公的年金、もしかして二つもらえるの? – 年金入門 その3

公的年金について、その仕組みと老後にどれだけ長生きしたら元がとれるかなんてガメツイ話と、老後以外にもらえるなんて裏技みたいなものがあるのか、という金融系だとよくある安っぽい話をしましたが、これらを踏まえると、あれ、もしかして年金って二つもらえるんじゃない?なんて頭をよぎりませんか。受給資格についてよく考えてみると、実はそれぞれ排他的な定義になっていないんですよね。

なんて、二つもらえる状況ってそもそもどう言う状況よ、って落ち着いて考えたくない話もありますが、でも、人生って何があるかわからない。ならば、そう言う時にどうなるのか、くらいはちょっとこう言う機会だしみてみましょう。

例によって、説明資料として(今回は比較的枚数の少なく詰め詰めじゃない)パワポの資料と、そのパタパタ無声YouTube動画をご準備しておりますので、要点だけちゃっちゃと、という方はそちらへ、それ以外の方は、続きをどうぞ。。。

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私の年金、老後以外に貰う方法ってあるの? – 年金入門 その2

ついぞ、「私の住む浅草も」なんて書き出したくなる位、このところずっと某社のCOOとしての記事を、こちらをそっちのけで書き倒していましたが、流石に続き物はちゃんと書かないと、ということで、前回の「私の年金ってどうなっているの?」の続編です。

前回はざっくりいえば私たちの老後に対して公的年金ってどれくらいもらえるのか、ということはそれの他にどれくらい準備しないといけないのか、ということを考えるための記事だったのですが、後半のところについての問題意識を持っていただけたかどうか、はそのもらえる年金額に対するこの瞬間の収入とのギャップとその人の老後への不安度合いの程度、という、実感は人それぞれにお任せですが、会社には負担かけるけど厚生年金には入っておいた方が何かとお得よ、というのが個人的な感想でした。

ということで、今回もこのところのパターンで、まずはスライドでまとめてそれを動画にしているので、長ったらしいダラダラした文章を読みたくない、というあなたはこちらでお楽しみください。と言っても、今回はちょっと盛りだくさん過ぎて弁護士のプレゼンみたいに文字だらけなのですが。。。

なお、このネタ、改めて読むと、人の生き死にとか、生活環境、身体的な問題、家族関係とかをぐりぐり攻める話なので、

お金のためにそこまでいうか、人でなし

と言われても仕方ない、ということがたくさん出てきます。法律上想定している、人の生活の可能性をカバーするようにいろいろなことに対する準備をしているだけなので、それにどう対応するか、を(倫理観を排除して)考える作業をしている「だけ」です。

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私って、年金いくら払っていて、いくらもらえるの? – 年金入門 その1

たまにはFPらしいことも書こう、ってよりは、これを書いている2021年7月の翌月には社会保険労務士、なんて国家資格の試験が予定されていて、著者はもし試験の手続きがちゃんと出来ていれば人生初の社労士試験を受けるはず、なので、その知識の整理をちょっとしたい、という個人的欲求が先走った記事、と言うことで書き始めたのでしたが、いつものように遅筆で、続きを書き始めたのが来年の試験も受けることが確定した2021年11月、ではありますが、でも、みなさん、自分の年金ってどういう仕組みでどうなっているとか、ちゃんと理解してますか?

確かに、今や人生70歳まで働くことが期待されている時代です。他方で、(月々貰える額を減らしていいならば60歳から繰り上げて貰えるし、貰える額を増やすべく繰り下げて70歳、いや、75歳まで遅らせてる、というオプションがあるものの)年金システムとして65歳から貰えることを踏まえて、平均余命が80歳台のこれからを、経済的な観点でどう過ごせるのか、どう過ごしたいのか、というのをどこか「早い段階で」想像して、備える「時間を作る」ということをしてほしい、というのが、社労士試験の勉強をして、この年金システムを改めて学び、FP的な観点でも伝えたいメッセージ、というのがこの記事になっています。

また、だからと言って、安易に銀行とか証券会社が、まともじゃない理由でiDeCoとか勧めているのことに対する疑問についてもちょっと説明したいなと思っています。

ということで、いつものようにざっくりとした説明のスライドと流し見の動画を作ってありますので、それだけ見て帰る方は、この記事のどこかにあるいいねを「最初にした」後で読んでいただければと思います。

あ、ここで告白しますが、CFPの試験中に下記の記事に間違いがあるのに気づき、直しています。どうやら厚生年金は入っているとお得だったようなのです。ごめんなさい!

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大事な家族を失った後、どうしてもやらなきゃいけないこと

つい最近のこと、若い頃から随分とお世話になった方が親族が亡くなりました。その家族にもとてもお世話になったので、こんな時にどうしたら力になれるか考えました。

と言って、金融にまみれてこの25年生きてきたこの身として、出来ることなんて言えば、フィナンシャル・プランナーとして残された家族がこれからどうしてもやらねばいけないことについて出来るだけわかりやすく説明しながら、実はいうほど時間が残っていない、ということを知らせること、と思って、このところの倣いで作ってみました。

https://www2.slideshare.net/ShinobuMIYATA/ss-239298138

とは言え、結局題材自体が重すぎるし、やればやるほど個別性の高い話になっていくので、一人で頑張っちゃうにはハードルが高い、ということを伝えつつ、法律にがんじがらめに縛られた役人の中でも特に厳格な運用で知られる(と、格好よく書いてみた)国税庁は時間も内容も厳しいから早めに色々と手を打ってね、というメッセージになる程度に省いてみたのですが。。。実際、今までで一番情報量の多いピッチになりました。なので、もし自分の時間が惜しいから簡潔に説明して、という人はこのピッチだけ読んでください。

そうでない、つまらないおしゃべりに付き合ってもいいよ、という人はもう少しお付き合いください。

せめて花束だけでも

人生最後の仕事は残された遺族に託すしかない

まず、最初に言いたいのは、どうやら年間で相続税を支払うことになったケースは 8%ちょっと、らしいということ。言い換えると、92%弱の相続については相続税を支払わないで済んでいる、らしい。でも、払わないで済むためには、相続対象の純資産総額、言い換えると、残された資産と負債の差額、が、基礎控除と呼ばれる相続の際の最低ラインを超えるか超えないか、の違いだということ、なのです。

実際、過去に私の一番近いケースの場合、よくぞここまで何も残さなかった、という祖母は当然のこと(それでも、相続と遺品整理はまた別の話。何も残さないくらいシンプルな田舎生活をしていてもトラック一台分の遺品は残ったし、その処理は思い入れの残った親族には大変だけど、そういう片付けをする業者さんにとってはあっという間、の程度だけだった、よう)ですが、昨年、10年を超える難病との闘病生活に対して、難病であることが認知されて認定されるのに最後の1年まで時間のかかった母のように収入がなく、年金をもらう手続きもできなかった人のようなケースならば当然計算するまでもない程度しか遺産も遺品も残らなかったのですので、極めて簡単な手続きで終わった記憶しかないのです。

ですが、人生80年から100年と言われて退職後には2億を残さないと老後の生活が辛い、なんて、証券会社とか無責任なフィナンシャルプランナーの話を信じてためた人ならば、残念ながら 3,000万円 + 600万円 x 法定相続人 という相続税の基礎控除以上の資産を残したことが分かった瞬間、さらに複雑な相続税の計算の泥沼に陥る、のです。

いや、だからと言って残さない人生を勧めるわけではないし、さらに残念な事実として、狙った通りの金額を残して自分のタイミングで人生を終える、なんてスティーブ・ジョブスくらいしかできないので、せめて死後の自分が手出しできない相続の部分は家族がなんとか出来るようにしておかねば、という気分にはなる、というか、相続に関する入り口の資料を作ってみたら思った、のです。さらに言えば、ここではそんな終活の準備を促す記事、ではなくて、むしろ残された家族への道標を示すのが本筋、ではあります。つい、忘れそうになるけど。

では託すにはどうしたらいいのか?

相続とかの税務だけが整理、だというつもりはありません。荼毘に伏すときに一緒に焼いてもらうためのものを指定し、形見分けをするためのものをどれにするのか(それに残りは捨ててもらって構わないのか)、だって、税務署の気にしないところであっても残った家族たちにとっては思い出の残ったものですから大事な話ではあります。

まずは資産を引き継ぐ前にそれまでの年収に対する納税、というハードル

とはいえ、金目のものについてはどうしても金額という価値がついて回る以上、時間的な制限すらある納税の対象にならざるを得ない、ようなのです。例えば自分のこの瞬間を思えば、いくつ世界中に銀行口座があって(残高はろくすっぽないけど)、証券口座があって、そのほかの金目になりそうな資産と、それ以上に、自分のクレジットカードが何枚あっていくら使っていて(ということは、マイレージやポイントがいくら残っていて)、どんなサブスク(そこには、Amazonプライムや Netflix 、Dropbox のようなそんな今時の物だけじゃなく、電気、ガス、水道、インターネットのようなものや、不動産の固定資産税だって含まれるワケだけど)にどのカード(クレジットカードだけじゃなく銀行口座からの自動引き落とし)を登録しているか、そして、それぞれの口座やカードで給料から、持っている証券からの利金や配当金、不動産からの家賃収入、ウェブサイトの広告収入や Kindle からの印税(もしあれば)、ヤフオクからブックオフまでの税務署が追っかけてくる可能性のある動産の売り上げ、果ては持続化給付金の入金まで、口座の移動明細のどこまでをまず「自分自身」が把握していることでしょう。

その上で、残る家族にそれぞれの口座へのアクセスの仕方を引き継げるようにしないと、そもそも自分の死んだ年の元旦から死んだ瞬間までの年収に対する準確定申告をするのが大変で、その申告と納税期限である(事実上)死亡してから4ヶ月以内に、その年の収入と控除できる費用を把握して、申告書を作って、納税するまで間に合うか、というのを考えておかないといけないようです。忘れないで欲しいのは、自分なら把握しているけれども、自分じゃない人たちにとっては初めての作業になる、ということです。

で、遺産相続、というドラマチックな話を。。。の前に

よく言われる話として、死んだら銀行口座が凍結しちゃう、ということ。実際、凍結するのは銀行口座だけじゃなく、クレジットカードだって当然に止まっちゃいます。クレジットカードのブログで書いているように、クレジットカードは持っている人の将来の返済能力に依存して発行されているのですから、死人に口はなく、当然稼げないワケだから(遺産を除けば)将来の支払いに対する信用力なんてないに等しい、ということで利用を止められちゃいます。

とすると、怪しいサブスクとかはいいとしても、この5年くらいで公共料金や税金はクレジットカードで払えるようになったのでクレジットカード払いに切り替えて、「あ、クレジットカードの有効期限が過ぎたままにしちゃったから払えず請求されちゃった」なんて経験をした人ならわかりそうですが、カードが止まると公共料金の支払いも止まるから水道が止まる、なんて事態にも。まぁ、口座を凍結されても同じことになるのですが。。。

なので、この辺りのライフライン系の名義変更と支払い方法の変更は最優先でやっておいた方が良さそうです。

そして、遺産相続、なのですが、資産だけが相続されるわけじゃなく

相続税、を計算するには、相続として何があって、どれを誰が持っていくの?という整理をしなければ始まらない、のですが、ピッチの中では、誰が、というところに遺書に予想外の名前が出てくるかも、とか、法定相続人に予想外の人が出てくる話を書きました。いや、遺書はさておき、知らない法定相続人が出てくるってなさそうで実際にあるのでご注意を。

そして、相続するものって、プラスの価値のある物だけ、ではないのです。例えばクレジットカードの未払い利用料(と、もしリボ払いなんてしてたら未払いの金利とか手数料に相当する金額もね)、サラ金からの借入金、そして住宅ローンの未返済分、さらには友達からの借金や、借家の家賃まで、払わなければいけない、というものは一通り、支払い義務を引き継がねばならないのですが、前述のように資産に隠れ資産がありそうなのと同じで、借金とか負債も当然知らないところに隠れている可能性は否定できません。

で、さらに厄介なのは、プラスの資産だけ相続してマイナスの負債は相続しません、という都合のいいことが出来ない、ということなのです。その代わり、例えば100の資産と40の負債と抱き合わせで相続して相殺した結果の 60を経済効果として相続して相続税を負担し、100の資産から40の負債を将来にわたって精算していく、ということが出来るです。

そして、8%の相続税の納税になるかどうかのテスト、とは

前述を踏まえて、例えば、全体で5,000万円の資産と400万円の負債があると、結果として経済的に残る4,600万円に対して、最初に紹介した「3,000万円 + 600万円 x 法定相続人 」という相続税の基礎控除額の計算をして、この基礎控除後に課税対象となる遺産総額が残るか、というテストをすることになります。この例でいえば、法定相続人が3人いれば基礎控除が 4,800万円、という計算になります。

その結果、この例や私の祖母や母の時のように、世の中の92%弱の人たちは、この計算をして課税対象がない、というと、相続税の呪縛から解放され、そうでない8%の場合には、相続税が全体でいくら掛かって、それぞれの相続人に対していくら負担がいくべきか(また、それを踏まえて、この人に資産と負債を寄せて最終的な相続税の負担をどれだけ減らせるか、のような作戦を練り出す)ことになるのです。

と書いただけでも、結構個別性が高いことがわかるでしょ?なので。。。

何をどうしたらいいのか、って人それぞれの部分が本当にでます。それまでの人生を反映している以上、それは仕方のないことなのだと思います。知人と最近話したのですが、その方も結構相続では手を焼いたそうで、相続の得意な共通の税理士さんのアドバイスをちゃんと聞いていれば半年アクションが早かっただけでも1億円の納税額の違いがあった、そうなのです。

他方で、相続の手伝いをします、と言って生前から手数料の無駄に高い信託商品とかコンサルフィーを取ろうとする銀行や信託の営業が本当に多いのも事実です。実名と実際の手口を思いっきりここで公開したいくらいですが、著者の品位を下げても仕方ないので我慢しますが、言いたいこととしては、銀行をはじめとした金融関係の業者はどうしても手数料という利益を優先せざるを得ないのにで絶対に相談する相手にしてはいけない、ということと同時にて、私もその一端にいるフィナンシャル・プランナーや税理士、弁護士と言った人たちの中でも相続に強い人、というのはいますから(全部任せるのではなく)そういう人たちの中立的な意見を元にした助けをもらいながら進めていくことを最初の選択肢に持って欲しい、と思っています。それが、残る家族に経済的に一番効果があって、かつ残された資産や債務などを通じた故人のひととなりや最後の日々の活動を思い出していく時間を作って行ける方法だと感じています。

まとめ

家族を失ってからの日々、というのは、私自身も感じましたが、日常と全く異なる感覚に襲われ続けるのに、常に様々な判断を求められ続ける時間、でもあります。当然、正しい回答を出すことが一番いいに決まっていますが、あの精神状態では何を間違ったか、何をし忘れたか、なんて反省することすら難しかった、と振り返って見ると感じます。

なので、大変な時間だから、一人で抱えず、でも、出来るだけつまらない人たちに捕まらないように。それで後になって、なんてことを、なんて後悔だけはして欲しくない。それがこの記事の1番の思いです。

Why Japanese – なぜ日本で「投資スキーム = 投資信託」なのか ?

going deeper and deeper

コロナ禍のおかげで、というと何やら微妙な表現ではあるものの、2020年の春以降、セミナーというイベントがだいぶオンライン化され、(寝る時間さえ気にしなければ)どこにいても世界中のセミナーに参加できるようになり、オフショア・オンショアの法制度の変更などの最新情報から、今絶賛売り出し中のファンド・スキーム向けのビークルの紹介とその実例(って、シンガポールの VCC – Variable Capital Companyとか、香港の OFC – Open-ended Fund Company のことなのですけどね)などを耳で(笑)勉強出来るいい環境になりました。

日本らしく。しかも奥に行けば行くほど。。。

そんな中、以前本を頂戴した Withers 弁護士事務所の大森先生と、我が盟友である山本先生が、7月の終わり頃に全編英語で(ということは、海外に向けて)日本でファンドビジネスをするには、という話を、ファンドの販売と運用の両方の観点で説明する、というウェビナーを行いました。その内容の意図したオーディエンスの平均を想像するに、日本には投資家という金脈があって成功している近所の運用会社がいるから自分たちも行けるに違いない、と思って日本の外から聞いていただろうなぁ、というところなので、時々、おっと、それをいうと日本に来るインセンティブが(以下略)、という発言があったなぁ、と思いつつも、きている自分もクスッと笑いつつ「現実はそうだよねぇ。。。」と頭をうな垂れる、というシーンも何度かありました。そんな中に、山本弁護士から

「日本でファンドを売るならば、unit trust 売れない。なぜならば。。。」

という説明をする件があり、個人的にちょうど国内税制と、とある国への商品設計の背景について調べていて、基本的には同じ理由が根っこにあることから、大きくうなづきつつも、過去に4000億円ほど外国籍公募投資信託で預からせていただいた身として、これ以外にも大きな障害があることを体験していることから、それだけじゃないんだよねぇ、とも思ったのです。

そして、これを書いている数週間前に、もう10年以上の付き合いになる Maples の香港の(イケメンでナイスガイな)パートナー、Nick Harrold 弁護士による、なぜ日本が Unit Trust を使いたがるか、という動画を配信し始めていて、JID – Japan is Different の説明というのがここで改めて必要になる環境になったのだなぁ、と思っていました。

ということで、実は、この記事は7月のセミナーを受けて8月にslideshare にアップロードしたプレゼンをベースに、弁護士先生たちと違った視点による私家版「なぜ日本でファンド投資は投資信託が主流なのか」という解説をしていきたいと思います。と言っても、日本にいて日本語でこの記事を読む人のほとんどにとって、再発見以外のメリットがない、と言わせない、本当のファンド・ストラクチャリングの基本の考え方に迫りますのでご期待を。

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