二項証券の「その他の権利」、見たことあります?

From "Slowsteps on Podcast"

どの名刺であってもコンサル仕事をするにあたって大事なのは「人の紹介」もしかりですが、このようなブログをはじめとする、露出というのも大事なようで、そのおかげで時々思いもよらないところからの逆「コールドコール」、いわゆる飛び込みのご相談を受けることがあります。

そういうコールドコールの場合でも、ちょっと(いや、そこそこたっぷりと)お話をして(こちらがちゃんとそれを真摯に取り組みますよ、という知識と経験と実績と見識を「きっちりと」お見せして)その次にちゃんとした報酬ベースのお話を、という段取りを取らせてもらいます。でも、こういう「出会い」だからでしょうか。その手前で突然返事がなくなってしまう、というのも残念ながら少なくないのも事実です。そういうのは、もしかしたら自己解決したのかもしれないし、他に出来ると思わせたところにお願いしているのかもしれないのですが、まぁ報酬の話もしていないところですのでより安いところ、という日本人(の特に金融関係で多い、いやまじで多いんです)特有の「勉強できるかどうか」という要求水準で試されたわけでもないので、「自信なさげに見えたかなぁ」、といつも思うところです。

とは言え、結果的にお金にならない話であっても、その後どういう形で「商業化した」のか、それとも「商業化を諦めた」のか、というプロセスと判断材料、というのは、実は今後の人たちのための糧になる、ということもあり、知りたいことではあるのですが、こういういきなり音信不通になってしまうケースだとそこがわからない。正直に言えば、知的好奇心の観点から困ります。話にオチがつかないことほどむず痒くて夜も眠れなくて(いや、それなりに寝てるはずですが、一応話の流れ的に盛らせていただいています(笑))困るものはない、のです。

ということで、そういう浮遊霊のように行き場を失って漂っている案件の中で、最近あった非常に知的好奇心を刺激されたお話をちょっとご披露しつつ、このウズウズ感も共有してみたいと思います。

まず「二項証券」、って知ってますか?

ここの読者ならば素人じゃないから知っているよ、という声が聞こえてきそうな質問ですね。はい、そうです。金融商品取引法第2条第1項で定義される「有価証券」に対して、「有価証券としてみなされる」権利(ええ、証券だなんて言いません。今時は紙きれを発行するなんてエコじゃないですから(笑))について同第2条第2項にて定義されたもの、のことですね。

この二項証券、とは、法律上では、こんな定義でして

一 信託の受益権(前項第十号に規定する投資信託の受益証券に表示されるべきもの及び同項第十二号から第十四号までに掲げる有価証券に表示されるべきものを除く。)

二 外国の者に対する権利で前号に掲げる権利の性質を有するもの(前項第十号に規定する外国投資信託の受益証券に表示されるべきもの並びに同項第十七号及び第十八号に掲げる有価証券に表示されるべきものに該当するものを除く。)

三 合名会社若しくは合資会社の社員権(政令で定めるものに限る。)又は合同会社の社員権

四 外国法人の社員権で前号に掲げる権利の性質を有するもの

五 民法(明治二十九年法律第八十九号)第六百六十七条第一項に規定する組合契約、商法(明治三十二年法律第四十八号)第五百三十五条に規定する匿名組合契約、投資事業有限責任組合契約に関する法律(平成十年法律第九十号)第三条第一項に規定する投資事業有限責任組合契約又は有限責任事業組合契約に関する法律(平成十七年法律第四十号)第三条第一項に規定する有限責任事業組合契約に基づく権利、社団法人の社員権その他の権利(外国の法令に基づくものを除く。)のうち、当該権利を有する者(以下この号において「出資者」という。)が出資又は拠出をした金銭(これに類するものとして政令で定めるものを含む。)を充てて行う事業(以下この号において「出資対象事業」という。)から生ずる収益の配当又は当該出資対象事業に係る財産の分配を受けることができる権利であつて、次のいずれにも該当しないもの(前項各号に掲げる有価証券に表示される権利及びこの項(この号を除く。)の規定により有価証券とみなされる権利を除く。)

イ 出資者の全員が出資対象事業に関与する場合として政令で定める場合における当該出資者の権利

ロ 出資者がその出資又は拠出の額を超えて収益の配当又は出資対象事業に係る財産の分配を受けることがないことを内容とする当該出資者の権利(イに掲げる権利を除く。)

ハ 保険業法(平成七年法律第百五号)第二条第一項に規定する保険業を行う者が保険者となる保険契約、農業協同組合法(昭和二十二年法律第百三十二号)第十条第一項第十号に規定する事業を行う同法第四条に規定する組合と締結した共済契約、消費生活協同組合法(昭和二十三年法律第二百号)第十条第二項に規定する共済事業を行う同法第四条に規定する組合と締結した共済契約、水産業協同組合法(昭和二十三年法律第二百四十二号)第十一条第一項第十一号第九十三条第一項第六号の二若しくは第百条の二第一項第一号に規定する事業を行う同法第二条に規定する組合と締結した共済契約、中小企業等協同組合法(昭和二十四年法律第百八十一号)第九条の二第七項に規定する共済事業を行う同法第三条に規定する組合と締結した共済契約又は不動産特定共同事業法(平成六年法律第七十七号)第二条第三項に規定する不動産特定共同事業契約(同条第九項に規定する特例事業者と締結したものを除く。)に基づく権利(イ及びロに掲げる権利を除く。)

ニ イからハまでに掲げるもののほか、当該権利を有価証券とみなさなくても公益又は出資者の保護のため支障を生ずることがないと認められるものとして政令で定める権利

六 外国の法令に基づく権利であつて、前号に掲げる権利に類するもの

七 特定電子記録債権及び前各号に掲げるもののほか、前項に規定する有価証券及び前各号に掲げる権利と同様の経済的性質を有することその他の事情を勘案し、有価証券とみなすことにより公益又は投資者の保護を確保することが必要かつ適当と認められるものとして政令で定める権利

金融商品取引法

これを読むと、ああ、1号と2号、3号と4号、5号と6号とが国内と国外とでペアになって、あとは7号で「有価証券として見做すことにより公益または投資家の保護を確保することが必要かつ適当」と、法律を作った時点ではないけれどもその後生まれた「投資家が投資しそうで、当局が介入しないといけなくなりそうな投資商品」を拾っているように感じますよね。

とは言え、実は今回取り上げたいのは、そこではないのに、投資スキームを拾ってしまう、本当の意味での catch-all、すなわち、今ないスキームを捕まえる法制度についてお話しようと思っています。それは。。。

該当する?しない?
該当する?しない?

最強のcatch-all、「その他の権利」

第5号の何気ない文言なのです。

その他の権利(外国の法令に基づくものを除く。)のうち、当該権利を有する者(以下この号において「出資者」という。)が出資又は拠出をした金銭(これに類するものとして政令で定めるものを含む。)を充てて行う事業(以下この号において「出資対象事業」という。)から生ずる収益の配当又は当該出資対象事業に係る財産の分配を受けることができる権利であつて、次のいずれにも該当しないもの(前項各号に掲げる有価証券に表示される権利及びこの項(この号を除く。)の規定により有価証券とみなされる権利を除く。)

イ 出資者の全員が出資対象事業に関与する場合として政令で定める場合における当該出資者の権利

ロ 出資者がその出資又は拠出の額を超えて収益の配当又は出資対象事業に係る財産の分配を受けることがないことを内容とする当該出資者の権利(イに掲げる権利を除く。)

ハ 保険業法(平成七年法律第百五号)第二条第一項に規定する保険業を行う者が保険者となる保険契約、農業協同組合法(昭和二十二年法律第百三十二号)第十条第一項第十号に規定する事業を行う同法第四条に規定する組合と締結した共済契約、消費生活協同組合法(昭和二十三年法律第二百号)第十条第二項に規定する共済事業を行う同法第四条に規定する組合と締結した共済契約、水産業協同組合法(昭和二十三年法律第二百四十二号)第十一条第一項第十一号第九十三条第一項第六号の二若しくは第百条の二第一項第一号に規定する事業を行う同法第二条に規定する組合と締結した共済契約、中小企業等協同組合法(昭和二十四年法律第百八十一号)第九条の二第七項に規定する共済事業を行う同法第三条に規定する組合と締結した共済契約又は不動産特定共同事業法(平成六年法律第七十七号)第二条第三項に規定する不動産特定共同事業契約(同条第九項に規定する特例事業者と締結したものを除く。)に基づく権利(イ及びロに掲げる権利を除く。)

ニ イからハまでに掲げるもののほか、当該権利を有価証券とみなさなくても公益又は出資者の保護のため支障を生ずることがないと認められるものとして政令で定める権利

個人的には、最初にこの話を聴いたときにまず思ったのが「え?そこで切るの?」と思ったのですが、まぁその前の法律の羅列を考えれば、まぁ、ここで切ってもおかしくないし、その後の条件についての説明を思えば「確かに」と頷かざるを得ない、とも思いましたが、実はこれが厄介なのです。

何が厄介かって?

この「その他の権利」ですが、この4つの条件のどれにも当てはまらなければ、その前に書かれた、世に知られている「投資事業有限責任組合」でなくとも、「任意組合」でなくとも、「匿名組合」でなくても二項証券扱いしなければいけない、というもののようなのです。

と言って、イメージが湧かないですよね。ストラクチャリングを生業とする私でも、あまりこんな特殊な形でファンドにする、なんて思わない(というか、だったら最初から上記の3つのどれかに当てはめます!)ので、こんなケースでご説明してみようと思います。

Slowsteps が Kwik Refs レーベルを立ち上げます!

この度、我がSlowstepsでは、Kindleを使った出版事業を行うこととなりました。名前は Kwik Refs (クイック・リフス) – Quick Reference の音から作った造語をレーベル名としてファンド業界の色々なお悩みの際に(Slowsteps blogの限界であった企業のセキュリティによるウェブサイトのブロックを回避し、より直接的な収益源となる) Kindle書籍というどこでも持ち歩ける書斎にある、いつでも参考に出来るあなたのもう一つの知識となりたい、という気持ちから名付けました。

第一弾として今回発表するのが、「初めて人を雇った時に読む本」です。

運用会社を日本で立ち上げて、金商法登録するのも大事ですが、そのためのチームとして人を雇わないといけませんよね。でも、日本では労働基準法など守るべき法律がたくさんあり、それに基づいた手続きもたくさんあります。世の中のブログなどで見つけることも出来ますが、一連の流れとしてまとまったものもありませんので、この一冊さえあれば大丈夫!というものを私が欲しかったので、書いてみました。

この後、第二弾として、「ファンドの教科書」も執筆中ですし、このレーベルで発表したい人からの持ち込みも大歓迎ですので、Kwik Refs が皆さんのバーチャルな本棚を埋め尽くす日も近いでしょう!

おお、そんないいレーベル、将来性があるじゃないか、と思ったあなた

Slowstepsでは株式割り当ての形で、この事業の将来の収益を分け合う予定はありません。今までもこれからも、Slowstepsは私自身ですので。

でも、もしこのレーベルの将来性に参加したい、ということでしたら原稿のKindle対応のためのシステム投資などへの協力金をご提供いただけますか。そうしましたら、このレーベルで発行した Kindle書籍の印税の一部をレーベル立ち上げから5年間お支払いいたします。

これが「その他の権利」に当たるんです。

え?と思ったでしょ?よくありそうな話ですよね。

(あ、先に言います。このような事業協力金の募集は行っていません。仮にこれを読んで早く立ち上げて出版してよー、という背中押しでしたら頂いちゃいますが、下記を踏まえると、ここで二項証券の募集をしたことになるのがいやですので避けるべく、印税の一部はお渡ししませんのであしからず。)

事業立ち上げにちょっと補助したら売り上げの一部にありつける、みたいな「いっちょ噛み」な話。しかも契約的には「事業協力金」の供与と、将来の利益の折半、の二つを組み合わせることなのですが、これをいわゆるファンドだと認定する次の4つの条件に当てはめてみましょう。

イ 出資者の全員が出資対象事業に関与する場合として政令で定める場合における当該出資者の権利

なお、政令で定められたものは

一 出資対象事業(法第二条第二項第五号に規定する出資対象事業をいう。以下この条及び次条第四号において同じ。)に係る業務執行が全ての出資者(同項第五号に規定する出資者をいう。以下この条において同じ。)の同意を得て行われるものであること(全ての出資者の同意を要しない旨の合意がされている場合において、当該業務執行の決定について全ての出資者が同意をするか否かの意思を表示してその執行が行われるものであることを含む。)。

二 出資者の全てが次のいずれかに該当すること。

  1. 出資対象事業に常時従事すること。
  2. 特に専門的な能力であつて出資対象事業の継続の上で欠くことができないものを発揮して当該出資対象事業に従事すること。

ロ 出資者がその出資又は拠出の額を超えて収益の配当又は出資対象事業に係る財産の分配を受けることがないことを内容とする当該出資者の権利(イに掲げる権利を除く。)

ハ 保険業法(平成七年法律第百五号)第二条第一項に規定する保険業を行う者が保険者となる保険契約、農業協同組合法(昭和二十二年法律第百三十二号)第十条第一項第十号に規定する事業を行う同法第四条に規定する組合と締結した共済契約、消費生活協同組合法(昭和二十三年法律第二百号)第十条第二項に規定する共済事業を行う同法第四条に規定する組合と締結した共済契約、水産業協同組合法(昭和二十三年法律第二百四十二号)第十一条第一項第十一号第九十三条第一項第六号の二若しくは第百条の二第一項第一号に規定する事業を行う同法第二条に規定する組合と締結した共済契約、中小企業等協同組合法(昭和二十四年法律第百八十一号)第九条の二第七項に規定する共済事業を行う同法第三条に規定する組合と締結した共済契約又は不動産特定共同事業法(平成六年法律第七十七号)第二条第三項に規定する不動産特定共同事業契約(同条第九項に規定する特例事業者と締結したものを除く。)に基づく権利(イ及びロに掲げる権利を除く。)

ニ イからハまでに掲げるもののほか、当該権利を有価証券とみなさなくても公益又は出資者の保護のため支障を生ずることがないと認められるものとして政令で定める権利

ということで、その政令で定められたケース、というのは

一 保険業法(平成七年法律第百五号)第二条第一項各号に掲げる事業に係る契約に基づく権利

二 本邦の法令に基づいて設立された法人(公益社団法人以外の一般社団法人及び公益財団法人以外の一般財団法人を除く。)に対する出資又は拠出に係る権利(法第二条第一項第六号から第九号まで及び第十一号に掲げる有価証券に表示される権利並びに同条第二項の規定により有価証券とみなされる同項第三号に掲げる権利を除く。)

三 分収林特別措置法(昭和三十三年法律第五十七号)第二条第三項に規定する分収林契約に基づく権利

四 次に掲げる者のみを当事者とする組合契約等(民法第六百六十七条第一項に規定する組合契約その他の継続的な契約をいう。)に基づく権利であつて、当該権利に係る出資対象事業が専ら次に掲げる者の業務を行う事業であるもの

イ 公認会計士

ロ 弁護士(外国法事務弁護士を含む。)

ハ 司法書士

ニ 土地家屋調査士

ホ 行政書士

ヘ 税理士

ト 不動産鑑定士

チ 社会保険労務士

リ 弁理士

五 株券又は投資証券(投資信託及び投資法人に関する法律(昭和二十六年法律第百九十八号)に規定する投資証券をいう。以下この号において同じ。)の発行者の役員、従業員その他の内閣府令で定める者(以下この号及び第二条の十二の四第二項第四号において「役員等」という。)が当該発行者の他の役員等と共同して当該発行者の株券又は投資証券の買付けを、一定の計画に従い、個別の投資判断に基づかず、継続的に行うことを約する契約のうち、内閣府令で定める要件に該当するものに基づく権利

六 前各号に掲げるものに準ずるものとして内閣府令で定めるもの

で、内閣府令で定めたものは(まだまだあるんですよ。。。)

一 株券の発行者である会社の関係会社の従業員が当該関係会社の他の従業員と共同して当該会社の株券の買付けを、一定の計画に従い、個別の投資判断に基づかず、継続的に行うことを約する契約(各従業員の一回当たりの拠出金額が百万円に満たないものに限る。)に基づく権利

二 株券の発行者である会社の取引関係者(当該会社の指定する当該会社と取引関係にある者(法人その他の団体にあってはその役員を含み、個人にあってはその事業に関して当該会社と取引関係にある場合に限る。)をいう。以下この号において同じ。)が当該会社の他の取引関係者と共同して当該会社の株券の買付け(金融商品取引業者に媒介、取次ぎ又は代理の申込みをして行うものに限る。)を、一定の計画に従い、個別の投資判断に基づかず、継続的に行うことを約する契約(各取引関係者の一回当たりの拠出金額が百万円に満たないものに限る。)に基づく権利

二の二 投資証券(法第二条第一項第十一号に掲げる投資証券をいう。以下同じ。)の発行者である投資法人(投資信託及び投資法人に関する法律(昭和二十六年法律第百九十八号)第二条第十二項に規定する投資法人をいう。以下この号及び第十条第一項第二号において同じ。)の資産運用会社(同法第二条第二十一項に規定する資産運用会社をいう。以下この号において同じ。)又はその特定関係法人(法第百六十六条第五項に規定する特定関係法人をいう。以下この号において同じ。)の役員又は従業員が当該資産運用会社又は当該特定関係法人の他の役員又は従業員と共同して当該投資法人の投資証券の買付け(金融商品取引業者に媒介、取次ぎ又は代理の申込みをして行うものに限る。)を、一定の計画に従い、個別の投資判断に基づかず、継続的に行うことを約する契約(各役員又は従業員の一回当たりの拠出金額が百万円に満たないものに限る。)に基づく権利

三 法人その他の団体が他の法人その他の団体と共同して専らコンテンツ事業(コンテンツの創造、保護及び活用の促進に関する法律(平成十六年法律第八十一号)第二条第三項に規定するコンテンツ事業をいい、これに附帯する事業を含む。)を行うことを約する契約に基づく権利であって、次に掲げる要件の全てに該当するもの

イ 出資者(当該権利を有する者をいう。以下この号において同じ。)の全てが、当該権利に係る出資対象事業の全部又は一部に従事すること(出資者の親会社等(令第十五条の十六第三項に規定する親会社等をいう。ロにおいて同じ。)又は子会社等(同項に規定する子会社等をいう。ロにおいて同じ。)が当該出資対象事業の全部又は一部に従事することを含む。)。

ロ 出資者の全てが、当該権利に係る出資対象事業から生ずる収益の配当又は当該出資対象事業に係る財産の分配を受けることができる権利のほか、次に掲げる権利のいずれかを有すること(出資者の親会社等又は子会社等が次に掲げる権利のいずれかを有することを含む。)。(1) 当該出資対象事業に従事した対価の支払を受ける権利(2) 当該出資対象事業に係るコンテンツの利用(コンテンツの創造、保護及び活用の促進に関する法律第二条第二項第二号に掲げる行為をいう。)に際し、当該出資者(その親会社等又は子会社等を含む。以下(2)において同じ。)の名称の表示をし又は当該出資者の事業につき広告若しくは宣伝をすることができる権利

ハ 当該権利について、他の出資者に譲渡する場合及び他の出資者の全ての同意を得て出資者以外の者に譲渡する場合以外の譲渡が禁止されること。

では、テストの時間です。

と。。。まぁ、これらに全部当たらないとその他の権利になる、と考えられてしまうのですが、上記のKwik Refsへの事業協力金の提供と将来の印税の一部の受け取りは、といえば。。。

イ、はお金を出した人がKwik Refs に対してお金は出すけど口は出せない、ので当てはまらないですね。この条件は出資者が事実上事業を運営している場合はリターンに責任を追うことになるので保護の対象ではなく、従ってその他の権利に当てはまらない、となるそうです。(あれ?任意組合や有限責任組合のような事業執行を求めるものは?というのはありますが、これもここで除外される??)

ロ、は出資した額以上のリターンを期待してやるわけですから、当てはまらないですね。この条件は、出資額を限度で帰ってくる(無論、出資額に至らないケースを含む)ことが最初から決まっているならば保護対象にしなくても、という発想のようですね。

ハ、は保険商品とか農協法とかの法律に定まったものか、というとそんなことはないので、当てはまりませんね。この条件は、まぁ、保険とか農協さんとか漁協さんとかの商品については別途法律があるから、そっちでね、ということなのでしょう。

で、最後のニ、ですが。。。1から3は、ある意味前述のハの延長、4は士業の方々だけの組合、5は株などの発行体が買い戻すためのスキーム、なので、ここまでは当てはまりませんね。で6の深いところにいきますが、1と2、2の2はこれまた株の買い戻しもしくは買い集めの仕組みなので違うし、3はコンテンツ事業を共同ですることを決めた契約について、で近いのですが、共同事業じゃなくお金を出すだけ、ですので当てはまらないことになります。

ということで、これら全部に当てはまらないと、この事業協力金を払って印税の一部を回収するというスキームで得てしまう印税受け取りの権利が「その他の権利」ということで二項証券扱いになってしまう、と判断され得る、のです。

となると何が起こるかというと、この一連の契約を締結するには第二種金融商品取引業者さんが取り扱わないといけないことになってしまうのです。だって有価証券ですから!

で、本当に金賞業者さんがこんなの取り扱えるの?

ここからがこの記事の本題であり、多分これを読んでいて、あれ?うちの件?と思ったあなたにお届けする、途中で検討を止める引き金となった問題点です。(似てても、他人の空似です。)

二種業者は実は楽ではない

二種業者というのは、株や債券の売買のように、売買があって取り次いだら仕事が終わり、ではないのです。しかも、取り次ぐにも、お金を出す、と言っている出資者がプロかそうでないかで手続きが違うくらいなのですが、二項証券というのが長期にわたるカスタマイズされたファンド商品がメインにある一方で一度組成されて終わるまで、その実態を知る関係者が限定されることから、当局による監視や監督が行き届きにくいため、取り扱った二種業者にその後のモニタリングを行わせて年次で当局に報告させる(それもその契約が終了するか出資者が契約から離脱するまで)、ということが行われています。

その内容としては、金銭の分別管理が継続して行われているか、とか、組合で共同保有している資産や負債の内容や金額、監査が行われているか、純資産価格はなんぼか、など、多岐に渡ります。

ん?待って?さっきのKwik Refs の話に戻りましょう。

報告要件が報告できない権利って。。。

そもそも事業協力金ですので、お金は渡していただいたら、ポケットに入って他の資金と同じく私のものです。また、資金を使うかどうか分かりませんが、Kindle 書籍にするための環境、仮に新しい(Apple Silicon ベースの) MacBook Proやモバイルモニターを買うか、買わないか分かりませんが、私のものであって出資頂く方との共同保有にならないですよね。そういう共同保有・利用契約がないですから。とすると、出資に対応する持分って、何が評価されるか、って。。。。将来受け取る予定の印税額って分かりますか?売れるかどうかわからないですよねぇ。もちろん、Kwik Refs 事業単体の監査だってしません。というか出来ません。

となると、仮にこれを二種業者さんに売り歩いてもらって資金調達(いや、事業協力金、という名前の売り上げ)をかき集めたとしても、その二種業者さんは毎年、何もかけない持分に関する報告をすることになります。怪しい、としか思われませんよね(笑)確実に立入検査の上ヒアリングで事情説明、他のこともきっちり説明せねばならない、という不幸な状況に突入する、のかもしれませんし、その他の権利はそういうものだ、で終わるかもしれません。

この話の顛末でも

そんな報告でいいのかどうか(言い換えるならば、二種業者が本当に取り扱える「その他の権利」とその報告義務の遂行性)、という調査をする手前で話が止まった(言い換えます。ばっくれられた)ので、これ以上の話も責任持ってできません。ね?面白い、マニアックな議論でしょ?止めるなんて勿体ない。。。

まぁ、株式会社を最初に複数で立ち上げた時の株の引き受けを考えてみれば、一項証券だけど証券会社さんが年間100万件前後登記されて生まれるにも関わらず通常入りませんよね。それは身内の間の交渉の結果、という見ず知らずの人の介入のないところだから、という話でしょうから、ベンチャー企業がラウンドほにゃららで、そこそこの金額の戦略的出資を大手企業から受けるために第三者割り当てする、って時にはちゃんとした方がいいでしょう。

今回検討したダミーの件だって、以前記事にしたメルマガで不特定多数に合同会社の社員出資を煽るが如くこんな風にウェブサイトでダミープロジェクトを立ち上げて入金を呼び掛ければ勧誘行為が発生した、となるかもしれません(ので、事業協力金は絶対に送金しないでくださいね!)が、仮に私が近しい誰かさんのひとり二人に事業協力金の代わりに出稿依頼の対価としてこんな話をしても、募集とは刺されないでしょう(むしろ、単純な成功報酬ベースでの執筆業務の業務委託契約でしかないですね)。

ということで、本件、実は、金融商品取引法が一番分かりづらいとされている、対象となる募集・勧誘行為とは、というのも念頭におかないとただのマニアックな迂回スキームを作って無駄な苦労を楽しんでいるだけ、になってしまう、という話なのかもしれません。

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