今年もやります、手伝ってます – AIMA Japan Forum 2018

気づけばもう8年のお付き合いになっている AIMA Japan。今年は理事ではないものの諸般の事情で運営のお手伝いをしております都合上、今年も開催される年次フォーラムのお手伝いをしております。

AIMA Japan Forumって?

AIMA – Alternative Investment Management Association の日本支部(はい、今年から一般社団法人ではなく、ロンドン拠点の本体の在日拠点での運営に変わっております)である AIMA Japan が今年で13回目となる年次フォーラムを行います。AIMA Japanが設立された時、Alternative Investment と言えば先物やヘッジファンドが主流だったので、AIMA と言えばヘッジファンドの業界団体、という認知のされ方をしておりますが、今やそのカバレッジは広く、alternative investment であればなんでも、ベンチャーキャピタルやプライベート・エクイティ、プライベート・デットのような未上場資産や不動産、そして今年は仮想通貨までフォーラムで取り扱うようになって来たのです。

そうそう、AIMAではブロックチェーンやデジタル資産に関する部会があって、つい先日もお膝元のUK FCAによる仮想通貨のデリバティブの取り扱いに関する通達について会員に周知していましたね。

今年の見所は?

当ブログでも2016年の時の総括をしましたが

AIMA Japan Forum 2016はこうだった

今年は。。。

東京都知事来たる!

今年のプログラムを見るとわかりますが、今年は都知事さんが登壇します。背景としては先日都庁から発表された東京版EMPファンド創設を受けて、国内外の運用者や投資家に東京を拠点として参加してほしい、という意図があることから、AIMA のフォーラムを通じて情報発信してくれるのだと思います。

個人的に一時期絡ませていただいたこともあり、このEMPファンド、このステージまで来たので面白いことになると思いますので当面は目が離せないところです。

フェス的に会場がわかれます

この他、今年はBreakout Sessions – 分科会をフォーラムで開くことにしました。これは昨年までフォーラムの前日に運用業界の若手の参加・育成を意図して行なっていた無料の Educational Sessions で取り組んでいたものを今年からフォーラム本体に組み込んでみよう、というものです。これのいいことはより多くのトピックを取り上げることができること、なのですが、当然並行して行うので片一方を見逃してしまうんですよね。。。

ま、最近はフェスが流行りですので、自分の興味のより近い話を選んで聞くことでより充実した参加にしてほしい、という願いもあります。

取り上げるトピックが一気に広がりました

プログラムを見るとわかるのですが。。。昨年あたりから取り上げているプライベート・エクイティは午前と午後に、しかも業界の超有名人を数多く集めました(えっへん)。そのほかに、ベンチャーキャピタルは宇宙開発への投資、なんて尖った人が来るし、高速取引 – High-frequency trader たちのセッション、そして仮想通貨といった、新しい資産や戦略を取り上げる一方で、オフショアの動向のアップデートやこの数年の上場株式周りでの取り組みであるコーポレートガバナンスを海外投資家目線で評価する、そして、国内のヘッジファンドを運用者と投資家のそれぞれの目線で再評価する、といった従来から継続して取り組んで来たことも引き続き行いますので、まぁ、盛りだくさんです。

で、いつ、どこでやるの?

開催は 2018年5月24日、とこの遅筆な私にしては1日で一気に書かないとやばいくらいもうすぐです。場所はなんとリッツ・カールトン東京。ホテルでの会場です。コストが気がかりになるのは運営だからなのですが(笑)

参加費用は、AIMAの会員(世界のどこでもいいですよ!)になっている会社さんならば一人は無料、それ以上の場合には一人10,800円(税込)です。もしAIMAの会員じゃない、としたら、すみません、会場費用がかさむので43,200円(税込)でのご協力をお願いします。登録はこちらからどうぞ

あ、先に言いますが、私には招待チケットはありませんしスポンサーもしていませんから誰も招待できませんからねっ(笑)

 

オルタナ投資関連の業界団体、日本国内にどれだけあったっけ。。。

業界皆で輪になって。。。どこに向かう?

前回の記事を書いてから随分間が空いてしまいました。ネタ切れを起こしていた、というよりは、CFPの試験勉強に集中したり、その後もバタついていたので私的なブログすらアップできていないという体たらく。。。なのはいつもの事ですね(苦笑)。

オルタナ投資業界の横のつながり、何があったっけ?

業界皆で輪になって。。。どこに向かう?さて、実は今週の某日の晩に、ヘッジファンドの投資関連では業界内でとても顔の広い方が主宰されて極めて私的なネットワーキングの会の忘年会がありまして、久しぶりにお邪魔させていただきました。主宰者さまが今年は本業が変わられたこともあってお仕事に忙殺されて会の開催も頻度が減ったりしたらしいのですが、それでも、忘年会ということで、毎度のこと業界内の多方面のビッグネームが数多く参加されている(ので名刺交換と情報交換が盛んにおこなわれている)のを見て

「相変わらず、みんなすごいなぁ」

と末席でお酒をすすりつつ静かに近くにいた(某直近ビッグなポジションに着任された方を含む数名の)方たちと語らっておりました。

その席の最後で、とある業界内の団体の立ち上げが動き出している、という話が出たので、ふと、そういえばこの狭いと言われるオルタナ投資業界、その中でいわゆる業界団体ってどれだけあったっけ、とふと思い、その立ち上がる団体のご紹介も兼ねてつらつらと羅列していこうかと思います。といっても、さして業界に顔が広い訳でもないですから、私も見落としがたくさんあるとおもいます。そんな時はここで紹介してもいいぞ、とご指摘ください。喜んでリンクを張らせていただきます。どれだけ貢献できるかはまた別として。。。

AIMA (Alternative Investment Managers Association)

私も随分長くおせわになっているので、これは最初にご紹介せねばならないでしょう。英国ロンドンに本拠を置く、主にヘッジファンドの運用者と、それに関連した法律事務所や会計士、ファンド・アドミにリスクマネジメントサービスといったサービスプロバイダーが構成して、ヘッジファンド業界の声を各国当局者に届けることを主な目的として設立された団体です。今では、ヨーロッパ、アメリカ(米国とカナダ)、アジア(日本、上海、香港、シンガポール、シドニー)などに拠点があり、互いの情報交換や世界各国の規制当局の動きのまとめを月次で報告したり、ヘッジファンド投資の際には今や標準となった質問票(Due Diligence Questionnaire) の提供などを会員に提供しています。余談ですが、日本語版 DDQ は私めがだいぶ監修をさせて頂きました。いや、日本語のクオリティは大事ですから。。。

ちなみに、元々は先物取引などの運用者の集まりが会の始まりで、それが今ではヘッジファンドの業界団体になっていますが、今後は “Alternative”らしくその他の戦略の運用者の人たちも参加を望んで行こうとしていくようです。が、ヘッジとプライベートエクイティ、ベンチャーキャピタルはそもそも別の生き物ですので交わっていけるのか。。。

CAIA (Chartered Alternative Investment Analysts) Association

AIMAが運用者や投資家の教育を推し進める一環として組織されたのがCAIAというヘッジファンド投資に関する国際資格認定組織である CAIA Association。世界中で 8,400人以上の有資格者がいるのですが、英語での試験ということもあって日本では有資格者が少なかったのですが、今年の6月に CAIA の日本法人も出来てさらにメンバーを増やして行こうとアジアでの拡大路線の一端として日本も入れてもらえているのはちょっと安心です。まぁ、どちらかというと投資家サイドにいる人が多い感覚がありますが、やはり投資判断の一助となるべく、ということなのでしょうか。

ちなみに、この数年、AIMA Japanと CAIAの日本にいるメンバーで忘年会を合同で開いています。

CFA (Chartered Financial Analysts) Institute

CAIA がヘッジファンド投資に特化しているのに対して、日本の証券アナリストの国際資格に位置するのは CFAでそれを国際的に運営しているのが CFA Institute。CAIAとの違いは、というとCFAの守備範囲がヘッジファンドに限定されない、広範囲の知識を要求される、という意味ではヘッジファンド以外の世界でも食べていける強さがある一方で、CAIA にはヘッジファンド特有の専門性が求められるのでその筋では強みが発揮される、というところでしょうか。日本では日本CFA協会さんが運営基盤になっています。

AAIN (Asian Alternative Investors Network)

AAIN さんもロンドン発祥の組織で、ロンドンでオルタナティブ投資をするアジア人のネットワークを作ろう、ということで始まり、それがニューヨークでも集まって、日本でもやろう、と言って3-4年前に数回イベントがあって呼んでもらった記憶があります。
ただ、有志による集まりと言いつつもメンバーシップが結構高額なのと、イベントもメンバーだけ、というところで運営のコストが高いのかな、と思っていたら気づいたらあまり最近聞こえて来ず、今回調べたら本体のウェブサイトにアクセス不可。。。もしかした自然発生したように自然消滅したのかもしれません。
なかなか、この手の組織を作り、運営し、維持するのって資金面でも企画運営の面でも大変なんですよ。 AIMA Japanでだいぶ鍛えられました(笑)

ヘッジファンドの話から、少し別のオルタナの話もしてみたいと思います。特にアドミの世界ではアジアではプライベートエクイティやベンチャーキャピタルにそのビジネスの重きが置かれつつあるようですので。。。

JPEA (Japan Private Equity Association)

日本プライベートエクイティ協会さんはその名の通り、プライベートエクイティの運営者を中心に構成される組織で、この業界の運用側の声となる組織でもあるそうです。以前話を伺ったら、常任理事となる会社さんの持ち回りで事務局も管理する、ということで結構手弁当が大変だろうなぁ、という組織です。
運用者が中心ですので、アドミなどのサービスプロバイダーは賛助会員という形でしか入れない、という本当に運用者に軸足が置かれた組織だということもわかると思います。

JVCA (Japan Venture Capital Association)

日本ベンチャーキャピタル協会さんも、同じくベンチャーキャピタルの運用者を中心に構成される業界団体です。お世話になっている方がつい昨年まで事務局をされていましたが、その際に金融商品取引法第63条の適格機関投資家向け特例業務のルール改正の時に、パブリックコメントを経て施行させず作り直しを求めた時のメインとなった団体さんの一つです。あの時の改正がもろに自身が見せねばならないコミットメントを出せないようにするものでしたので死活問題からあそこまで差し戻させた、という実力のある業界団体さんと個人的には思っております。

JASVE (Japan Academic Society for Venture Capital and Entrepreneurs)

日本ベンチャー学会さんはちょっと毛色の変わったところですが、起業やその後のステージでの会社運営や、それに対するエンジェル投資などについて学術的アプローチで検証しようとする人たちの集まりです。一時期参加させていただきましたがかなり高尚な研究をされていたのでついていけなくなりました。。。

JVPN (Japan Venture Philanthropy Fund)

日本ベンチャーフィランソロピー 基金さんは、ベンチャーキャピタルやプライベートエクイティの投資のスキルと基金や年金と言った投資家の社会的投資、そして余剰利益の社会還元、といったことを組み合わせて所謂ソーシャルインベストメントをして社会貢献をしよう、とロンドンで始まった European Venture Philanthropy Association の、アジア版、Asia Venture Philanthropy Network に触発されて出来た日本版。ベンチャーキャピタルやプライベートエクイティの関係者が手弁当や勤労奉仕の形で参加していて、その意義などを考えると私もいつかは、なんて思いつつも指をくわえて見ています。

NPEL (Nippon Private Equity Ladies)

NPEL さんは、日本におけるプライベートエクイティファンド業界に携わる女性たちがその互いの知識やネットワークを互助することで業界での女性の地位向上であったり業界内の横断的なつながりを維持していこう、ということで始まったそうです。元々香港に同じコンセプトの集まりがあるそうで、その日本版、ということですが、定期的に集まって、食事会や勉強会を開いて男性の業界内の著名な人に話してもらったり、と有意義に活動されているらしいです。そりゃ、私が男性だから参加できませんから知る由もないのですが。。。

100WHF (100 women in hedge funds)

100 women in hedge funds はニューヨークでヘッジファンド業界に携わる女性が100人集まったら、ということで始まったそうで、こちらも女性の業界内ので地位向上であったり知識の共有であったりを目的として活動を始めたそうで、今や世界全体で18,000人以上が集まっているそうです。リンク先を見ると、今では金融業界全体を包括しているようですが、まだ日本には支部がなく、これから立ち上げようと有志が集まっているそうです。

終わりに

さて、実はここにいくつか出てきていない業界内のネットワークを作っている人たちがおります。例えばヘッジファンドの世界では有名な Tokyo Hedge Fund Club は元Bear Sternのプライムブローカーだった人が在籍中から会社とは切り離して個人的に機関投資家とファンドマネジャーを直接つなげるパーティ形式のイベントを始めたのを端に今も継続的に行っている会ですし、冒頭でご紹介した会も、私的な会、とはいえヘッジファンドの業界を横断的にカバーする会として正直名前とは裏腹に巨大なネットワーキングになっています。また、私が個人的にお世話になっている方が会社名義で行うネットワーキングイベントも微妙にかぶりつつも重ならない人たちとお会いできる会ですし、その人と私とで開催するネットワーキングイベントも小さいながらも密度の濃い人たちとの横のつながりを飲みながら作りだしたりします。

思ったほど大きくない業界なので、人と人がどこでどう出くわすと化学反応が起きるか、それが間近で起こる世界ですのでおもしろいな、と個人的に思いつつ顔を出す日々です。逆にいれば、悪いことも全部あっという間にみんなに知れてしまう小さな世界、とも言えますが。。。

ということで、これを読まれたあなたともどこかでお会いするのでしょうね。きっと。私がこんなことを書いている人間と知ってか知らずか(笑)

オルタナティブ投資のインセンティブ・フィーの計算って(プライベート・エクイティ編)

と、こんなタイトルで書き始めてふと、やばっ、と思った事が(早速ですが)

オルタナティブ投資、という言葉。ちょっと前なら、

ヘッジファンドでしょー
プライベートエクイティとかベンチャーキャピタルとかエンジェルみたいなのでしょー
不動産投資も、まぁ入るかなぁ

なんて言う雰囲気でした。要は、伝統的資産、つーか上場株式とか公社債、を、レバレッジを掛けずに、投資対象を分散させながら買い持ちして投資対象の資産が自然と上昇するのを待つ、というのが正統派の投資で、そうでない、ショートに振る、とか、借り入れを使ったり、先物やオプションのように証拠金取引を使ってレバレッジを掛けたり上場していない株式を取得したり、とか上場していてもほぼすべての株式を取得して経営権を取得して非上場化して、投資対象の成長をコントロールする、というか、あるべき価値になる、かする、のを待つ、と、いう投資戦略を取るもの、を指す言葉、だったように思えていました。

が、最近では、オルタナティブ投資の世界に入ったんです、というので聞いてみると

バンクローン、とか
ハイブリッド証券(劣後債や優先出資証券)、とか
MLP や BDCのように、上場しているリミテッドパートナーシップ持ち分

という、資産クラスでの分類で使われる事も出てきているようです。まぁ、実際に、前者の意味でのオルタナティブ投資、というところでも、後者の中にあるような MLP や BDC のように、本来ならばクローズドな投資機会のものが、そのクローズドの意味の裏返しであるほとんど皆無の流動性を上場化によって得られるようになるのと同様に、ヘッジファンドもヨーロッパの公募ファンド市場に出て来た Alternative UCITs や、アメリカのそれである 40 Act (1940年法)に基づく Liquid Alternative というような戦略はそのままに流動性を伝統的な運用のそれに近づけることで、オルタナティブ運用戦略、という意味付けに変わりつつあるのも事実ですので、それもまたありなん、ということでしょうか。

報酬の計算、電卓だけではさすがに厳しいです。。。
さて、のっけから横道にそれましたが、表題の本題。
数年来お付き合い頂いているプライベート・エクイティへの投資に詳しい某氏とこの間食事をしていた時に、ふっと胸の内ポケットから取り出されたのは、日本ですから当然拳銃ではなく一枚のノート。そこには、食事の前に考えていたとある問題が書かれていたのです。

キャリーの計算ってどうするの?

問題とは、「Preferred Return: 8% Carried Interest: 20% GP Catch-up rate: 80%」という条件のときの実際の運用者への成功報酬の支払いの額はどうなるのか。というものでした。

まずキャリーの概念の解説から

って、そもそも、それぞれが何を意味しているか、念のために説明しないといけませんね。一番分かりやすいのが “Carried Interest”。これがまさに、成功報酬/インセンティブ・フィー。20% ということは、投資元本以上に稼いだ分の 20% を運用者が頂戴しますよ、という意味。これはヘッジファンドでは「インセンティブ・フィー」とか「成功報酬」と呼ぶのですが、なぜかこちら側では Carried Interest とか、キャリーとか呼ばれています。(これでぱみゅぱみゅな人たちが間違えて Google して来ちゃうのかしら(笑))。

続いて、”Preferred Return”。ひとによっては “Hurdle Rate” ということもある(というか、なんで、色々な言い方するんだかなぁ。。。)のですが、これは LP 投資家に優先的に収益から支払われる時に使う利回り。あまり考えたくない例ですが、もし、とある会社に投資して、なんとか投資元本の 5% 稼いで資金回収した、なんてケースで、Preferred Return が 8% だと、ヘッジファンドなら 5% の 20% だから 1%を運用者が普通にもらうのですが、こちらの世界だと、 Preferred Return 分はLPに優先して(Preferred) 支払われるので、運用者の取り分は 0で全額 LP投資家に行ってしまう。

ということは、どういうことかというと。。。

この8% の Hurdle を越えて(というと、Hurdle の方がしっくり来ますよねぇ。)稼いだ時に初めて成功報酬がもらえる、という世界だというのが分かってきました。例えば、 10%の超過収益だった、としたら、10% の 20% なので、2% を成功報酬にもらえる、ということだから、 8% のPreferred Return を先に払った後、残った2% を成功報酬としてもらえるし、20%の超過収益だったら、最初の 8% は Preferred Return により LP、次の 2% は運用者に、残る 10% は 20% が運用者、残りの 80% が LP投資家、という事ならば、2%が運用者、 8% がLP投資家、ということで、それぞれ合計して 16% (全体の 80%) を LP投資家が、4% (全体の 20%) が運用者が、収受することになります。

では、問題を解いてみましょう。って塾の先生か?(笑)

となるならば、話は簡単ですよね。でも、くせ者なのが、”GP Catch-up rate”。これは、Preferred Return を LP に払ったあと、GP がLP の既に受け取った報酬に対応するだけの成功報酬を受け取るにあたって、未分配分の収益のうち運用者に分配される比率、という意味なのです。ええ。上記の 20% の超過収益の時の前提は GP Catch-up rate が 100%、全額運用者に当てていい場合のケースだったのです。ということは、これが 100% でない場合、元々 Preferred Return で 8% もらっていて、さらに GP Catch-up rate のお陰で未収分のうち 20% が分配されることになるので、実はcatch-up といいつつも運用者への成功報酬の分配が永遠に続くのではないか、という疑問だったのです。

本当に、追いつけないのでしょうか。

まぁ、そのためには中学校に戻って計算をするのが一番のようです。
全体の収益を X(%) とすると
(a) 成功報酬は全体の 20%: (X x 0.2)であり
(b) 成功報酬は X から 8% を引いた部分のうちの 80%: (X-8) x 0.8
のそれぞれなので、ちょうどそれぞれが拮抗する点があるかどうか、ということなのです。いわば

0.2X = 0.8 (X-8)

ね?中学の数学でしょ?答えは X = 64/6 = 10.666… (%)です。
実際、 8% より先の 2.666…% については、2.666 * 0.8 = 2.13333…(%) ですが、これは 10.666… x 0.2 = 2.1333…(%) と一致します。

って、なに偉そうにしているんだか。まぁ、言ってしまえば、過去において運用者が投資家に有利になる条件の一つとして、導入したのでしょうけれども、ある意味計算が面倒になるなんて思わないでしょうねぇ。。。

ということで、上記の前提に基づくならば、超過収益が

  • 8% 未満の場合には超過収益がすべて LP 投資家に
  • 8%以上 10.666…% ならば (1) 8% は LP投資家に、(2) 8%を越える収益部分は 1:4 で運用者と LP 投資家で山分け、
  • 10.666…% を越えるならば、超過収益を1:4 で運用者と LP投資家とで山分け

という場合分けになります。

まとめ

うーむ。こうしてみると、結構投資から得られる収益に対して、このハードルというかは案外低いところにおいてある、というか、本当にあまり稼げなかった時の投資家を優先という意味では、これでいいのか?というか、こんなものかなぁ、という気になってきております(苦笑)

実際には、各投資案件ごとにするのか、全体の投資案件の回収を終わったところでする(と、投資家の資金が手元に置かれて寝るし、投資失敗した案件分だけ運用者の取り分が目減りする、と双方にメリットがないように見えるのですが。。。)のか、など、方法が違うそうなので、投資家と運用者の間の交渉ごとは尽きませんねぇ(笑)

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