合同会社の社員になって一緒に儲け話に乗らないか?

知らない人を共同経営者に迎えるってこういう雰囲気にはならないような。。。

本来ならば、「パナマ・ペーパー」のことを書くのが本来のブログの目的であるオフショアの金融事情をご紹介するところですので自然なこと、なのですが、 当然のことながらレポートそのものを読んでいませんし、内容の意味もよくわからずに無駄に大騒ぎして民衆を煽り立てるメディアの情報もあまり耳にしていないので、その状態で何かを語るのもどうかなぁ、と思いつつも、掻い摘んで話すならば。。。

いや、一旦いろいろ書いたけど、やっぱりやめた。いろいろ面倒が多そうだから。。。

さて、表題にある本題にいきましょうか。

believe or not – 世の中にはこんな人がいます。

個人的に流し読みをしている、某怪しい人が主宰するメルマガがあります。本人曰く、某メーカーに就職して、アジア某国で英語も話せないのに成功しながら、プライベートでメルマガで荒稼ぎしたら副業禁止だったので会社をクビになり、アジア某国に拠点を移して似たようなネット系の商売をしている人たちと横のつながりを生かしていろいろと投資案件をしたり、スピ系のネタで人の性格などをプロファイリングをしたり、派手に遊んでいるのをメルマガで流しながら、ちょっとタチが悪いとネットでは評判の投資助言業者のシグナル配信のサービスの宣伝をしたり、仲間内限定で為替相場との相関性の高い株の信用取引のロジックを共有してデイトレで稼いでいるのを見せながら自分のメルマガの有料サービスに誘導したり、と、まぁ、怪しいそうなので眺めているのですが、その中でちょっとこれはヤバかろう、というのがあったので、注意喚起の意味を含めてちょっとご紹介してみようと思います。

基本的にこの連中の商売に加担する気もないので出来るだけ検索に使えそうなキーワードは外すようにしていますが。。。知っている人が読むと分かるかな。すでに上記だけでも十分特定できそうですが。。。

話の前に、まず金融商品取引法の復習から

以前の記事で書いた通り、現在の金融商品取引法において、個人が機関投資家が参加するようなハイリスク・ハイリターンな事業投資系の案件に投資をしようと思うと、適格機関投資家向けではない一般的な私募案件に仕立ててもらって参加するほかはありませんでした。

また、逆にそんな事業投資や不動産投資などをちょっと広めの個人から投資資金を募って運用したい、と思うと、本来ならば資産運用業(この場合一任運用業)の届け出をしなければならないのですが、届け出が受理されるまでに運用やコンプライアンスなどの複数の部門の責任者を雇い続けていかねばならないので、事業を行うまでに資金的問題が起こり得る、など運営コストの負担が大きすぎるという事業開始の際のハードルが存在します。そこを回避したい、といって匿名組合や投資事業有限責任組合の無限責任会社を金融商品取引法第63条に基づく適格機関投資家向け特例業務を行う事業者として届け出て、またそのために適格機関投資家から形式上でもいいから投資資金を受けることで特例業務を行うようにして、私募での個人へのアプローチをする、というルートを目指す人が後を絶たなかったわけです。

私募の本当のハードル

上記のリンク先の記事で最近のルール変更で個人向け投資勧誘へのハードルが上がったことをご紹介していますが、ハードルが上がる前から、実はそもそも個人向け私募勧誘には一つの大きな問題があったのです。何かといえば、通常、証券会社などで私募であっても公募であっても、商品勧誘を行っても 100%投資する、はずはないのです。10人に一人、もしくはもっと低い確率で投資すると考えられています。でも、考えてみれば当然ですよね。常に余剰資金があるとは限らないですし、私募案件になればリスクリターンが高くなるので、投資対象への理解などがないものには投資しない、と判断する人が増えて当然なのです。

でも、例えば投資信託ならば私募は如何なる6か月の間に49人までにしか「勧誘」を行ってはいけないのです。投資ではないのです。勧誘なのです。ということは、6か月に49人勧誘して、実際に投資するのはよくても5人行けばいい方。一人当たり、1,000万円としても 5,000万円。個人の資金からすれば十分大きく思えますが、事業投資ともなれば微妙に足りず、不動産投資ならば全然足りない計算になるのです。確かに理論上、最初の6ヶ月と次の6か月で全く別の49人ずつにアプローチすれば各半年ごとに5人ずつ徐々に積みあげて50人を超えた投資家を受け入れることは可能ですが、投資自体一括投資というものだと十分集まらない、という話になるでしょうし、投資スキームの設立費用等が最初の5人に大きく負担させることになるので、投資タイミングの違いでの不公平感も発生しやすくなるのです。

私募のハードルを越える

そこで。考えました(私が、ではないですよ。)。

もし、美味しい投資話にいつでも乗りたい、という投資家候補を最大 499人常にプールすることのできる仕組みがあれば、上記の10%の投資家のヒットレートが格段に上がるので運営管理報酬が大きく期待できる、と。そのために、投資事業に継続的に参加することが会社の目的となる合同会社を作って、その投資家候補をそれぞれ合同会社の社員として出資をさせて、社員集会という名前の投資情報提供を行えばいいのではないか。投資も社員からの追加出資をまとめて一本にすれば企業投資家としての参加になるので個人投資家のハードルもなくなるし、投資の分配も合同会社なので参加した社員にだけ分配することも当然可能。仮に社員が個人で共同投資の形をとるとしても、社員が最大499名だから私募の範疇に収まるから問題はないだろう。

ちなみに、なぜ499名か。それは事業投資につかう匿名組合も投資事業有限責任組合の投資持分も、そして合同会社の社員持分も、全部、金融商品取引法上、いわゆる第2項有価証券なので、私募の上限が499名。下手な株や債券、投資信託より上限が大きいので都合もいい。

しかも、社員として当初入るのに、後から入ると諸々のトレーニング費用など、と名目で徐々に高くする、といえば慌てて我先に、と入って提灯で釣り上げた案件などに食いつこうとするだろう。

この、秘密結社的で、日本でまだなじみの薄い合同会社のスキームを使えばリターンのより大きいと思われる案件に参加したいと思っている個人をうまく取り籠めるんじゃないか。しかも、そういう投資をしてみたいとメルマガに参加しているわけだからここでもヒットレートは高いだろうし。。。

という事で、そんな投資プラットフォームの勧誘がメールマガジンで配信されているんです。時々。

でも、ちょっと待ってくださいな。

確かに、一度合同会社の社員になれば投資機会も私募の範囲で紹介されるしその範囲で自分の責任で投資すればいい話、ではあるのですが。。。そもそも合同会社の持分をメールマガジンやそれに連動するウェブサイトでその存在を公共の閲覧となるインターネットで知らしめて参加について投資家候補から問い合わさせる、リバース・ソリシテーションを行うのって、実は私募ではなくて公募に当たるんじゃないの?

日本では、金融商品を公共の閲覧に具することで紹介することや、その存在を知らしめて投資家候補から問い合わせをさせることで自ら紹介しないリバース・ソリシテーションも、勧誘行為に当たる、という判断がされています。なので、私募商品が一般的に証券会社の窓口やお店の窓に並んでいない、のです。しかも、今回は自己募集、ですからねぇ。。。お友達とかに資本参加を求めるならまだしも、何人参加しているのかわからないですが、メルマガを通じて不特定多数への声がけって。。。やばいんじゃない?しかも、この投資スキーム、メルマガ曰く、日本の金融商品取引のコンプライアンスを知り尽くした、M&A の名手、とされる人が考えて作り、投資案件もソーシングしてくる、という触れ込みもあるんですが。。。

なんか大丈夫なんですかねぇ。というか、こういう話も世の中でてくるようになってきたんだなぁ、と思うと、パナマ・ペーパーどころじゃないような気がしている著者でした。
常に言いますが、投資は自己責任で。

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