同義語 – 金融に創造性は不要、なのか、時代が繰り返されるだけなのか

私を仕事を通じてご存知ならまさに周知の事実ですが、金融の中でも「すみっこ」の領域をいくつも歩いて気付いたら20年も居させてもらっていますが、その時間と領域をあれこれ渡り歩いたおかげなのか、最近いろいろなものに既視感を覚えることがあるのです。多分本人たちは創造性を駆使して作り上げた、というのかもしれませんが、過去に別の領域では普通に行われてきたことで、それが出てくること自体が市場環境の、世にいう「フラグが立った」状態になりつつあるんじゃないか、という数学で言うところのフラクタルというかまるっといえば類似性すら見えてきているんです。最近。いや、人間ディープラーニングやっている訳ではないのですが。。。

ファンドにレバレッジをかけて投資しませんか?

こんな商品アイデアはどう?とちょっと話を聞いたのがこんな話でした。投資対象は担保付きのシニアデットというファンドで一応某公募規制に準じた作りになっている。それをこの低金利時代にセクシーなリターンの取れる安定収益型の商品にしたいから、4倍レバレッジになるようなラッピングをするファンドに仕立てたいのだけど、というのだ。ちなみに、投資対象となるファンドは再投資はするものの、償還期限日を決めているので、投資対象となるシニアデットの償還日もファンドの償還日を超えないようにするそうな。ということは高金利を狙って、新規資金が入るごとにデュレーションを出来るだけ長くしつつも償還日の手前になるものを buy-and-hold するんだろうな、というのが予想できる。

ふーん、と思って聞いていたけど、聞きつつイメージしたのはバランスシート的にはこんな図。

これ、ファンドの人だと、ふーん、そうやってレバレッジが掛かるんだ、と思って眺めてくれると思います(多分)。でも、この商品、どこかで見たことがあるような。。。あ。これだ。

CLO ですわ。ざっくりこんな感じ。

そっくりさん商品、現る(いや、昔からあったから)


一応元利金の返ってくる可能性の高い銀行貸付債権をCLOをやる器(信託でもSPCでも可)に譲渡(といっても、債務者に第三者対抗要件通知をするかどうかは別)して、優先部分を市場金利に色を付けた程度(?)の固定利付商品にして売って、格付け(べーっ)と協議した(貸し倒れリスク等に基づく返済不能可能性)リスクの残りそうな部分に対応した劣後部分を債権譲渡した銀行が抱える、というのがCLO。

構造的にはほぼ一緒。もちろん、シニアデットのファンドへの投資、という意味で一枚器を挟んで、かつその債権の取得の選別を運用者が投資目的や投資制限等の中で行って組み入れて、というのに対して、パススルー型のCLOならば譲渡した貸付債権の元利金をまずは優先トランシェの元利金に、その後劣後持ち分にそれぞれ配分するから違うように見えるものの、仮にパススルーでなかったら利金は優先と劣後に順序良く渡すけど回収元本で銀行からCLOの組み入れ条件に合致した債権をある意味買い取る形で譲渡を受けるようにすることで再投資するようにしていたので、さらに商品の類似性が高まってきます。

しかも、器での債権取得・処分の責任をライセンスを持った運用会社がファンドのガイドラインに基づいて行うか、オリジネーターが案件における表明保証の範囲と格付け等と一緒になって事前に定めた組み入れ債権適合基準で選別して譲渡・引き上げを行うか、という違いと、市場から買ってくるのか自腹の債権を譲渡するのかというソースの違いは確かにあれど、ガイドラインなのか基準なのかってほぼ日本語か英語かの違いでしかない。

さらに構造とかキャッシュフローとかで似てるのと言えば。。。

でまぁ、あまり言いたくはないのですが、これらの構造ってこれにも実はそっくりでして。。。


はい、複数の不動産物件を保有するJ-REITや私募リートですね。ローンを使って取得の際にレバレッジを掛けてしまうと、図式の中では(以前書いた不動産投資の分析の記事の通り)賃料収入が収益源の不動産持ち分が、ただの変動金利な債券と変わらなく見えてきてしまいます。

ちなみに、J-REIT で4倍レバレッジというか、ここでは不動産投資的に言い換えるとLTV (Loan to Value: 総資産有利子負債比率) 75%とここまで高いものはないようですが、ここでは比較のためだけ、ということで。。。

で、思うことは。。。

まあ、最後のが似ているというのは言い過ぎかもしれませんが、最近の調達コストに対する投資リターンの低下に伴うハイイールドアセットへの投資嗜好が高まっている状況において、企業向け債権のキャピタルストラクチャーの違い(優先債権/普通債権/劣後債権/優先株/普通株/劣後株)とか貸し出し手の違い(バンクローン/銀行貸付債権かその他のプライベートレンディング/プライベートデット)か、担保付きか無担保か、企業の格付け(べーっだ)が投資適格なのかそうでないのか、それに伴う流動性の高さというか低さなどの組み合わせをどこまでもどこまでも試し続けて、高金利だというものをひねり出す作業しかやっていないように見え、かつそんな性質のアセットと、キャッシュフローを生み出すから、というだけで不動産(一時期あったMLP-プライベート・エクイティ持ち分で上場したものなどもですね)までもが同じ土俵で利回りの比較をして云々しているのは、昔見た、不動産投資のイールドが不動産特有のリスクプレミアムを度外視してでも国債よりわずかに上回っているから投資していいんだ、と豪語したCMBS の組成販売をしていた外資系証券会社の姿に重なるものがあるんですよ。

また、劣後部分の商品化も、リーマンショックの前夜くらいにとある投資銀行が劣後部分だけをまとめたポートフォリオを投資信託化して富裕層に売りたいんですけど、と持ち込んできては
「このポートフォリオに格付けがついているからファンドの維持費用見合いのキャッシュフローは必ず出ます!」
と、この格付け嫌いの私に説得しようとしている姿がちらつくんですよ。

10年経てば商品のリスク管理能力も高まっただろうし、格付けも馬鹿みたいに後追いで格付けを引き下げることももうない、はずはないか。金融の世界に絶対はないからなぁ。。。

とはいえ、まさか、商品アイデアがあちこちで焼き直されてイノベーティブに提案されるとは。でも、無理はないか。結局金融の世界、出来る事はどんなアセットであってもせいぜい「買い持ち、売り持ち、借り入れ」しかないのですからねぇ。。。そりゃストラクチャリングでイノベーティブな商品が出来ないわけだ(って自己の存在否定をしてみたり)。。。

ファンドにおける中立性は誰の為といえば、投資家の為。

こんなべたなことがあったとは到底思わないけど でもねぇ。。。sigh

こんなべたなことがあったとは到底思わないけど でもねぇ。。。sigh最近、「わが社に新人が入った時に(本ブログを)読ませるようにしています。」と、言って頂くことがあり、ちょっと内容以上に文調(と誤字脱字)に慎重にならねば、なんて思って書くペースが遅くなってます。ごめんなさい。

さて、いきなりの表題、何があったんだ、と思われそうですが、ご存知の通り著者は第三者がファンドに関与することで最終的に世界的な標準となっているファンド・ガバナンスが適切に機能したファンドを日本市場で理解を得て、普及していきたいと考えて仕事の機会を頂戴したり、こうやってインターネットの隅っこでいろいろ書かせていただいている(と上記の事情で舌を噛みそうな言葉使いになっております。。。)のですが、そんな中、ちょっと残念なニュースが飛び込んできたのでご紹介しつつ、表題の目指すところについてちょっと私情全開で書かせていただこうかと思います。

独立系ファンド・アドミが詐欺行為に幇助?

こんなニュースが今月とびこんできました。

Private Fund Administrator Charged With Gatekeeper Failures

ざっくりとした内容は次の通りです(が、当局のプレスリリースですので、内容の正確性はプレスリリースをご覧いただき、個人個人でGoogle Translation など使って翻訳するなりして理解してください。下記は著者のいつものざっくり要約ですので正確性は保証しません!)

米国SEC はファンドに事務代行業務を提供する会社が、2つの顧客に関して、その問題に対して留意せず、また不完全な会計処理を修正しなかったことに対して、350,000米ドル以上の罰金を支払うことに同意したことを公表しました。

Apex Fund Services (US) が明白な詐欺の兆候を見逃し、もしくは無視し、米国SEC から詐欺として処分を受けた二つのファンドと契約して、帳簿を記録して財務諸表を作り、そしてそれぞれのファンドの投資家向けの報告書を作成していたことを米国SEC が調査していました。

「ファンド・アドミはファンドの資産評価とその存在について正しい情報を提供することを確実にする責務を負っているが、Apex はそのゲートキーパーとしての役割を果たさず、SEC の介入までの間それぞれの運用会社の固執するスキームを本質的に可能とさせていた」とSECの高官は説明してた。(以下略)

ファンド・アドミが果たすべき役割とは?

ここで興味深いのは、米国金融当局はファンド・アドミがファンドのゲートキーパーとしての責務を果たすべき、と考えている、ということです。言い換えるならば、ファンドが投資家の資産として適切にファンドの契約書などに記載されているように運用に使われるかどうか、ということを監視する役目としてファンド・アドミに期待されている、ということなのです。

これは、Madoff 事件以降の米国当局のスタンスとして捉えるべきことでもあると思います。それまでアメリカではヘッジファンドの運用とアドミを運用者が兼務する、もしくは運用者の関連会社が行うことで費用を抑えるなどの効果を求めていたところ、Madoff 事件を受けて運用者とアドミの間に資本関係のないことを求めているのです。その意味ではアドミにはより中立的な立場(もしくは少なくとも運用者に相対する立場)でファンドの運営の管理を期待されていた、ということでもあったのです。

ところが、今回の事件においては、第三者的立場でファンドの運営にかかわるべきだったファンドアドミが、運用者のある意味いいなりになって運用に関連性の薄い送金先に送金を行ったり、ファンドの評価や投資家の持分について誤ったまま投資家に送付し続けていた、というところに、詐欺事件の幇助ということも手伝って当局の期待を満たさなかったと言う事での罰金処分となったと言えます。

では、一般的にアドミに求められるものは何でしょう。

ファンドの運営に関する事務一般を執行すること、というのが基本にある中で、ファンドの評価や資金や証券と言った保有資産の保有・移転に関する指示(保有自身はカストディアンが行います)、投資家の異動(投資持ち分の購入による保有者としての名義登録や、譲渡に基づく持ち分移動の記録、そして売却に基づく地位喪失といった履歴や個別投資家の持ち分管理自体はトランスファーエージェント、日本で言うところの名簿管理・名義書換業務にあたりますが、通常兼務するか投資家管理に特化した兄弟会社に実務を集約するので、アドミが一元的に窓口になるケースが一般的ですので、厳密にはアドミの仕事ではないものの、広義の意味でアドミの業務としてここでは扱うとします)やそれに関連して投資家の(FATCA/CRS対応を含めた)本人確認などが通常期待されています。

これらの業務は投資・運用からみると比較的「受け身」になりがちなのは、それらの業務が指示や依頼を端として業務が始まることが大きい事や、その性質上独自の判断や情報(資産評価情報は特に)に基づいて行うことが極めて少なく、また与えられた指示や情報に基づいて行った作業結果に誤りがあった場合の影響の大きさもあるため、でもあります。そのため、アドミ契約をよく見ると結構免責条項が入っている、と言われるのですが、自らの事務エラーではない限りは外部からの情報に極めて多くを依拠しているので自らを守る必要性が高くなっている今は当然に求められるものではありますし、では依頼されたものはすべてやるから免責か、というと対投資家などを考えてファンドの契約書関連にないことはしない、とすることでファンドのために役割を果たす、という立ち位置を明確にしているものがほとんど、ではあるのです。

では、この業務上の役割から要請されるものと、前述の行政当局が期待するものとの間に不整合があったのか、というと個人的には基本的にはないはず、と思う一方で、AIJ 事件以降に年金の資産を受託する日本の信託銀行に対する過度の期待に似たものがあるのでは、という感覚が残るのは正直なところではあります。それは比較的受け身になりがちな業務に指示や情報の再精査を積極的に求めている、というところの温度差、でしょうか。現実問題として、ファンドの契約書にない払い先などについては、当然に見つけ出してしかるべきところですので、温度差であって実務上は基本的には組み込まれているもの、だとは思うのです。

とすれば今回の問題は、ゲートキーパー機能への疑念、という取り上げ方をされていますが、実質的なアドミのファンドの諸々の契約書類に書かれた業務の不適切な執行であり、適切な執行への故意もしくは重過失での不作為であった、と理解する方がすんなり腹に落ちるのかもしれません。

今回の事件の意味するところ

これがすべて、だとは思わないものの 波及的効果だけは起きてほしくないなぁ、とさて、今回の事件から私たちは何を学ぶべきなのでしょうか。

いろいろな解釈が可能になってしまいました。

一番願わしくない解釈はこうでしょう。

「だから、独立系のアドミは信頼ならない。はやり大手企業系ですべてを抱えてその企業の責任としてファンドを管理運営せねばならない。」

果たして本当ですか?残念ながら、大手銀行系アドミによる毎年のNAV算出のエラーに基づく損害賠償金の額は年々増えているそうです。これは米系だから、欧州系だから、(もちろん日系だから)では片付かない問題になっていますし、だからこそ前述のアドミ契約での免責条項にNAV算出に関する免責が年々長くなっていることでもあるのです。

また、前述のオフショアを中心とした海外のファンドの潮流としての、ファンド運営の第三者性の担保という話に思いっきり逆行している話だということにも気付いてほしいところです。当然に一つの案件からの収益の抱え込みは企業グループにとっては効率的な収益源になるため狙いたいのは分かりますし、商品販売の際に、「グループで責任もって面倒見ています!」という言い方をしたいのもよくわかります。でも、ファンドの関係者間の利益相反をどうやって解決するのか、考えてください。ファンドは誰の投資のためであって、誰の利益を最終的に最大化するのか(それはフィーの値下げで利益幅をわずかに広げるのが最大化と呼ばないことにも気付くべきことです)、今一度考えて頂きたいところです。

これ以上書くと某社さんの上層部から怒られそうですので、次の解釈に。

「外部のアドミでも結託可能なのか。じゃあ、詐欺案件出来そうなアドミ、小さいところをだまし込んで。。。」

えっと、なめるなよ(怒)では次。

「外部のアドミでも結託される可能性があるのか。そうしたらむしろ自社のアカウントに運用権限を与える形での運用に限定するかな。。。」

大手機関投資家さまでしたら、確かに可能なお話です。マネージド・アカウントの元々の発想がそうですから、アリだと思いますが、失礼ながら御社の事務担当の方が付いてこられるでしょうか。。。

「外部のアドミでも信頼を汚されるリスクがあるならやはり内製化したほうが。。。」

ちょっと待ってください。今回は詐欺の意図をもった運用者がまずありきなのです。しかも一人はSEC登録しないで運営していたくらいなので、詐欺師は法の外からやってくるのです。ですので、大事なことは、ファンドの関係各社を見て、適切な情報開示を要求して対応することを見ながら、このファンドが信頼できるのかどうか投資家が判断して詐欺案件に捕まらないようにする、ことでもあるのです。

「AIJ の時も独立系だったので、独立系なんてもう信じない。やっぱり確固たる企業系列の会社さんにおねがいするのが確実では」

仰ることはよくわかります。悔しいかな、運用についてもパフォーマンスと同じくらい運用会社の知名度が投資選択の際の重要視される要素になっているのも事実ですから、アドミにしても当然のお話なのです。

ですが、大手の画一的な装置産業的なアドミサービスがある一方で、中堅以下では個別対応をすることで柔軟なサービスの対応が可能になるアドミサービスが存在し、また、運用金額のサイズで大手の方がキャパシティーが合う、小さすぎて大手では受けないので中堅に、というようなすみ分けがなされているのが現状です。また、10年も昔では銀行系のアドミがほとんどであったこの世界も、今では銀行系以上に独立系/プライベートエクイティの投資を受けたアドミが徐々に数を増やしているので、その中から選別を進めていくことになりますし、当然のことながら、今回のような事件があると淘汰されるきっかけになってしまう、ということなので、そこは表層だけを眺めるという機能停止にならないで頂きたいなぁ、というのが個人的な見解であり、願いでもあります。

「じゃあ、アドミは今後どうしたらいいのでしょう。」

基本に立ち返って、アドミとしての業務がなんであり、何をして何をしてはいけないのか、それが起きないようにするにはどういう仕組みを組織に導入すべきなのか、それを考えていくしかないのでしょうね。特に今回のリリースを読む限り、担当者レベルでの幇助なのか、それともチームごとなのか、ということが分からないため判断しづらいところではあるのですが、他方で、そもそもそういうことが可能になる管理体制を本来は問うべきところでしょう。これは知人を介して聞ければとは思っているのですが、いずれにせよ、その改善なくば少なくとも日本では次に進めないだろうな、というのも、これは誰もが思うところかと思います。

じゃあ、普通に仕事をしている私たちは安泰かというと、いい機会なのでそういうことが出来ない仕組みになっているのか見直すいい機会かもしれません。こういう時に使われるテクニックであるソーシャルエンジニアリングとはそういうないと思われている隙間をほころびから広げていくものですから、常に業務プロセスを評価し、またその評価方法も適切な評価が出来るのか評価しなおす、という意識も必要になると思われます。

まとめ(本当にまとまる?)

AIJの時がいい例なのですが、一社が事故を起こすと、同業他社に影響が起こるのがどうも金融系のこの業界の常のようですが、他方で、この手の問題は一社だけの問題として自社には関係ない、と放置できないのも現実です。ですので、ちょうど2016年も半期を終えたところ、ということで自社の運営方法の再評価のタイミングと捉えてみるのもいいのかもしれませんし、投資家や運用者の方々に申し上げたいのは、とはいえ、業界の問題か、業界の一部分の問題か、一社の問題か、一社の一部の問題か、という切り分けを手間が掛るもののしてフェアな目で見て頂けたら、と切に願うばかり、です。

インドとモーリシャスの蜜月関係、やっぱり予想通り解消に向かう

なぜハスの花かって?インドの国花なのですよ。
なぜハスかって?今回のお話がインドだから、ですよ。
オフショアで投資をする時のメリットとして、租税条約を使って二重課税を回避するための国選びがしやすい、ということがあります。どういうこと?と思った人、多分多いと思います。何せ、このところの「オフショア、租税回避」というキーワードだと、税金が掛からない国や地域、という言葉が引っかかるでしょうから、その国での租税関係だけがイメージとして強いと思います。

しかしながら、今回のインドのように、ある特定の国からの投資に対してはキャピタルゲインタックスを減免する、とか、アイルランドのように、G7国などに対する投資からの利息や分配金に対して課税を減免する、というように、特定の国の組み合わせを使うことで投資に対する課税のメリットを得ることが出来る、というものがあるのです。

インドとモーリシャス – 多分一番わかりやすい二重課税回避の例

そのある意味一番有名な組み合わせとして結構知られていたのが、実は、モーリシャスからインドへの投資、でした。インドの税務当局がモーリシャス籍の会社などによるインドの会社の株式の譲渡にかかるキャピタルゲイン税に対しては課税を免除する、ということをしていました。この免税措置のおかげで、海外の企業がインド国内への株式投資を行うにあたって、もっぱらモーリシャス籍の会社やファンドを作り、またその会社がインド国内への投資のライセンスを得た上で、インド国内への投資を行っていました。

インドにとってのメリットとデメリット

モーリシャスはここ
インドにとって、この特定の国に対する課税免除の特典というのは、海外からの資金流入・流出を管理するという意味では国を限定して誘導することにメリットがありました。モーリシャスがインド洋に浮かぶ、インドと同じ英連邦の島、ではあるものの、もともとがインド貿易の中継地となるアフリカ東部の島、であったことなどから、インドとの経済的なつながりも太いことや、1968年の独立以降、この島自身のタックスヘイブンとしての役割を相まって、インドへの投資のゲートウェイとして海外から注目を浴び続けてきてきました。

しかしながら、外資流入という比較的成長のための資金を求める国にとって大きなツールというのは、得てして意図しない使われ方にも流用されてしまうのです。しかも、インド政府の高官たちに。なんと、自身の海外拠点の資金をモーリシャスを経由してインド国内に還流させ、株式の売買を無税で行っているケースが後を絶たなかったのです。このため、実はこの5年ほど、インド税務当局は実業としての投資としての実体の少ない、モーリシャスに対する免税措置をやめる、という噂が後を絶たなかったのですが、税務当局以外の政府筋が上記の事情を守るため、かどうかはわかりませんが、免税措置を残すように働きかけていた、という政府内の対立が続いてたと言われています。

今回の影響

2016年5月10日にインドとモーリシャスの両政府が締結した既存の二重課税回避のための租税条約に上記の免税措置を終わらすものが入るとされていて、インド政府側からそのような発表がされました。
これによって、12か月未満の短期保有のインド国内の会社のモーリシャス籍の保有者による譲渡にかかるキャピタルゲイン税が 0%から 15%に引き上げられる、ということです。なお、もともと12か月以上の長期保有のインド国内の上場会社の譲渡にかかるキャピタルゲイン税については 0%となっております。この導入にあたっては一定の暫定期間を置かれるともされています。

で、この結果、日本に持ち込まれているインド株ファンドのほとんどはモーリシャス経由ですので、これによってゲインの 15%をインドの税務署に取られてしまう、ということです。これは結果としてパフォーマンスの劣化、とも意味します。

モーリシャス以外の租税に関するメリットのある国とその影響は?

インド国内への投資に関して、この5年ほど注目を浴びていた国が一つあります。それはシンガポールです。実際にアジアの拠点としてアジア各国のビジネスを統括する拠点に目されるシンガポールですので、シンガポール法人がインド国内の拠点となる法人の株式を取得・保有するのは実務的に行なわれていることでしたので、モーリシャスほど税務当局としても白い目で見ることもなかったのですが、他方で、特にシンガポール籍の LPSなどについては、投資履歴が 2年経つまではシンガポール国内での課税対象にもなるため、シンガポールからの PEのために使われると期待されていた LPS のニーズはさほど増えなかった、と記憶しています。
とはいえ、租税免除のメリットはあったはず、なのですが、今資料を見る限りでは、今回のモーリシャスとの租税免除の解除と同じくシンガポールとも(見直しと再交渉がなければ)租税免除が解除される、そうです。
従って、どのルートを使っても、今まで享受してきたメリットはなくなる、ということのようです。

まとめ

世界的な課税強化の流れを受ければ、今回の決定は当然のことでしょうけれども、なかなかこれでインド投資への影響が出るのだろうとは予想しています。実は今、インドのファンドマネジャーと商品設計をしているのですが、彼らのシンガポール籍のファンドは最初からこの短期投資に対する15%のキャピタルゲイン税の課税を行っていたので、モーリシャスだけでなくシンガポールも閉じられたとしても、パフォーマンスの劣化はここからは発生しない、ということのようです。

[追記: 17/May/2016] この話をよく寝たあとに数か所でし始めている(上記含めて、大抵記事は夜中に書いておりますので、誤字脱字以上に論調もおかしい時があります。。。)と、脳が動き出したからか、別の側面での意図がみえてきたので忘れずにアップデートすると。。。

元々12ヶ月以上の保有後の譲渡についてはキャピタルゲイン税は非課税で、それより短い期間の保有の場合の譲渡のキャピタルゲイン税が本来は掛けるところを免税にしていたのを免税解除とした、訳ですので、海外投資家に対して長期保有に誘導したい、という意図が働いた、のだと解する方がすんなりいきそうです。特にインドへの海外からのアクセスについてはシンガポールよりもモーリシャスが大きいことを踏まえるならば、その影響はパフォーマンスよりも保有期間やそのための保有銘柄の選別条件の方に更に大きくなると考えられるでしょう。

ですので、短絡的にネガティブとみるよりはより長期保有でバリューアップを狙える運用スタイルに多くの運用者がシフトするのかもしれません。

パナマ・ペーパーで大騒ぎしてますが、これの本当の問題ってなんですの?

レポートを見てなにを舞い上がるのか。。。
レポートを見てなにを舞い上がるのか。。。

これを慌ててアップしようとしている今日(笑)、その日本時間の早朝(2016/May/10日本時間午前3時)に、いわゆるパナマ文書、とかパナマ・ペーパー、とか言われるパナマの法律事務所から流出されたとされる文書の全貌が公表されました。

あ、ちなみに、一通り見ましたが、ごく普通の人、なんだろうなぁ、という日本人の名前が1000人近くさらされているのもどうなの?と思ったりしましたが、念の為確認しましたが私の名前はありませんでした(笑)

台湾が Province of China という扱いなのに怒っている人がいるだろうな、ということと、日本にいるとされる外国人の名前の多さ、そして多分、知人ひとりの名前を見つけたのはさておいて。

オフショアのファンドを生業の一つとしている私的には、変な風評被害になりかねないなぁ、とずーっと気になっていることではあるものの、なんで世の中がこれにそんなに騒ぎ立てているのか、本質じゃないところで騒いでるようにしか見えないので、「擁護するとはけしからん」という声が聞こえることを前提に、ちょっときわめて個人的な視点でまとめてみようかと思います。

ちょっと注目してほしいと思っている点

  1. どういう訳か顧客の情報機密性の高いはずの弁護士事務所、しかもパナマなんてオフショアの金融センターとしては極めて微妙な国の法律に携わる事務所から情報が出た、というのが個人的には何かしらの悪意があるようにしか思えない。実際、これをリークしたのがジャーナリスト集団ですので、別の意図で追いかけていた流れで見つけたんでしょうけど。。。言い換えると、情報自体が盗難品の可能性があるわけです。信ぴょう性はあるでしょうけれども、その情報ソースと取得方法について誰も違法性を問わないのはなんでしょう。クラッカーたち(世の中的にはハッカーと呼ぶでしょうけど、IT geek 的には人様のサーバーに不法に入りこむ連中はハッカーではなくクラッカーと呼ぶべきと、20年以上前から主張してますので、わたくし。。。)による被害、とされていますが、この連中はいったい誰に頼まれたのか。。。
  2. 確かにパナマは 2000年までは FATF (Financial Action Task Force) のブラックリストに、つい今年の2月まではグレーリストに載っているほど、反マネーローンダリング/反テロリストへの資金供給に対して協力的ではありませんでしたが、今では協力的になっている(というより、最近の方向転換を歓迎されてグレーリストから外れたばかり)なので、いわゆる US/UK FATCA や CSR (Common Standard Reportings) を通じての税務情報交換協定に協力的。ということは、ここに記されている、アメリカが指定した独裁国家の独裁者の家族、のような人を含むいわゆる各国の政府高官関係者など (PEPs: Politically Exposed Persons、ってこの間の記事で紹介しましたよね)が今のこの時代に自己の資金管理のためのオフショアの会社などを作り、取引口座を開ける、というのが難しいのが今のルール。この間ファンドを作った時ですら、かなり厳しい手続きを求められました。言い換えると、ここに名前が上がってきている諸国の政府高官から大金持ち、セレブリティたちは、昔のヨーロッパの富裕層が資金とその秘匿性を守るために作った仕組みに乗っかって、20世紀後半から21世紀の最初の7年の間にその当時のルールに基づいて行ったことの結果である以上、その当時の居住国と口座開設国の双方の国での法制度上の問題点や現在の法制度との違いを問うことをせずに、後だしジャンケンで、今の世の中で解いている倫理上の問題点を突き上げて資産隠しで税金逃れ、といるとみることが出来ます。ぶっちゃけ、最近かなり増えた、自分のその瞬間に感じた主観だけが正義と大声で言えば通ると思い込んでいる、よくいる近視眼的な連中と変わらない、というか、時代遅れの情報を引っ張り出して騒いでいるゴシップと変わらないようにしか見えませんが、そういうと怒られるのかな。
  3. 以上のことをここではパナマに限って話しているものの、私たちが普通にファンドを組成するときのように複数の国の複数の投資ビークルなどを組み合わせた投資スキームを使うのは(日本国内で売られている公募投資信託ですら)普通のことなのです。しかし、パナマ・ペーパーで「も」パナマ以外のオフショアの様々な関与をつまびらかにして、オフショアがいかにお金に汚らしいか、のように見せてますが、オフショアとオンショアを結び、オフショアとオフショアを結び、オンショアとオンショアを結ぶ、世界中の銀行と中央銀行をつなぎ合わせたお金の流れるネットワークは、今や世界中の情報の流れを一手に担っているインターネットと同じ社会インフラであり、またこれと対比する説明をするならば、ウェブサーバーが情報に意味づけをして再配信する役割をするのと同じように、ファンドなどの投資ビークルなどはお金がその力を特定の目的のために使われるように集めて利用する役割を担っているわけです。そこにはオンショア/オフショアの違いはなく、利用する人の意図によって使われ方や影響が大きく変わる、というのは情報インフラであるインターネットが誰もが分け隔てなく使えるがために、人助けにもテロリストの情報発信にも同じように使われるのと変わりがない、のです。(これも怒られるんだろうなぁ。(笑))
  4. ちなみに、今回オフショアの舞台としてあげられている国として、パナマはもとより、BVI、バハマ、(あと、本ブログでもご紹介したベリーズか(笑))のようなカリブ海の島々だけでなく、香港、セイシェル諸島、ジャージー島、ガーンジー島、マン島といった英連邦系オフショア地域、マルタやキプロスのようなEU 加盟国でもファンド設立に使われる国、シンガポール、そして、ニュージーランドやイギリス、ワイオミング州といった、一見オンショアのはずなのに非居住者が設定すると非課税になるメリットを生かせるスキームの存在するオンショアまで、縦横無尽に使われていることがわかります。が、実は日本の信託勘定も非居住者が設立して使うと非課税のメリットがあることが海外では知られています。なので、オフショアがとかオンショアが、という観点で租税回避地をつるし上げるのは早計ではないかな、と。
  5. ちなみに、今回ケイマン諸島とバーミューダがほとんど出てきてませんが、前項のそれぞれの国のビークル管理の観点で比較するとこの二つの地域は個人資産を抱えるには維持費などがかかりすぎる、ので敬遠されていたのかもしれません。

で、結局これで得するのは誰?

各国の税務当局だけ、な気がしてるのは私だけ?でも、こんな租税回避地に逃げたいと思わせる課税ルールを作った自分たちの結果、という反省がないんですよね。ええ、私は働いた人たちが正しく報われて、かつ社会インフラの費用は国民全部が公平に負担する仕掛けを作るべき、と考えているフラット・タックス信者ですので、こんな累進課税の結果のなれの果て、である今回の騒動については、すべては課税ルールが悪いから起きただけじゃねーの、くらいにしか思ってません。はい。
とまぁ、久しぶりに、個人的なブログで書くぐらいの私的感情丸出しになりましたが、ゴシップの人たちから比べれば公平性を保つように書いたつもりですのでご容赦を。

[追記 10/May/2016 23:51 JST]

ちなみに、interactive 版で企業名や名前を入れると関連するオフショアでの会社や他の関連する人物などが図示されます。ある意味わかりやすいのですが、わかりやすすぎて個人の住所とおぼしき情報まで出てきますので、正直こんな社会的制裁を加えることに疑義を覚えずにはいられません。

合同会社の社員になって一緒に儲け話に乗らないか?

投資家さんを集めるのってこんなに和気藹々ではないのですが
知らない人を共同経営者に迎えるってこういう雰囲気にはならないような。。。

本来ならば、「パナマ・ペーパー」のことを書くのが本来のブログの目的であるオフショアの金融事情をご紹介するところですので自然なこと、なのですが、 当然のことながらレポートそのものを読んでいませんし、内容の意味もよくわからずに無駄に大騒ぎして民衆を煽り立てるメディアの情報もあまり耳にしていないので、その状態で何かを語るのもどうかなぁ、と思いつつも、掻い摘んで話すならば。。。

いや、一旦いろいろ書いたけど、やっぱりやめた。いろいろ面倒が多そうだから。。。

さて、表題にある本題にいきましょうか。

believe or not – 世の中にはこんな人がいます。

個人的に流し読みをしている、某怪しい人が主宰するメルマガがあります。本人曰く、某メーカーに就職して、アジア某国で英語も話せないのに成功しながら、プライベートでメルマガで荒稼ぎしたら副業禁止だったので会社をクビになり、アジア某国に拠点を移して似たようなネット系の商売をしている人たちと横のつながりを生かしていろいろと投資案件をしたり、スピ系のネタで人の性格などをプロファイリングをしたり、派手に遊んでいるのをメルマガで流しながら、ちょっとタチが悪いとネットでは評判の投資助言業者のシグナル配信のサービスの宣伝をしたり、仲間内限定で為替相場との相関性の高い株の信用取引のロジックを共有してデイトレで稼いでいるのを見せながら自分のメルマガの有料サービスに誘導したり、と、まぁ、怪しいそうなので眺めているのですが、その中でちょっとこれはヤバかろう、というのがあったので、注意喚起の意味を含めてちょっとご紹介してみようと思います。

基本的にこの連中の商売に加担する気もないので出来るだけ検索に使えそうなキーワードは外すようにしていますが。。。知っている人が読むと分かるかな。すでに上記だけでも十分特定できそうですが。。。

話の前に、まず金融商品取引法の復習から

以前の記事で書いた通り、現在の金融商品取引法において、個人が機関投資家が参加するようなハイリスク・ハイリターンな事業投資系の案件に投資をしようと思うと、適格機関投資家向けではない一般的な私募案件に仕立ててもらって参加するほかはありませんでした。

また、逆にそんな事業投資や不動産投資などをちょっと広めの個人から投資資金を募って運用したい、と思うと、本来ならば資産運用業(この場合一任運用業)の届け出をしなければならないのですが、届け出が受理されるまでに運用やコンプライアンスなどの複数の部門の責任者を雇い続けていかねばならないので、事業を行うまでに資金的問題が起こり得る、など運営コストの負担が大きすぎるという事業開始の際のハードルが存在します。そこを回避したい、といって匿名組合や投資事業有限責任組合の無限責任会社を金融商品取引法第63条に基づく適格機関投資家向け特例業務を行う事業者として届け出て、またそのために適格機関投資家から形式上でもいいから投資資金を受けることで特例業務を行うようにして、私募での個人へのアプローチをする、というルートを目指す人が後を絶たなかったわけです。

私募の本当のハードル

上記のリンク先の記事で最近のルール変更で個人向け投資勧誘へのハードルが上がったことをご紹介していますが、ハードルが上がる前から、実はそもそも個人向け私募勧誘には一つの大きな問題があったのです。何かといえば、通常、証券会社などで私募であっても公募であっても、商品勧誘を行っても 100%投資する、はずはないのです。10人に一人、もしくはもっと低い確率で投資すると考えられています。でも、考えてみれば当然ですよね。常に余剰資金があるとは限らないですし、私募案件になればリスクリターンが高くなるので、投資対象への理解などがないものには投資しない、と判断する人が増えて当然なのです。

でも、例えば投資信託ならば私募は如何なる6か月の間に49人までにしか「勧誘」を行ってはいけないのです。投資ではないのです。勧誘なのです。ということは、6か月に49人勧誘して、実際に投資するのはよくても5人行けばいい方。一人当たり、1,000万円としても 5,000万円。個人の資金からすれば十分大きく思えますが、事業投資ともなれば微妙に足りず、不動産投資ならば全然足りない計算になるのです。確かに理論上、最初の6ヶ月と次の6か月で全く別の49人ずつにアプローチすれば各半年ごとに5人ずつ徐々に積みあげて50人を超えた投資家を受け入れることは可能ですが、投資自体一括投資というものだと十分集まらない、という話になるでしょうし、投資スキームの設立費用等が最初の5人に大きく負担させることになるので、投資タイミングの違いでの不公平感も発生しやすくなるのです。

私募のハードルを越える

そこで。考えました(私が、ではないですよ。)。

もし、美味しい投資話にいつでも乗りたい、という投資家候補を最大 499人常にプールすることのできる仕組みがあれば、上記の10%の投資家のヒットレートが格段に上がるので運営管理報酬が大きく期待できる、と。そのために、投資事業に継続的に参加することが会社の目的となる合同会社を作って、その投資家候補をそれぞれ合同会社の社員として出資をさせて、社員集会という名前の投資情報提供を行えばいいのではないか。投資も社員からの追加出資をまとめて一本にすれば企業投資家としての参加になるので個人投資家のハードルもなくなるし、投資の分配も合同会社なので参加した社員にだけ分配することも当然可能。仮に社員が個人で共同投資の形をとるとしても、社員が最大499名だから私募の範疇に収まるから問題はないだろう。

ちなみに、なぜ499名か。それは事業投資につかう匿名組合も投資事業有限責任組合の投資持分も、そして合同会社の社員持分も、全部、金融商品取引法上、いわゆる第2項有価証券なので、私募の上限が499名。下手な株や債券、投資信託より上限が大きいので都合もいい。

しかも、社員として当初入るのに、後から入ると諸々のトレーニング費用など、と名目で徐々に高くする、といえば慌てて我先に、と入って提灯で釣り上げた案件などに食いつこうとするだろう。

この、秘密結社的で、日本でまだなじみの薄い合同会社のスキームを使えばリターンのより大きいと思われる案件に参加したいと思っている個人をうまく取り籠めるんじゃないか。しかも、そういう投資をしてみたいとメルマガに参加しているわけだからここでもヒットレートは高いだろうし。。。

という事で、そんな投資プラットフォームの勧誘がメールマガジンで配信されているんです。時々。

でも、ちょっと待ってくださいな。

確かに、一度合同会社の社員になれば投資機会も私募の範囲で紹介されるしその範囲で自分の責任で投資すればいい話、ではあるのですが。。。そもそも合同会社の持分をメールマガジンやそれに連動するウェブサイトでその存在を公共の閲覧となるインターネットで知らしめて参加について投資家候補から問い合わさせる、リバース・ソリシテーションを行うのって、実は私募ではなくて公募に当たるんじゃないの?

日本では、金融商品を公共の閲覧に具することで紹介することや、その存在を知らしめて投資家候補から問い合わせをさせることで自ら紹介しないリバース・ソリシテーションも、勧誘行為に当たる、という判断がされています。なので、私募商品が一般的に証券会社の窓口やお店の窓に並んでいない、のです。しかも、今回は自己募集、ですからねぇ。。。お友達とかに資本参加を求めるならまだしも、何人参加しているのかわからないですが、メルマガを通じて不特定多数への声がけって。。。やばいんじゃない?しかも、この投資スキーム、メルマガ曰く、日本の金融商品取引のコンプライアンスを知り尽くした、M&A の名手、とされる人が考えて作り、投資案件もソーシングしてくる、という触れ込みもあるんですが。。。

なんか大丈夫なんですかねぇ。というか、こういう話も世の中でてくるようになってきたんだなぁ、と思うと、パナマ・ペーパーどころじゃないような気がしている著者でした。
常に言いますが、投資は自己責任で。

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