プロの投資家って – ついでに香港のルールも覗いてみた

前回、日本とアメリカのプロ投資家に関する規制について比較してみた訳ですが、そこで分かったことは、プロの投資家に対する保護の考え方であったり、投資家の性質に対する定義の大きな考え方の違いというのが際立って見えた、ということでした。

となると、じゃあ、他の国はどうなの?というのが気になるのが世の常(?)ということで、とりあえず日本から近い、投資家の多い国ということで香港を見てみました。まずは例によって、急いで答えだけが欲しい人のためにこんなコンテンツでも。

いつものように Slideshare でやってみた。
ついでに1分ちょっとでみられる動画にもしてみた。よかったらチャンネル登録してね(笑)

さて、もうこれ見ちゃったから、終わり!と思わなかったあなた。ここからが本番、というのはよくご存知ですね。とは言え、少し噛み砕いて整理しておきたいことがいくつもあるのでちょっとお付き合いくださいね。

香港のプロ投資家制度の目的

資料の中でも触れましたが、香港の証券取引やファンドの規制を決めている法律は Securities and Futures Ordinace という、日本語に直すと証券先物条例を軸にしたもので、日本でいうところの金融商品取引業の業種分類(Type 1 から Type 10 までの 10種類あって、そこには信用格付けの付与も対象に入っています)から取引のルールまでを決めているものです。この中にはプロ投資家の定義というのも与えています。とは言え、その中で定めているのは Institutional Professional Investor と呼ばれるいわゆる金融のプロたる認可を受けた業者や銀行などを指していて、それ以外の個人等については別途 Securities and Futures (Professional Investor) Rule で定めることと、としています。

個人のプロの定義って?

さて、ではその Rule の中で個人はどう定義されているか、というと、大きく分けると二つ、個人資産を束ねたようなファミリー企業やファンドの形態をとったもの(Corporate Professional Investor)、(夫婦などの共同口座を含む)自然人である個人(Individual Professional Investor)に分かれていて、前者は HKD 40 mil (ざっくり執筆時点の今だと 1香港ドル =14円なので 5.6億円程度) のサイズのファンド、後者だと HKD 8mil (1.1億円ちょっと)の金融資産を持つ個人、ということになります(当然、その他の条件もあるので、詳しく知ってビジネスをしたい人は香港法に詳しい弁護士さんまでどーぞ)。

で、プロ投資家を相手にするメリットって?

もちろんプロ投資家を相手にすることで、運用業者などのメリットというのが気になるわけで、例えば日本ならばいわゆる63条特例業務のようなライセンスの免除対象になるか、という期待があるかと思いますが。。。プロ相手では期待外れのようです。

その免除規定が示されているのは、Code of Conduct for Persons Licensed by or Registered with the Securities and Futures Commissions (SFC から免許を受けたもしくは登録した者の行動規範、と訳するのかな。。。)の 15条で、ざっくり言えば、

  • Institutional Professional Investor には自動的に免許業者による説明義務の一部の免除
  • Corporate / Individual Professional Investor のうち、一定の条件を満たすことを条件に、説明義務の一部の免除

がある程度。これって実は、日本でいうところの、特定投資家に対する証券販売時ならびに運用期間中の説明義務の免除、と変わらないのです。

そう言われると、Institutional Professional Investor が日本の適格機関投資家のような顔ぶれに近い、と言われても納得が行くところですし、香港でもプロの投資家というのは自分でそれなりに投資対象等を理解して投資する、保護の対象外、という扱いだということが見えてきます。

じゃあ、逆に私募とかどういうルールなのよ

って思っちゃいますよね。で、よくよく日本だって考えてみればまず50名以上への公募がありきで、そこに勧誘行為をどの 6ヶ月期間においても 50名以上(二項有価証券なら 500名を超えて)にしてはいけない、という少人数私募と、適格機関投資家限定ならば何人にでも、というという適格機関投資家限定私募の大きく分ければ3つあるけど、基本的には一項有価証券なら第一種金融商品取引業者、二項有価証券なら第二種金融商品取引業者しか募集なり販売を取り扱うことが出来ません。

この大前提に対して、「最低ひとり以上の適格機関投資家と49名以下の投資判断能力を有すると見込まれる一定のものが含まれる場合に」適格機関投資家等特例業務、という金融商品取引業者としての事業届出(とそのための資本規制や人的構成などの準備)をせずに特例業務の届出で事業が開始できる、という免除規定があるので、プロ投資家である適格機関投資家との取引をしたい、というインセンティブが働くのです。で、これと同義のものが香港にあるかというと、個人的には実は法律の文章での明文化されたものを見つけていないのですが、香港内でpublic ではなく 上記の professional investors にのみであればSFCに認可されていない投資家への私募は可能ということになっています。スライドとかに書いた、如何なる12ヶ月期間以内に 50名までの募集を、最低投資金額 HKD 500,000で、というのはthe Seventeenth Schedule to the Companies (Winding Up and Miscellaneous Provisions) Ordinance によるsafe harbour ルールからくるもので、会社型のみの適用、だそうです。(ということでスライドとか 動画とか直さなきゃ。。。)前者は、ああ、と思いたくなるものですが、後者は、プロじゃなくても良いの?と思わず二度見するルールではあります。とは言え、会社型、ですからねぇ。使い勝手はなんとも言えません。

まとめ

ということで、これで日本含めて3カ国のプロ投資家の環境をみてみましたが、こうなるとシリーズ化しないわけにいかなくなりますね。次は、そうなるともちろん、あの島かな。。。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

このサイトはスパムを低減するために Akismet を使っています。コメントデータの処理方法の詳細はこちらをご覧ください

error: This Content is protected !! この記事は印刷不可です。