前回の記事で、クレジットカードやカードローンの返済が滞る、滞らせるとどう返済するのか、を割とふんわりと説明しましたが、実際、滞り始めると借金の返済をどう解決する、という話と同じであるため、通常はあそこまで簡単で返せる前提のお気軽なお話にはならないケースがほとんどです。
複数のクレジットカードやカードローン、消費者金融などから借りては返しての自転車操業でなんとか給料日まで凌いだものの給料以上の返済額に膨れ上がってしまったのでまた借金でつないで。。。
となると、クレジットカードの使い過ぎやカードローンで借り過ぎたときに実際にいろいろな方法でその膨れ上がりすぎた借金を片づけなければならない、という現実が見えてきます。
そこで、今回は前回よりもさらに重い、返せなくなったら、いったいどうなるのか、というところを事前に知っておこうと思います。
返せない可能性が見えてきたら、どうなっちゃうの?
軽いものから徐々に重い解決方法に順番に見ていきますと。。。
任意整理:多分一番軽いけど社会的制裁を受ける債務免除の方法
任意整理というのは、裁判所による調停を交えることなく借金の借り手(債務者)と貸し手(債権者)との間で返済方法を協議しながら債務者の借金を整理して完済を目指す方法です。当然、債務者が債権者と交渉を直接するということは、債権者は返して当然と考えるためあなたの債務返済方法の提案の話を聞くことはないでしょうから、債務者が弁護士さんなどに間に入ってもらって交渉してもらい、返済期間の延長や返済スケジュールの調整、借り入れ利息の減免や、借り入れ元本(借りたお金)の一部減額などをしていくことになります。これによって最終的には完済を目指していくことになりますので、返す意思と返す見込みが必要になります。
なお、任意整理のために弁護士先生にお願いすると、その瞬間から借金の取り立てが債務者のところに来なくなります。というのも、その先生があなたの代理人となって交渉に入るからです。その意味では日常生活もあまり変わらなく過ごすことが出来るのです。
ただし、これを使うと、5年間は新しいクレジットカードやカードローン、その他の借金や携帯電話の本体などを含む割賦販売が出来なくなり、現金だけでの生活になります。
特定調停: 裁判所での調停で完済を目指す
簡易裁判所に、債務を抱えているが返せなくなる恐れがあるので債権者と調停を求めたい、という申し立てをすることで行う、債務整理の方法です。この方法ではまだ返済する意思があり、一定の返済をし続けることが必要となる一方で、調停ですので話し合いがつかなければ解決できなくなります。
弁護士を介して申し立ても可能ですが、個人でも申し立てが可能、ということで一時期は多くの申し立てが行われていたそうです。
ですが、任意整理のようにひとたび代理人が立つと督促が止まる、ということはなく、また、複数の債権者に調停を行い、同意するという交渉をし続けなければなりませんし、そのテーブルに着く前に遅延利息が日々積み重なっていき、調停が不調に終わればまた督促が続く、ということで、リスクも高い方法として認識されているようです。
実際、調停の97%が不調に終わっているという統計があるそうです。
個人再生:裁判所の決定に基づく再生を目指す
地方裁判所に、債務を抱えているが返済できない可能性があるので、再生計画に基づいてある程度返済するので債務の一部の免除を求めたい、という場合に使われる方法です。その再生計画が裁判所で検討され、場合によっては債権者の半数以上がそれに同意する必要があるのですが、この場合、自己破産と異なり自宅売却や自動車の処分までは行いません。
この場合、債務は原則5分の1まで免除されるので返済は楽になります。その意味ではメリットは大きいのですが、反面、官報に住所と氏名が掲載されるので金融機関のブラックリストに載ることは間違いなく、向こう5年から10年は新しい借金やクレジットカードやカードローンの契約が出来なくなるのは確実、なのは任意整理と同じですね。
自己破産:もはや返済能力がないので裁判所の決定に基づいて債務免除する
もはや返済能力がないので裁判所によって破産宣告を受けて破産者としてもらい、それを受けて債務の免除を求めるという方法です。当然、その代り保有する資産は生活に必要最低限のもの以外は差し押さえられますので、債務はないけど資産もない状態からの再出発となるのです。
ある意味借金がすべてなくなる、というメリットはありますが、平成15年以降、免責許可(借金棒引き)の条件が厳しくなったことから自己破産として認定してもらえない可能性がたかまったのも事実です。
また、個人再生同様、破産宣告も官報に住所と氏名が掲載されることから金融機関のブラックリストに載ることで向こう5年から10年は新しいクレジットカードやカードローンを含めた契約が出来ないのは当然の事、破産者リストにも載るため会社の取締役や弁護士などの一定の資格の仕事に就くことが出来なくなる、長期旅行や転居も裁判所の許可が必要という自由の制限、郵送物は必ず管財人が一度目を通す、そして、ほぼすべての財産が処分されるので免責直後は生活に必要な20万円程度しか手元に置けず、その後も現金は最高で99万円まで、という、その後の生活を確保するという意味でも厳しい環境に置かれることにもなります。
そして、免責を受けてから7年間は改めて免責を受けることが出来ませんので、再び借金にまみれても助けてもらえません。また、税金や養育費、個人事業主ならその従業員の給与は必ず払わねばなりません。
まとめ
ということで、クレジットカードやカードローンも使い方を間違えると、果てにこんな結末が待っているということを知っておくと、使い方も気を付けなければ、と思って頂けるのではないでしょうか。
本当に、ご利用は計画的に。借金で人生を棒に振るほど割の合わないことはない、というのは実際に自己破産や任意整理を経験した人たちが口々にいうことですので。。。