀行やSMBC日興で一律255円、野村証券で資産額に応じて203円から283円まで、みずほ銀行で一定条件で0円もしくは255円、など)かなり開きが出てきます。

なお、NISAと同じく、口座を開けられる運営管理機関は一つだけです。複数を開けることが出来ません。とはいえ、管理機関の移動は可能ですが国民年金基金連合会への2,777円の支払いが発生します。その際は買い積み立てた投資信託などを持って移動出来るはず、ですが、移った先の運営管理機関が(系列の都合が主で)取り扱えない可能性が極めて高いので、売却して資金の形で移動することになります。

1. 月々の掛け金を決める

手数料が運用管理機関、ひいてはiDeCoで運用する商品の選択肢を決めるという気はサラサラないものの、月々の掛け金との兼ね合いを考えると、どうしても前述の手数料が投資効率に影響するというのは隠せない事実、でもあります。

さて、この掛け金、この後に述べる税金の効果を考えると、長期投資をしたいポケットだとか、毎月積み立てていくというのが投資を始めたばかりでは投資の効果を実感できない、とかを鑑みて出来るだけ大きく「張りたい」という気持ちになってしまうのですが、残念ながら加入している年金制度(年金制度の一階部分のカテゴリー)で上限額が決まってしまいます。まとめるとこんな感じ。

カテゴリー掛け金の上限額

自営業者等(第1号被保険者)月6万8000円(年81万6000円)(国民年金基金と合算した額として)
企業年金を導入していない企業に勤める会社員(第2号被保険者)月2万3000円(年27万6000円)
既に企業型DCに加入している会社員(第2号被保険者)月2万円(年24万円)
既に確定給付企業年金に加入している会社員(第2号被保険者)月1万2000円(年14万4000円)
公務員(第2号被保険者)月1万2000円(年14万4000円)
いわゆる専業主婦(第3号被保険者)月2万3000円(年27万6000円)

前述を思い出すと見えてきますが、第1号被保険者には国民年金基金以外の2階部分がありませんから、そこを補うためにiDeCoを、という意図があり、同じように3階部分のない企業年金のない企業勤めの会社員にも3階部分代わりを、DCなりDBなりに入っている人や3階もしっかりしている公務員には掛け金を比較的少なめに、ただのりしている(ベーっだ)専業主婦はもともとフリーランチで1階だけはあるので2階がわりに、という意図が見えてきますね。あ、最低掛け金額は月5,000円です。

と思うと、掛け金がいくらであってもそれに追加して月々167円と運用管理機関への手数料が乗っかるということは。。。最低額の5,000円としても3%以上、一般的な20,000円ならば 0.8%、目一杯の68,000円としても0.2% 以上の手数料がかかる(ということはその分パフォーマンスが最初から押し下げられている)ことになります。となると、手数料を払っても、最低でも年率1-3%のリターンを確実に出せる商品に積み立てていかないと手数料負けする(定期預金なんてもってのほか)、ことにな流のが見えてきます。まぁ、この次の税効果を考えるとそうでもない、のですが。。。いずれにせよ、この辺りを考えて運用管理機関の商品リストと手数料率との組み合わせを選択していくことになります。

2. 期中のキャッシュフローと税金

さて、iDeCo における投資期間、すなわち60才になる日まで、の税金の考え方は次のようになります。お待たせしました。みなさんお待ちかねの確定申告のお話ですよ。

iDeCo のために支払った掛け金と手数料(というか、手数料こみの掛け金、と言った方がいいですね)は全額所得控除の対象になります。どういうことかというと、企業年金等のない「協会けんぽ」加入な会社に務める年収が額面で600万円の東京在住の独り者の30代の男性(女性でもいいのですが)、という前提(面倒なのでボーナスなしの12ヶ月均等払い、って外資系みたい(笑))にします。

まず、600万円の額面の給与に対して、給与所得控除が 600万 x 20% + 54万円 = 174万円、となるので所得税を考える時の給与所得が 600 – 174 = 426万円、となります。

次に健康保険と厚生年金がそれぞれ(介護保険が不要だから:今の平成30年前提で)毎月のお給料が50万円なので、個人負担としては24,750.0円、45,750円ですので月額70,500円、年額で846,000円になります。これも丸々所得控除扱いです。

計算が面倒なので、生命保険も地震保険も入っていない、とすると、あとは基礎控除の38万円が控除されて。。。 426 – 84.6 – 38 = 303.4万円の課税所得を得たことになり、これに対する所得税は国税庁のサイトによれば (303.4 x 10%)万円 – 9.75万円 = 20.59万円、になります。

もしここで、月2万、年間24万円でiDeCo でやると、[(303.4 – 24) x 10% 万円 – 9.75万円] = 18.19万円となり2.4万円 (iDeCoの24万円の10%分)の減税効果があった、のです。ちなみに、これ、りそな銀行さんが広告で使う数値の根拠になったと思われる日本インベスター・ソリューション・アンド・テクノロジー株式会社さんの作ったシミュレーションだと 4.8万円になるそうですが、これは多分所得税率が20%適用だった計算なので、多分健康保険と厚生年金を低く見積もったからじゃないかな、と思います。

これが、もし同じ条件で1,100万円の給与だとしたら、給与所得控除が上限を超えているので 220万となり、給与所得としては 880万円になりまる。

次に健康保険と厚生年金が、月給で91.6万円なので保険料は46,035円と56,730円の月額102,765円。年額にして1,233,180円です。また、単純な計算で基礎控除の38万円が控除適用になって、880 – 123 – 38 = ざっくり719万円です。

この場合、税金はといえば、課税所得が695万円を超えていますので (719 x 23%)万円 – 63.6万円 = 101.77万円、となります。ですが、同じように月2万、年間24万円でiDeCo でやると、課税所得が 719 – 24 = 695万円となり、税率が 20%に下がります(控除額も減りますが。。。)ので [(719 – 24) x 20% 万円 – 42.75万円] = 96.25 万円となり5.52 万円の減税効果が出てくるのです。これはiDeCoに拠出した24万円の23%に当たります。これが最終的な課税率出会った20%を超えているのは税率区分を一つ下に押し下げる効果も手伝っているから、なのです。まぁ、このようなケースはちょっと稀ですが、とはいえ、所得税率の高い人ほど毎年の所得税を押し下げる効果が高いことがわかるかと思います。

という事で、もし毎年の所得が一定と仮定すると、所得税率が10%の人ならば10年分の税還付で1年分の投資が可能になります。運用とは別に10%の再投資する資金ができる、とも言えますよね。となると、所得税率が20%の人ならば5年分の税還付で1年の投資ですから。。。ま、そんな再投資、と思うよりも、運用管理機関に支払った手数料程度は回収している、と思う方が良いかもしれませんね。

それだけじゃない期中の税金のメリット

60才の運用期間の終了までは一旦入れた掛け金や掛け金で買い集めた投資信託などの金融商品を現金化したものを引き出すことが出来ません。となると、通常は毎月毎月掛け金を移動して(多分自動的に)とある投信などを買って持ち続けることになるはずです。

ですが、前述の通り運営管理機関はただ一つしか使えず、その取り扱い商品には極めて偏りがあるので、どうしても運営管理機関を移動してでもあの商品に投資したい!という時にはそれまでのポジションを売却して資金化して移動することになります。で、売却する、となると通常はキャピタルゲインが発生しがちですよね。となると、今だと20%の譲渡課税が掛かってきますが、iDeCoの口座の中での売却については非課税です!

なぜか。60才以降に発生する年金の支払いのところで(それでも、老後の生活を支えることを考えると当然に通常の所得税やキャピタルゲイン課税に比べれば課税額が安くなる形で)課税することが出来る、からなのです。いわゆる税の繰り延べ効果を年金の仕組みの中に取り込まれている、のです。

Exit となる年金の支払いの時の税務については後ほど細かく触れるとしますが、売却益への課税がないと思うと、案外気軽に利益の乗った投資対象を売却して、その後の市場環境や運用方針の変更に合わせて別の投資対象に乗り換えることができそうですね。通常の証券口座での取引で頭を悩ませる利益に対するキャピタルゲイン税の取り扱い(例えば同じタイミングで含み損のある投資対象も合わせて売却して含み益と相殺させてキャピタルゲイン税を抑える、など)を考えずに、もちろん買い付け時の手数料も気にせずに、機動的なアロケーション変更が可能になる、と思えば。。。って、投資信託をそんな風に回転売買に使っちゃダメですよ!

60歳を過ぎて年金受給者になった時に税金を納める事になるのですが。。。

さて、ずっと貯め続けてきたiDeCo な年金も60歳を過ぎると運用終了となるので、拠出することが出来なくなり、引き続き投資先のファンドで運用し続けるか、年金として給付を受けるか、と言う選択をすることになります。

ちなみに、何もせずに運用し続けても、年金として月々でも毎年でも継続して引き出していく場合でも、月に64円ずつ信託銀行に支払い続けることになります。また、年金として定期的に引き出しても、一時金として一括で運用資金を一気に引き上げても、一回につき432円が信託銀行に送金手数料として支払うことになります。そう考えると、60才になった月、すなわち確定拠出が出来なくなって最初の月、年金受給者となった最初の月に一時金で全額を引き出してしまうのが手数料的にはもっとも有利、と思えてきますよね。

税制についての比較をしてみましょう。

年金として引き出していく場合、雑所得扱いになります。所得税を知っている人だと、雑所得って一番メリットの少ない所得、と言う印象があるかもしれません。例えばFXや為替の差益だったり、最近ならば仮想通貨だったり。これが一時所得ならば50万円の控除があったりするのですが、公的年金以外の場合は本当に税務上の控除がないので収入金額から経費控除後の利益が20万円以上の場合には、その額を他の給与所得などと合算して累進課税の適用を受けることになります。

では、公的年金については、と言うと、流石にここまで厳しくはなく、こんな整理になっています。

65才未満の場合
公的年金等の収入の合計額割合控除額
公的年金等の収入金額の合計額が700,000円までの場合は所得金額は0。
700,001円から1,299,999円まで100%700,000円
1,300,000円から4,099,999円まで75%375,000円
4,100,000円から7,699,999円まで85%785,000円
7,700,000円以上95%1,555,000円
65才以上の場合
公的年金等の収入の合計額割合控除額
公的年金等の収入金額の合計額が1,200,000円までの場合は所得金額は0。
1,200,001円から3,299,999円まで100%1,200,000円
3,300,000円から4,099,999円まで75%375,000円
4,100,000円から7,699,999円まで85%785,000円
7,700,000円以上95%1,555,000円

これに基づいて計算すると、例えば61才の時に年間iDeCo からだけ 350万円を年金として引き出した場合、350万円 x 75% – 37.5万円 = 225万円が課税所得扱いになります。これがもし、70才になって、厚生年金からの年金支給を上乗せしまくって(65才から70才まで受け取らずにあと送りにすると最大42%ほど年金受給額が上乗せできます。)受け取り始めたら、この350万円に厚生年金保険などを上乗せして計算することになります。

もし、これを一時金として受け取る場合、退職所得と同じ計算が適用されます。どう言うことかと言うと、確定拠出年金の拠出期間に合わせた控除額を適用した退職所得扱いになります。所得控除のテーブルを載せるならば

勤続年数退職所得控除
20年以下40万円 × 勤続年数(80万円以下のときは、80万円)
20年超800万円 + 70万円 ×(勤続年数 - 20年)

例えば、21年間iDeCo に拠出したならば、控除額は 800万 + 70万円 x (21 -20) = 870万円となります。

と言うことは。。。税務的にうまくやろうとする一つのアイデアは

21年間、毎月2万円ずつ積み上げたとしたら、2万 x 12ヶ月 x 21年 = 504万円ですので、一時金として引き出す場合には、最終的に拠出額に対して73%勝たないと税金が掛からないことになります。

また、仮に870万円まで勝ち上がったとして、60才から全額控除となる70万円ずつを5年間引き出しても手数料を考慮せずに残額は520万円ですから、65才からの4年間も全額控除となる120万円を引き出し、70才で残額の40万円を引き出せばキャピタルゲイン課税を見事に逃れて全額引き出すことが可能だと言うことになります。

73%のキャピタルゲインを60才まで繰り延べたあと、かかる税制優遇を使うとうまく課税されずに引き出すことすら可能になる、のです。まぁ、実際は、厚生年金や企業年金の受け取りなども発生しますから、ここまで綺麗にいくはずはないですので、これはかなりファインチューンしたケースではありますが。。。

まとめ

本当は、こんなiDeCoにあった投資戦略(前述の例じゃないですが、最終リターンが70%を目指しても無税なのですからね。頑張っちゃいますよね。)とか、それを採用している運用管理機関とその手数料との兼ね合いまで分析するのが筋かもしれませんが、実はこのiDeCo と前回のNISAを使って、個人だから出来る超長期投資の世界的トレンドについて語りたくて仕方がないものですから、今回はここらで終わりにしようかと。

とはいえ、税制のメリットがここまであちこちに散りばめられたこの商品、出来るだけ若いうちに始めた方がオススメなのは確かです。が、NISAと iDeCoで毎月5万円を確実にためていく、と言うのは若い頃には厳しいですからねぇ。。。優先順位をどうつけるか、と言うAFPの腕の見せ所的な話でもありますが、それこそそう言う話は個別でお話すべきですから。。。