AIMA Japan フォーラム 2016 、無事終わりました!

白木さん、3年間の会長職お疲れ様でした。

白木さん、3年間の会長職お疲れ様でした。
白木さん、3年間の会長職お疲れ様でした。
このブログを読んで頂いている方の半分は多分ご存知のことと思いますが、このブログの筆者は世界的なヘッジファンドの業界団体、Alternative Investment Management Association (AIMA) の日本での活動の2009年からお手伝いをさせて頂いておりまして(と、今、こちらのウェブサイトでの自己紹介をみて確認しました。もう7年もお手伝いしていたか。。。)、特に私の得意分野、というより、出来ることが翻訳作業とプロセス管理、というところで、業界標準となっているヘッジファンドの関係者の調査をするための Due Diligence Format の翻訳をしつつ、年次で開催しております一日がかりのイベントの担当をさせて頂いております。

今年も東証ホールで6月8日に開催いたしましたが、当日の参加者の方たちから結構好評を頂いたので、ちょっとどんな会だったのか、こちらでご紹介したいと思います。

AIMA Japan フォーラムってなにするの?

ざっくり言えば、一日掛けていろいろなプレゼンテーションやパネルディスカッションを聞くことでヘッジファンドを中心としたオルタナ投資の今、が分かるイベントです。

今年は(気付いたら)特に話の軸になるテーマを決めずに演目が一気に埋まった(というより、アイデアが集まりすぎてスロットを増やすために一つ一つのスロットを35分、と平均的な大人の集中力の持続可能な時間すれすれに縮めて、それでも一つ演目を諦めた、という裏話もあります)のですが、例年はその年の市場の注目すること、例えば昨年ならば「日本でのコーポレートガバナンスコードの導入とその影響」、のようなものを軸にして、それぞれの演目が構成されていきます。

今年は前述の通り特に軸になるテーマはなかったものの、自然とコーポレートガバナンスコードが導入されて一年経ったことに対する評価であったり、アベノミクスの第三の矢の話だったり、投資家の動向調査であったり、当局の規制の直近のアップデートであったり、パナマ文書の影響までも入った、タイムリーな話が盛りだくさんな会になりました。そのお陰もあってどのセッションにおいても会場のかなりの席が埋まる、という大盛況な会になりました。

ちなみに、今回の内容については、オフレコの内容もそれなりにあったこともあり、総括もしないでおこうと思います。じゃないと、来なくてもわかる、では困りますからね(笑)

ちなみに Educational Sessions というのもやってます(笑)

はい、昨年は実はAIMA Hedge Fund Forum として10周年を迎えた年でしたので、ちょっと記念ということもあり、それ以上に、国内での新しい世代の関係者をもっと増やしていきたい、ということを執行委員の間で議論されたこともあって、メイン・イベントの前日の午後の2時間に教育的な無料セッションを行うことで、いわゆる若手の人たちが気軽に参加して学んでもらえるようなイベントを始めよう、という試みがされました。
で、これが思った以上に好評だったので、今年もやったのですが、こちらも登録者数も実参加者数も前年を上回る結果となりました。今年は特に、スピーカーがすべて英語圏の人たち(と言いつつ、一人は頑張って日本語で話してくれましたが。。。)でしたので、英語に自信の持てない人たちから参加しづらい、という声を頂き、急きょ同時通訳を入れることを決めました。それも増員の一因になったようです。

今年はそんなによかったの?

おかげさまで、スポンサー数が過去最高で、事前登録数もスポンサー様による招待を含めて過去最高、そして、実参加者数もまだ正確な数字を見ていませんが過去最高水準になると実感しています。一番席が埋まっていなかったセッションですら空席がそんなに見られませんでしたから。

で、今年はなんでそんなによかったの?

CFA Institutes の CEO は Paul Smith さんといいます。どこかで聞いたことがあるような。。。
CFA Institutes の CEO は Paul Smith さんといいます。どこかで聞いたことがあるような。。。

なんででしょうねぇ。多分、私以上に(笑)オルタナ投資のマニアならば、AIMA とオルタナ投資の分析に関する世界的な資格である CAIA (Certified Alternative Investment Analyst) を提供する教育機関CAIA Association、そして証券アナリストの世界的な資格、Chartered Financial Analyst の組織、CFA InstitutesのそれぞれのCEO が一堂に会した、という世界的にも稀な場になった、というのがあるものの、そんなのは本当にマニア向けの話であって(笑)、

例えば基調講演に、河野太郎国務大臣と日銀の原田委員にそれぞれお願いしたことで、政府と中央銀行のそれぞれから、それぞれの立場で何に注目し、何をしようとしているのかが聞けるのでは、という期待感が高まったから、というのは一つ大きかったのかと理解しています。

また、正直そんなに安くはない参加費用ですのでそれでも聞きたい、と思って頂けた方が増えたのも一因だと思いますが、他方で、過去最大のスポンサー数だったことから、スポンサー各社さんのお声がけで招待されて関心を持って来て頂けた方も自然と過去最高になったのも当然にあるかと思います。

でも、無料だと案外あっさりといかなくてもいいや、と思いがちのところを実参加者数としても通常の会だと70%程度のところを上回るのはいつもながら、本当に関心を持って参加を受けて頂いている方が多いんだな、という熱意でもあり、こちらは開催する側からすれば毎度とても感謝しているところです。

スポンサーの数が過去最大になったことについてもちょっと考えてみたいと思います。実は、毎年スポンサーの方にスポンサーのお願いをするのが年明けも4月の中旬から、というのが過去ずっと続いていました。でも、外資系の会社さんですと翌年の予算は11月くらいにはある程度、日本の企業さんでも3月には決まっている、というのが通常ですので、予め予算を組んでもらえていない状態でお願いをして無理無理出して頂いていた、というのが過去の実際だったようです。

それに対して、今年はアジア地域には11月にアジア地域全体へのパッケージとして、日本国内でも3月になるかどうか、というところで、ある程度の値段的な目安を話しながら予算への組み入れをお願いし始めてみました。
とはいえ、日本の市場への関心が薄ければ当然出して頂けない訳ですから、この環境下でも日本への関心がまだ強い会社さんが多かったんだ、ということが分かったのも、日本に軸を置いて仕事をしている身としては喜ばしいことだと理解しています。

来年はどうする?どうなる?

どうなるんでしょうねぇ。2日イベントにしよう、という声があがってますし、そうなれば個人的にはそろそろ運用者のパネルだけではなくアドミやトラスティのようなファンドのインフラを担当する関係者のパネルを久しぶりにやって、実務的な観点での近年の規制強化への対応について話をして多くの人に理解を求めるようなことをしたいな、と思っているのでそのチャンスも広がるかな、と思っていますが。。。

実際に仕事をしながら会の運営をしていくのは結構大変なんですよ。マジで(笑)
なので、よかったよ、という声を聴くと嬉しいし、頑張っちゃいますが、もう少し一緒に頑張りたいな、という人が欲しいな、というのも事実。なので、業界含めて一緒に盛り上げたい、という方大募集です(笑)

なんにせよ、また来年もこのイベントでお目に掛りましょう!
#って誰に言ってるんだか。。。

パナマ・ペーパーで大騒ぎしてますが、これの本当の問題ってなんですの?

レポートを見てなにを舞い上がるのか。。。
レポートを見てなにを舞い上がるのか。。。

これを慌ててアップしようとしている今日(笑)、その日本時間の早朝(2016/May/10日本時間午前3時)に、いわゆるパナマ文書、とかパナマ・ペーパー、とか言われるパナマの法律事務所から流出されたとされる文書の全貌が公表されました。

あ、ちなみに、一通り見ましたが、ごく普通の人、なんだろうなぁ、という日本人の名前が1000人近くさらされているのもどうなの?と思ったりしましたが、念の為確認しましたが私の名前はありませんでした(笑)

台湾が Province of China という扱いなのに怒っている人がいるだろうな、ということと、日本にいるとされる外国人の名前の多さ、そして多分、知人ひとりの名前を見つけたのはさておいて。

オフショアのファンドを生業の一つとしている私的には、変な風評被害になりかねないなぁ、とずーっと気になっていることではあるものの、なんで世の中がこれにそんなに騒ぎ立てているのか、本質じゃないところで騒いでるようにしか見えないので、「擁護するとはけしからん」という声が聞こえることを前提に、ちょっときわめて個人的な視点でまとめてみようかと思います。

ちょっと注目してほしいと思っている点

  1. どういう訳か顧客の情報機密性の高いはずの弁護士事務所、しかもパナマなんてオフショアの金融センターとしては極めて微妙な国の法律に携わる事務所から情報が出た、というのが個人的には何かしらの悪意があるようにしか思えない。実際、これをリークしたのがジャーナリスト集団ですので、別の意図で追いかけていた流れで見つけたんでしょうけど。。。言い換えると、情報自体が盗難品の可能性があるわけです。信ぴょう性はあるでしょうけれども、その情報ソースと取得方法について誰も違法性を問わないのはなんでしょう。クラッカーたち(世の中的にはハッカーと呼ぶでしょうけど、IT geek 的には人様のサーバーに不法に入りこむ連中はハッカーではなくクラッカーと呼ぶべきと、20年以上前から主張してますので、わたくし。。。)による被害、とされていますが、この連中はいったい誰に頼まれたのか。。。
  2. 確かにパナマは 2000年までは FATF (Financial Action Task Force) のブラックリストに、つい今年の2月まではグレーリストに載っているほど、反マネーローンダリング/反テロリストへの資金供給に対して協力的ではありませんでしたが、今では協力的になっている(というより、最近の方向転換を歓迎されてグレーリストから外れたばかり)なので、いわゆる US/UK FATCA や CSR (Common Standard Reportings) を通じての税務情報交換協定に協力的。ということは、ここに記されている、アメリカが指定した独裁国家の独裁者の家族、のような人を含むいわゆる各国の政府高官関係者など (PEPs: Politically Exposed Persons、ってこの間の記事で紹介しましたよね)が今のこの時代に自己の資金管理のためのオフショアの会社などを作り、取引口座を開ける、というのが難しいのが今のルール。この間ファンドを作った時ですら、かなり厳しい手続きを求められました。言い換えると、ここに名前が上がってきている諸国の政府高官から大金持ち、セレブリティたちは、昔のヨーロッパの富裕層が資金とその秘匿性を守るために作った仕組みに乗っかって、20世紀後半から21世紀の最初の7年の間にその当時のルールに基づいて行ったことの結果である以上、その当時の居住国と口座開設国の双方の国での法制度上の問題点や現在の法制度との違いを問うことをせずに、後だしジャンケンで、今の世の中で解いている倫理上の問題点を突き上げて資産隠しで税金逃れ、といるとみることが出来ます。ぶっちゃけ、最近かなり増えた、自分のその瞬間に感じた主観だけが正義と大声で言えば通ると思い込んでいる、よくいる近視眼的な連中と変わらない、というか、時代遅れの情報を引っ張り出して騒いでいるゴシップと変わらないようにしか見えませんが、そういうと怒られるのかな。
  3. 以上のことをここではパナマに限って話しているものの、私たちが普通にファンドを組成するときのように複数の国の複数の投資ビークルなどを組み合わせた投資スキームを使うのは(日本国内で売られている公募投資信託ですら)普通のことなのです。しかし、パナマ・ペーパーで「も」パナマ以外のオフショアの様々な関与をつまびらかにして、オフショアがいかにお金に汚らしいか、のように見せてますが、オフショアとオンショアを結び、オフショアとオフショアを結び、オンショアとオンショアを結ぶ、世界中の銀行と中央銀行をつなぎ合わせたお金の流れるネットワークは、今や世界中の情報の流れを一手に担っているインターネットと同じ社会インフラであり、またこれと対比する説明をするならば、ウェブサーバーが情報に意味づけをして再配信する役割をするのと同じように、ファンドなどの投資ビークルなどはお金がその力を特定の目的のために使われるように集めて利用する役割を担っているわけです。そこにはオンショア/オフショアの違いはなく、利用する人の意図によって使われ方や影響が大きく変わる、というのは情報インフラであるインターネットが誰もが分け隔てなく使えるがために、人助けにもテロリストの情報発信にも同じように使われるのと変わりがない、のです。(これも怒られるんだろうなぁ。(笑))
  4. ちなみに、今回オフショアの舞台としてあげられている国として、パナマはもとより、BVI、バハマ、(あと、本ブログでもご紹介したベリーズか(笑))のようなカリブ海の島々だけでなく、香港、セイシェル諸島、ジャージー島、ガーンジー島、マン島といった英連邦系オフショア地域、マルタやキプロスのようなEU 加盟国でもファンド設立に使われる国、シンガポール、そして、ニュージーランドやイギリス、ワイオミング州といった、一見オンショアのはずなのに非居住者が設定すると非課税になるメリットを生かせるスキームの存在するオンショアまで、縦横無尽に使われていることがわかります。が、実は日本の信託勘定も非居住者が設立して使うと非課税のメリットがあることが海外では知られています。なので、オフショアがとかオンショアが、という観点で租税回避地をつるし上げるのは早計ではないかな、と。
  5. ちなみに、今回ケイマン諸島とバーミューダがほとんど出てきてませんが、前項のそれぞれの国のビークル管理の観点で比較するとこの二つの地域は個人資産を抱えるには維持費などがかかりすぎる、ので敬遠されていたのかもしれません。

で、結局これで得するのは誰?

各国の税務当局だけ、な気がしてるのは私だけ?でも、こんな租税回避地に逃げたいと思わせる課税ルールを作った自分たちの結果、という反省がないんですよね。ええ、私は働いた人たちが正しく報われて、かつ社会インフラの費用は国民全部が公平に負担する仕掛けを作るべき、と考えているフラット・タックス信者ですので、こんな累進課税の結果のなれの果て、である今回の騒動については、すべては課税ルールが悪いから起きただけじゃねーの、くらいにしか思ってません。はい。
とまぁ、久しぶりに、個人的なブログで書くぐらいの私的感情丸出しになりましたが、ゴシップの人たちから比べれば公平性を保つように書いたつもりですのでご容赦を。

[追記 10/May/2016 23:51 JST]

ちなみに、interactive 版で企業名や名前を入れると関連するオフショアでの会社や他の関連する人物などが図示されます。ある意味わかりやすいのですが、わかりやすすぎて個人の住所とおぼしき情報まで出てきますので、正直こんな社会的制裁を加えることに疑義を覚えずにはいられません。

合同会社の社員になって一緒に儲け話に乗らないか?

投資家さんを集めるのってこんなに和気藹々ではないのですが
知らない人を共同経営者に迎えるってこういう雰囲気にはならないような。。。

本来ならば、「パナマ・ペーパー」のことを書くのが本来のブログの目的であるオフショアの金融事情をご紹介するところですので自然なこと、なのですが、 当然のことながらレポートそのものを読んでいませんし、内容の意味もよくわからずに無駄に大騒ぎして民衆を煽り立てるメディアの情報もあまり耳にしていないので、その状態で何かを語るのもどうかなぁ、と思いつつも、掻い摘んで話すならば。。。

いや、一旦いろいろ書いたけど、やっぱりやめた。いろいろ面倒が多そうだから。。。

さて、表題にある本題にいきましょうか。

believe or not – 世の中にはこんな人がいます。

個人的に流し読みをしている、某怪しい人が主宰するメルマガがあります。本人曰く、某メーカーに就職して、アジア某国で英語も話せないのに成功しながら、プライベートでメルマガで荒稼ぎしたら副業禁止だったので会社をクビになり、アジア某国に拠点を移して似たようなネット系の商売をしている人たちと横のつながりを生かしていろいろと投資案件をしたり、スピ系のネタで人の性格などをプロファイリングをしたり、派手に遊んでいるのをメルマガで流しながら、ちょっとタチが悪いとネットでは評判の投資助言業者のシグナル配信のサービスの宣伝をしたり、仲間内限定で為替相場との相関性の高い株の信用取引のロジックを共有してデイトレで稼いでいるのを見せながら自分のメルマガの有料サービスに誘導したり、と、まぁ、怪しいそうなので眺めているのですが、その中でちょっとこれはヤバかろう、というのがあったので、注意喚起の意味を含めてちょっとご紹介してみようと思います。

基本的にこの連中の商売に加担する気もないので出来るだけ検索に使えそうなキーワードは外すようにしていますが。。。知っている人が読むと分かるかな。すでに上記だけでも十分特定できそうですが。。。

話の前に、まず金融商品取引法の復習から

以前の記事で書いた通り、現在の金融商品取引法において、個人が機関投資家が参加するようなハイリスク・ハイリターンな事業投資系の案件に投資をしようと思うと、適格機関投資家向けではない一般的な私募案件に仕立ててもらって参加するほかはありませんでした。

また、逆にそんな事業投資や不動産投資などをちょっと広めの個人から投資資金を募って運用したい、と思うと、本来ならば資産運用業(この場合一任運用業)の届け出をしなければならないのですが、届け出が受理されるまでに運用やコンプライアンスなどの複数の部門の責任者を雇い続けていかねばならないので、事業を行うまでに資金的問題が起こり得る、など運営コストの負担が大きすぎるという事業開始の際のハードルが存在します。そこを回避したい、といって匿名組合や投資事業有限責任組合の無限責任会社を金融商品取引法第63条に基づく適格機関投資家向け特例業務を行う事業者として届け出て、またそのために適格機関投資家から形式上でもいいから投資資金を受けることで特例業務を行うようにして、私募での個人へのアプローチをする、というルートを目指す人が後を絶たなかったわけです。

私募の本当のハードル

上記のリンク先の記事で最近のルール変更で個人向け投資勧誘へのハードルが上がったことをご紹介していますが、ハードルが上がる前から、実はそもそも個人向け私募勧誘には一つの大きな問題があったのです。何かといえば、通常、証券会社などで私募であっても公募であっても、商品勧誘を行っても 100%投資する、はずはないのです。10人に一人、もしくはもっと低い確率で投資すると考えられています。でも、考えてみれば当然ですよね。常に余剰資金があるとは限らないですし、私募案件になればリスクリターンが高くなるので、投資対象への理解などがないものには投資しない、と判断する人が増えて当然なのです。

でも、例えば投資信託ならば私募は如何なる6か月の間に49人までにしか「勧誘」を行ってはいけないのです。投資ではないのです。勧誘なのです。ということは、6か月に49人勧誘して、実際に投資するのはよくても5人行けばいい方。一人当たり、1,000万円としても 5,000万円。個人の資金からすれば十分大きく思えますが、事業投資ともなれば微妙に足りず、不動産投資ならば全然足りない計算になるのです。確かに理論上、最初の6ヶ月と次の6か月で全く別の49人ずつにアプローチすれば各半年ごとに5人ずつ徐々に積みあげて50人を超えた投資家を受け入れることは可能ですが、投資自体一括投資というものだと十分集まらない、という話になるでしょうし、投資スキームの設立費用等が最初の5人に大きく負担させることになるので、投資タイミングの違いでの不公平感も発生しやすくなるのです。

私募のハードルを越える

そこで。考えました(私が、ではないですよ。)。

もし、美味しい投資話にいつでも乗りたい、という投資家候補を最大 499人常にプールすることのできる仕組みがあれば、上記の10%の投資家のヒットレートが格段に上がるので運営管理報酬が大きく期待できる、と。そのために、投資事業に継続的に参加することが会社の目的となる合同会社を作って、その投資家候補をそれぞれ合同会社の社員として出資をさせて、社員集会という名前の投資情報提供を行えばいいのではないか。投資も社員からの追加出資をまとめて一本にすれば企業投資家としての参加になるので個人投資家のハードルもなくなるし、投資の分配も合同会社なので参加した社員にだけ分配することも当然可能。仮に社員が個人で共同投資の形をとるとしても、社員が最大499名だから私募の範疇に収まるから問題はないだろう。

ちなみに、なぜ499名か。それは事業投資につかう匿名組合も投資事業有限責任組合の投資持分も、そして合同会社の社員持分も、全部、金融商品取引法上、いわゆる第2項有価証券なので、私募の上限が499名。下手な株や債券、投資信託より上限が大きいので都合もいい。

しかも、社員として当初入るのに、後から入ると諸々のトレーニング費用など、と名目で徐々に高くする、といえば慌てて我先に、と入って提灯で釣り上げた案件などに食いつこうとするだろう。

この、秘密結社的で、日本でまだなじみの薄い合同会社のスキームを使えばリターンのより大きいと思われる案件に参加したいと思っている個人をうまく取り籠めるんじゃないか。しかも、そういう投資をしてみたいとメルマガに参加しているわけだからここでもヒットレートは高いだろうし。。。

という事で、そんな投資プラットフォームの勧誘がメールマガジンで配信されているんです。時々。

でも、ちょっと待ってくださいな。

確かに、一度合同会社の社員になれば投資機会も私募の範囲で紹介されるしその範囲で自分の責任で投資すればいい話、ではあるのですが。。。そもそも合同会社の持分をメールマガジンやそれに連動するウェブサイトでその存在を公共の閲覧となるインターネットで知らしめて参加について投資家候補から問い合わさせる、リバース・ソリシテーションを行うのって、実は私募ではなくて公募に当たるんじゃないの?

日本では、金融商品を公共の閲覧に具することで紹介することや、その存在を知らしめて投資家候補から問い合わせをさせることで自ら紹介しないリバース・ソリシテーションも、勧誘行為に当たる、という判断がされています。なので、私募商品が一般的に証券会社の窓口やお店の窓に並んでいない、のです。しかも、今回は自己募集、ですからねぇ。。。お友達とかに資本参加を求めるならまだしも、何人参加しているのかわからないですが、メルマガを通じて不特定多数への声がけって。。。やばいんじゃない?しかも、この投資スキーム、メルマガ曰く、日本の金融商品取引のコンプライアンスを知り尽くした、M&A の名手、とされる人が考えて作り、投資案件もソーシングしてくる、という触れ込みもあるんですが。。。

なんか大丈夫なんですかねぇ。というか、こういう話も世の中でてくるようになってきたんだなぁ、と思うと、パナマ・ペーパーどころじゃないような気がしている著者でした。
常に言いますが、投資は自己責任で。

金商法第63条に基づく適格機関投資家等特例業務を行うファンドの規制変更 – 法規制のバックドアを抜けた先にあるものは?

扉の向こうに待つものは?
扉の向こうに待つものは?
金融商品取引法(以下、略して「金商法」と参照するかもしれません。って、契約書みたい。。。)といえば、日本における金融商品取引の要、と言える法律であり、これに沿って日本の金融行政が動いているわけですが、行政の思惑と、プレイヤーの希望とが常に一致する訳はなく、時として一方的な規制変更、得てして規制強化において
「当局の規制が余計な負担ばかり増やして効率的な業務遂行が出来ない!」
「規制が高すぎて参入出来ない!」
なんて言い訳や恨み節をつい口にしがちなのも事実。

そんな中、その規制の変更に関して業界からの物言いなどのお陰で一旦差し戻しになり、2年掛けてようやく日の目をみる規制変更が、この記事を書いている2016年2月の翌月である3月1日から施行されるものがあるのです。案外当局もちゃんと市井の声を聞くんだ、なんて思ったり(笑)

それが、表題にある金商法第63条に基づく、適格機関投資家等特例業務に対する規制の変更なのですが、事実上規制強化なので色々な形で「困る」という声を聞くのも事実です。あちこちで聞きます。マジで。

でも、個人的にはそれでいいんじゃないの?と思うところも多く、なので、過去の記事においても何度となくこの特例業務に対してそういうバックドア・アプローチの人たちに対して厳しいコメントをしているのはお察しの通りです。ちゃんと読んでくれてれば、そういうお手伝いはしないことはわかっていただけるのですが、どうも世の中には、背景はどうであれファンドを作ってしまえば手数料稼げるからいい、程度に思っていたり、そもそも読まずに問い合わせをしてくる人もいらっしゃるので、なーんか一緒にされてしまっているようでもあることから、ちょっとそのあたりの線引きをする意味も含めて、この記事ではこの点について書いてみようかと思います。

そもそもこの特例業務ってなんのためにあるの?

ファンドを作って、投資家を呼び込んで、その資金を運用する。その一連の流れにおいて、金融業という規制業種においては一人で全部をやることが「出来ません」。

  • 「作る」は法規制等から投資家と運用する人との間の利害関係を調整する役割を果たす「弁護士」さんをはじめ、もしまともなファンドを作るならば、資産管理をする「トラスティ」/「受託銀行」や「ビークルの取締役」とそこに任命された「カストディ」や「銀行」、またその運営の実務を担う「アドミニストレーター」などと一緒に相互監視のもとで作り上げます。
  • 投資家を呼び込むのは、その投資家持分として提供するものによって株式形態か投資信託証券のような第1項有価証券ならば「第1種金融商品取引業者」が、LP持分や匿名組合出資持分などのような第2項有価証券ならば「第2種金融商品取引業者」が、それぞれ投資家に対して商品の説明義務を負いながら勧誘行為を行って、投資家の同意を得て投資してもらうことになります。
  • そして、実際の運用も第三者の資金を、いわゆる善管注意義務を払いながら投資対象を選別して投資することの出来る体制を整えた「投資運用業者」が行うことになります。

上記は日本ではまだ規制業種になっていないものもあります(ファンド・アドミニストレーターがそれに当たります。)が、海外では第三者の投資資金の管理・評価を行うことを重要視して認可制になっているケースが増えていますので、その意味ではどれ一つとして、「自分は出来るんだ!」という根拠のない自信だけで出来るビジネスではないものばかり、と言ってもいいでしょう。

とはいえ、現実を見ると厳しすぎる

ただし、実際にそれぞれの役割について、日本で登録しようとしても、必要となる法人を作り、資本金を準備し、人的資源を配置し、また、事務所を構えて、としたところでやっと登録の受付が行われ、数ヶ月から1年程度の登録のための当局とのやり取りをしている横で、本来やりたい業務が出来ないので収益源がないまま耐えねばならない、というのは実際のところ厳しすぎる、という声が出ても仕方のないところでしょう。
事実、それが新規プレーヤーの参入規制になっているのも事実ですし(言い換えると、既存のプレーヤーは守られている、という見方も出来るのですが。。。)、規制の比較的緩いとされる国(シンガポールですかね。でも、緩かったのを厳しくしたので、さらに緩いラブアンやタイあたりにさらに移動したという話も聞こえてきています。香港はちなみに言う程はゆるくないですよ。)に人が流れたのも隠しようのない現実でもあります。

で、当局はどうしたか

Rule is ruleそこで、二つの方法を提示してきました。一つは、金融商品取引法が導入された 2007年のタイミングから導入されたこの金商法第63条に基づく適格機関投資家向けの特例業務による簡易な規制のレイヤーの導入、もう一つは投資運用業に運用資産などに制限をかけた、いわば lite version の投資運用業の制定、でした。後者はざっくり言えばプロ投資家向けの運用会社の設立を促進して、成功したら、フルスケールの運用会社に登録変更してもらう、という投資運用業の育成の目的が背景にあったのですが、他方で、このコンセプトが合うのがヘッジファンドの運用業者で、プライベート・エクイティのような自らが GP会社になって運用するケースにはそぐわないようで、PE やベンチャーキャピタルはもっぱら前者を使い、正しくリスク評価が出来る機関投資家のようなプロ向けのファンドを組成、募集、運営している、という線引きが出来ていました。

ところで、そもそもこの特例業務って何を指すの?

先ほどの、ファンドの流れを思い出して欲しいのですが、一番肝になるのが、「投資家を呼び込み」、「その資金を運用する」ことでした。金商法が証取法と呼ばれていた時には、自分で会社を作り、自己募集によって投資家を集めて、その会社の取締役としてその判断により資金を自己運用するという建てつけでファンドを運用していたケースが大きかったのです。この特例業務はある意味その延長線上にいて、本来金融商品取引業者の必要なところを自己募集することが出来、投資運用業者が運用するところを自己運用出来るように特例業務の扱いにした、のです。そのため、本来規制の下に置かれるべき役割が規制から外れる以上、投資家側がそのリスクが許容でき、またリスクを判断することの出来る適格機関投資家や、少人数の一般投資家に限定されるようにしたのです。その根底にある考え方は、投資家保護にあるわけです。

でも実際はどうだったの?

この特例業務、前述のようにPEや VC といった、プロしか居られない世界ならば、本来想定した通りの使われ方をしていましたから、そこに問題があったわけではありません。問題だったのは、先ほどの記載にもあった「リスクが許容でき、またリスクを判断することの出来る適格機関投資家や、少人数の一般投資家」の最後、少人数の一般投資家、だったのです。本来の意図としては、プロ同等の経験を持つ運用者個人などを想定していたのですが、金融庁の無登録で金融商品業を行う者の名称等についてにある通り、少人数で想定されている49名を超える一般投資家にアクセスしたりするなど、一度この登録をしたら法規制を逸脱して募集行為を行うことが出来てしまう「バックドア」が出来てしまったのです。その結果、消費者庁を始め、消費者保護団体からこのスキームを使ったファンドによる被害の報告をたくさん受けることとなったのです。

バックドアを閉めるには?

2014年の見直しのためのワーキンググループで一度このバックドアを閉める、すなわち
  • 形式上、適格機関投資家が入ることで特例業務が成立してしまうので、例えば知り合いの同種の投資事業有限責任組合に入ってもらう、とか
  • 入る予定です、といいつつ最終的に入らない、とかのように
本来入るはずだった投資家が入っていない状態を作らないようにする、こともあったのですが、事実上ヘッジファンド用になったプロ向け投資運用業者がプロ投資家だけと仕事するように、PE/VC用の特例業務も適格機関投資家にだけ提供する、くらいの厳しさが必要では、という声すら上がったのは、特例業務を適用するスキームが投資事業有限責任組合か匿名組合といった、一般投資家では理解できないスキームを使い(とはいえ、スキームが難解だから被害が出るわけではないのです。理解できないものの上で理解できない投資をするとなれば、何を理解して投資させたのか説明がつかない、というもっと深い問題になるのです。)被害が発生したと考えれば一般に複雑とされる金融商品に一般投資家を近づけてくれるな、というメッセージが発せられてもおかしくはないのです。

とはいえ、バックドアが必要な人もいる。そして国もまた然り。

とはいうものの、この時の結論はとある一部の人たちから大問題だと声があったのです。それはVCへの投資を行なっている個人投資家や自己投資をファンドへのコミットとして行っていた運用者たちからすれば、VCのようなリスクの極めて高い投資に正しく投資する層がそもそも厚くないのに、その大事な一部すら規制で外されたのでは投資が続けられなくなり、結果として新興企業の育成の妨げになる、のです。当然、国内の事業育成は国の重要課題でもあるわけですから、この声は一般投資家の被害と同じように無視できないものとなり、一度パブリックコメントを受けてそのまま施行、となったはずのものは一度取り下げられて、このいわゆる普通な資力もリスク許容度もない一般投資家を外して保護しながら、リスクの取れる個人投資家をどのように取り込めるか、というものすごく難しい問題に向き合うことになったのです。

結果、来月からどうなるのか?

この同じ個人なのに、リスク許容度の異なる二者を分ける、という問題は
  • ファンドの運用者の関係者
  • 金融資産を1億円以上持ち、証券口座を1年以上保有する個人
  • 業務執行組合員等として投資性金融資産を 1 億円以上保有すると見込まれる個人
を個人が入るときの適格機関投資家以外の投資家の条件としたことで一度妥結したようです。確かに、これなら、ファンドの運用側の関係者ですので、やっていることを理解しているだろう人でしょうし、証券投資の経験が1年以上で金融資産も1億以上であればリスク許容度も高いだろう、という判断になったのでしょう。
この他にも、ベンチャーキャピタル特例、というベンチャーキャピタル投資の特例が導入されたり、投資家保護がなされていない場合には特例業務が認められない、ということで、適格機関投資家に投資事業有限責任組合だけではダメ、とか外国法人も国内に代理人を置くことで逃げられないようにする、などの手当てがなされています。
それ以上に重いのが、届出書の内容の拡充、でしょう。その意味では、本来軽減させるべきところも、ビジネスへのコミットメントをするべく当局等をちゃんと向き合わねばいけない、というメッセージが出てきた、ということなのでしょう。

まとめ

結局、業として特殊性のあるビジネスを行うのが金融業である以上、コストや自分がやりたいタイミングだけの理由で、規制当局と向き合わない方法を選択する、というのは、対外的にはあまり好ましくないメッセージを発している、と理解した方が良いのだと思います。特に投資を過去に何度となくしている適格機関投資家の多くは、多くの運用者を見てきていることを考えれば、法規制の中で事業を行うというのがビジネスへのコミットメントを示している、と解し、逆にそうでないならば、そうでない理由があるだろう、と自然と考えるでしょう。
残念ながら、ヘッジファンドを含む、オルタナティブ投資の世界は以前とは比べ物にならないほど、大きくなり、結果として投資家から institutional player の体制を整えていないならば投資するに能わず、と判断されるのが趨勢です。実際に、特例業務を使ってファンドを運用している人でその先にステップアップできる人はいないわけではないものの、ほとんどおらず、残りは信頼できない、というように見られている、のです。
であれば、ビジネスにコミットして将来大きく運用したい、というのであれば、特例業務のような exemption を武器にすることなく、多くの運用者と同じく、規制と真正面から向き合う、そんな道を進むべきであり、進んでいることを明示すべき、なのだと思います。
そういう人であれば長期にわたって信頼関係を築きながらお手伝いしたい、そう思っておりますのでお声がけください。

今さらだけど、日本で金融商品を募集する方法を改めて確認してみる

投資家さんを集めるのってこんなに和気藹々ではないのですが
投資家さんを集めるのってこんなに和気藹々ではないのですが
恥ずかしいことを一つ。
つい最近まで、拡大少人数私募のプロ投資家の人数制限が250人のままだった、と思い込んでいました(苦笑)多分2007年以降にちゃんと拡大少人数私募を立ち上げていた人ならば、突っ込むところがあれこれある知識だと言わざるを得ないのですが、考えてみれば 2007年以降は公募ファンドにしか縁がなかったなぁ、と思うとこんなことになるんですねぇ。ということで、各国の規制、法制度は日々変わっていくのはケイマンとかジャージーを見ているとよくわかるのですが、まさか日本で。。。ということがあったので、物知り顔でちょっとこのあたりの整理をしてみたいと思います。実際、周りのプロな人たちもこのあたりの話が微妙だったことがちらちら見られたので。。。

本来の私募の定義とは

そもそも、拡大少人数私募、って書きましたけど、それってなあに、から始めた方がよさそうですね。とはいえ、「拡大」って言葉がついているので、そもそも拡大されていない「少人数私募」から言えば、49名までに有価証券の募集が可能となる、日本国内での募集方法のこと、というのがざっくりとした説明になるかと思います(法律に即した表現は後半で。。。)。

よく縁故債とか言われますが、例えば身内だけでお金を集めてビジネスをやろう、というときに、その資金調達方法に上場株式や公募投信のような高度な規制と要件を求めると無駄な時間と労力がかかりますし、投資先の内容とかリスクとか(リスクは微妙か。。。)は分かっているよね?身内とか近しい人とか、少人数だから別途膝を交えて話してるよね?という前提のもとで、募集のための法的要請を減らしましょう、という制度が「私募」の中でも「少人数私募」の意図するところ、のようです。

気づいたら2007年までの世界では

で、これを「拡大」しよう、というのは、投資を生業としているような人と、普通の人とを分けて考えたときに、普通な人はもし何かあった時の影響を49人に留められるならば良しとするけれども、投資を生業としている人ならば、リスクとかよく理解できるわけだから公募投信ほどの保護をする必要もないので、普通な人を横において、それなりの人数まで投資できるようにしてあげるのもいいのでは、と考えたと思われる結果、投資を生業としている「適格機関投資家」は 250人まで、普通な人、言い換えると「適格機関投資家ではない人」は 49人まで、それぞれ投資できるように「少人数私募」を「拡大」しよう、としたのが、この「拡大少人数私募」という制度「でした」。

そうなんで、調べたら「でした」になっていたのです。しかもなんと2007年に証券取引法が金融商品取引法に変更されたタイミングで。。。

今時の世界では

では、今現在、金融商品取引法上はどうなっているか、というと、該当する第2条3項を丸ごと引用するならば。。。

この法律において、「有価証券の募集」とは、新たに発行される有価証券の取得の申込みの勧誘(これに類するものとして内閣府令で定めるもの(次項において「取得勧誘類似行為」という。)を含む。以下「取得勧誘」という。)のうち、当該取得勧誘が第一項に掲げる有価証券又は前項の規定により有価証券とみなされる有価証券表示権利若しくは特定電子記録債権(次項及び第六項、次条第四項及び第五項並びに第二十三条の十三第四項において「第一項有価証券」という。)に係るものである場合にあつては第一号及び第二号に掲げる場合、当該取得勧誘が前項の規定により有価証券とみなされる同項各号に掲げる権利(次項、次条第四項及び第五項並びに第二十三条の十三第四項において「第二項有価証券」という。)に係るものである場合にあつては第三号に掲げる場合に該当するものをいい、「有価証券の私募」とは、取得勧誘であつて有価証券の募集に該当しないものをいう。

 多数の者(適格機関投資家(有価証券に対する投資に係る専門的知識及び経験を有する者として内閣府令で定める者をいう。以下同じ。)が含まれる場合であつて、当該有価証券がその取得者である適格機関投資家から適格機関投資家以外の者に譲渡されるおそれが少ないものとして政令で定める場合に該当するときは、当該適格機関投資家を除く。)を相手方として行う場合として政令で定める場合(特定投資家のみを相手方とする場合を除く。)
 前号に掲げる場合のほか、次に掲げる場合のいずれにも該当しない場合
 適格機関投資家のみを相手方として行う場合であつて、当該有価証券がその取得者から適格機関投資家以外の者に譲渡されるおそれが少ないものとして政令で定める場合
 特定投資家のみを相手方として行う場合であつて、次に掲げる要件のすべてに該当するとき(イに掲げる場合を除く。)。
(1) 当該取得勧誘の相手方が国、日本銀行及び適格機関投資家以外の者である場合にあつては、金融商品取引業者等(第三十四条に規定する金融商品取引業者等をいう。次項、第四条第一項第四号及び第三項、第二十七条の三十二の二並びに第二十七条の三十四の二において同じ。)が顧客からの委託により又は自己のために当該取得勧誘を行うこと。
(2) 当該有価証券がその取得者から特定投資家等(特定投資家又は非居住者(外国為替及び外国貿易法 (昭和二十四年法律第二百二十八号)第六条第一項第六号に規定する非居住者をいい、政令で定める者に限る。)をいう。以下同じ。)以外の者に譲渡されるおそれが少ないものとして政令で定める場合に該当すること。
 前号に掲げる場合並びにイ及びロに掲げる場合以外の場合(当該有価証券と種類を同じくする有価証券の発行及び勧誘の状況等を勘案して政令で定める要件に該当する場合を除く。)であつて、当該有価証券が多数の者に所有されるおそれが少ないものとして政令で定める場合
 その取得勧誘に応じることにより相当程度多数の者が当該取得勧誘に係る有価証券を所有することとなる場合として政令で定める場合

普通は、なんのこっちゃ、ですよね。特に金融商品取引法はいろいろなことの積み上げで出来ているので仕方ないと言えば仕方ない、ですが。。。でも、読み解かないといけないので、やりましょう。

条文を読み解いていく

まず、最初。のっけから長いですが、バラしながら読むと。。。

「有価証券の募集」とは、新たに発行される有価証券の取得の申込みの勧誘(これに類するものとして内閣府令で定めるもの(次項において「取得勧誘類似行為」という。)を含む。以下「取得勧誘」という。)のうち、

  • 当該取得勧誘が第一項に掲げる有価証券又は前項の規定により有価証券とみなされる有価証券表示権利若しくは特定電子記録債権(次項及び第六項、次条第四項及び第五項並びに第二十三条の十三第四項において「第一項有価証券」という。)に係るものである場合にあつては第一号及び第二号に掲げる場合、
  • 当該取得勧誘が前項の規定により有価証券とみなされる同項各号に掲げる権利(次項、次条第四項及び第五項並びに第二十三条の十三第四項において「第二項有価証券」という。)に係るものである場合にあつては第三号に掲げる場合

に該当するものをいい、

「有価証券の私募」とは、取得勧誘であつて有価証券の募集に該当しないものをいう。

。。。とりあえず、有価証券の募集に当たらない取得勧誘行為をすると、私たちが先ほど古い考え方で検討した私募に当たる、ということがわかります。じゃあ、有価証券の募集って何よ、となるわけですが、まず

新たに発行される有価証券の取得の申込みの勧誘

ということなので、既に発行されている有価証券の譲渡による取得(セカンダリーマーケットでの売買)は含まれない、ということですね。まぁ、ファンドの場合(例外を除くと)通常、ファンドに持ち分を新規で発行してもらうことで取得しますので、継続的に募集なり私募なりしていることになるわけです。で、そんな勧誘行為もろもろをひっくるめて「取得勧誘」と呼ぶそうですが、その中でもある条件だと、引用の後段にあった第一号と第二号に当たる場合、もう一つの条件だと第三号に当たる場合、だと募集に当たってしまう、らしい。じゃあ、それぞれの条件とは何か、というと、最初の方は

第一項に掲げる有価証券又は前項の規定により有価証券とみなされる有価証券表示権利若しくは特定電子記録債権(次項及び第六項、次条第四項及び第五項並びに第二十三条の十三第四項において「第一項有価証券」という。)

と、この商売をやっている人が時々使いますね、第一項有価証券。いわゆる金融商品取引業者の中でも上場株式とか国債とか、社債とか、投信とか、リース債権流動化商品とか、あと、このあたりが、券面不発行で投資家の管理が電子化されているもの、あたりの、いわゆる流動性の高い有価証券を扱える第一種の取引業者さん達が扱えるもの、をひっくるめていうのですが、その時には第一号と第二号を参照、らしい。じゃあ、その第一号とは何か、というと

 多数の者(適格機関投資家(有価証券に対する投資に係る専門的知識及び経験を有する者として内閣府令で定める者をいう。以下同じ。)が含まれる場合であつて、当該有価証券がその取得者である適格機関投資家から適格機関投資家以外の者に譲渡されるおそれが少ないものとして政令で定める場合に該当するときは、当該適格機関投資家を除く。)を相手方として行う場合として政令で定める場合(特定投資家のみを相手方とする場合を除く。)

ふむふむ。多数の者、という定義がどこかでされるのですが、それは調べるとして、その多数の者を相手方として取得勧誘する場合として「政令で定める場合」、ただし、

(適格機関投資家(有価証券に対する投資に係る専門的知識及び経験を有する者として内閣府令で定める者をいう。以下同じ。)が含まれる場合であつて、当該有価証券がその取得者である適格機関投資家から適格機関投資家以外の者に譲渡されるおそれが少ないものとして政令で定める場合に該当するときは、当該適格機関投資家を除く。)

ということは、多数の者に適格機関投資家はカウントしないのね。あと、

(特定投資家のみを相手方とする場合を除く。)

とあるから、特定投資家という人たちのみを相手にする場合も外れるということなのね。というのがわかります。となると、じゃあ、「多数の者」に対する取得勧誘で「政令で定める場合」を見る必要があるのですが、それぞれまた、引用するなら実は一つでまとまっていて

(金融商品取引法施行令)第一条の五法第二条第三項第一号に規定する多数の者を相手方として行う場合として政令で定める場合は、五十名以上の者を相手方として有価証券の取得勧誘を行う場合とする。

なのです。ん?50人以上?だから私募は49人まで、という数字が出てくるんですね。ということは、50人以上への取得勧誘を行う場合が募集に当たる、49人まで(ただし適格機関投資家の数は含まない)は募集ではなくて私募、というようなイメージが出てきます。ん?募集、って公募、だよね。。。でも、第二号も読まないといけない。なんだっけ。。。

 前号に掲げる場合のほか、次に掲げる場合のいずれにも該当しない場合
 適格機関投資家のみを相手方として行う場合であつて、当該有価証券がその取得者から適格機関投資家以外の者に譲渡されるおそれが少ないものとして政令で定める場合
 特定投資家のみを相手方として行う場合であつて、次に掲げる要件のすべてに該当するとき(イに掲げる場合を除く。)。
(1) 当該取得勧誘の相手方が国、日本銀行及び適格機関投資家以外の者である場合にあつては、金融商品取引業者等(第三十四条に規定する金融商品取引業者等をいう。次項、第四条第一項第四号及び第三項、第二十七条の三十二の二並びに第二十七条の三十四の二において同じ。)が顧客からの委託により又は自己のために当該取得勧誘を行うこと。
(2) 当該有価証券がその取得者から特定投資家等(特定投資家又は非居住者(外国為替及び外国貿易法 (昭和二十四年法律第二百二十八号)第六条第一項第六号に規定する非居住者をいい、政令で定める者に限る。)をいう。以下同じ。)以外の者に譲渡されるおそれが少ないものとして政令で定める場合に該当すること。
 前号に掲げる場合並びにイ及びロに掲げる場合以外の場合(当該有価証券と種類を同じくする有価証券の発行及び勧誘の状況等を勘案して政令で定める要件に該当する場合を除く。)であつて、当該有価証券が多数の者に所有されるおそれが少ないものとして政令で定める場合

。。。長い。しかもいろいろなケースがある。。。バラすか。とりあえず、

前号に掲げる場合のほか、次に掲げる場合のいずれにも該当しない場合

いろいろなケースがあるけど、前号に該当しないで、かつそれに当たらない場合が募集で、当たっちゃうと私募になるなのね。って何があるのやら。。。まず

 適格機関投資家のみを相手方として行う場合であつて、当該有価証券がその取得者から適格機関投資家以外の者に譲渡されるおそれが少ないものとして政令で定める場合

ん?適格機関投資家にのみ相手方とするし、仮に有価証券が譲渡されるとしても適格機関投資家にのみ譲渡されるような仕組みであれば、募集/公募に該当しない、のか。って、これ、いわゆるプロ私募 (QII-only) じゃない。次は。。。

 特定投資家のみを相手方として行う場合であつて、次に掲げる要件のすべてに該当するとき(イに掲げる場合を除く。)。
(1) 当該取得勧誘の相手方が国、日本銀行及び適格機関投資家以外の者である場合にあつては、金融商品取引業者等(第三十四条に規定する金融商品取引業者等をいう。次項、第四条第一項第四号及び第三項、第二十七条の三十二の二並びに第二十七条の三十四の二において同じ。)が顧客からの委託により又は自己のために当該取得勧誘を行うこと。
(2) 当該有価証券がその取得者から特定投資家等(特定投資家又は非居住者(外国為替及び外国貿易法 (昭和二十四年法律第二百二十八号)第六条第一項第六号に規定する非居住者をいい、政令で定める者に限る。)をいう。以下同じ。)以外の者に譲渡されるおそれが少ないものとして政令で定める場合に該当すること。

って、そもそも、特定投資家って、さっきから出てきてるけど、なんだっけ。。。また引用すると結構面倒なので、金融庁のホームページでまとめたものがあるから見ていただきたいのですが。。。適格機関投資家のようなプロから個人でもかなりの金融資産と証券投資の経験の多い人から、結構幅が広い人を対象にしてますね。で、そんな、ある意味裾野の広い「プロ」達の間でだけ流通するような仕組みがあって、かつ一般投資家(アマチュア)になりたくてもなれない人以外に対する取得勧誘行為が証券会社の立場で言うなら相手からのリクエストによるものもしくは「自己のために取得勧誘を行う」って自社の証券の勧誘の場合ということ、なんでしょうねぇ、という条件を満たすと、これも募集/公募に該当しないのか。適格機関投資家の場合に比べてちょっと制限がありますよねぇ。

なんて、思っていたら、実は、この特定投資家向けですが、参照条文等の詳細をちょっと割愛するのですが、投資家への告知義務が金融商品取引法とそれが参照する特定有価証券開示府令、そして、それがさらに参照する金商法の発行体情報の提供と公示のルールを決めていて、って、実はその決めているのが「証券情報等の提供または公示に関する内閣府令」にさらに参照が飛んで、結果、何を言っているかというと、東京証券取引所のプロ向け市場(旧 Tokyo AIM / 現 Tokyo PRO Market)に上場しているものだけが該当する、という仕組みになっているのです。ということは。。。特定投資家向け私募の仕組みってのはこのプロ向け市場のためだけにある、ということなのですねぇ。

ということで、あと一つ、条件が残ってましたね。

 前号に掲げる場合並びにイ及びロに掲げる場合以外の場合(当該有価証券と種類を同じくする有価証券の発行及び勧誘の状況等を勘案して政令で定める要件に該当する場合を除く。)であつて、当該有価証券が多数の者に所有されるおそれが少ないものとして政令で定める場合

って、また政令にお伺いしなければならない。最初の政令で定める要件って何かというと、例の施行令でして。。。

第一条の六法第二条第三項第二号 ハに規定する政令で定める要件は、当該有価証券の発行される日以前六月以内に、当該有価証券と同一種類の有価証券として内閣府令で定める他の有価証券(その発行の際にその取得勧誘が同号イに掲げる場合及び第二条の十二に規定する場合に該当するものであつた有価証券並びにその発行の際にその取得勧誘が有価証券の募集に該当し、かつ、当該有価証券の募集に関し法第四条第一項 の規定による届出又は法第二十三条の八第一項法第二十七条 において準用する場合を含む。)に規定する発行登録追補書類の提出が行われた有価証券を除く。以下この条において「同種の新規発行証券」という。)が発行されており、当該有価証券の取得勧誘を行う相手方(当該有価証券の取得勧誘を行う相手方が適格機関投資家であつて、当該有価証券が第一条の四に定める場合に該当するときは、当該適格機関投資家を除く。)の人数と当該六月以内に発行された同種の新規発行証券の取得勧誘を行つた相手方(当該同種の新規発行証券の取得勧誘を行つた相手方が適格機関投資家であつて、当該同種の新規発行証券が第一条の四に定める場合に該当するときは、当該適格機関投資家を除く。)の人数との合計が五十名以上となることとする。

長いので要約すると、新規募集のはずだけど同種の有価証券を過去6か月以内に発行していて(同種の新規発行証券って、やつね)、この過去のものと今回のものの取得勧誘相手が合計50人以上になる場合(ただし、イケメンは除く適格機関投資家は除く)、ということらしい。ということは、仮に同種の新規発行証券であっても、6か月以上間が空けば許してもらえるか、というと。。。次の政令のお言葉を聞くならば。。。(これも長いんだよねぇ。。。)

第一条の七法第二条第三項第二号 ハに規定する政令で定める場合は、次に掲げる全ての要件に該当する場合とする。
 当該取得勧誘が特定投資家(法第二条第三十一項 に規定する特定投資家をいう。以下同じ。)のみを相手方とし、かつ、五十名以上の者(当該者が適格機関投資家であつて、当該取得勧誘に係る有価証券が第一条の四に定める場合に該当するときは、当該者を除く。)を相手方として行う場合でないこと。
 次のイからハまでに掲げる有価証券の区分に応じ、当該イからハまでに定める要件に該当すること。
 株券等 次に掲げる全ての要件に該当すること。
(1) 当該株券等の発行者が、当該株券等と同一の内容(株式(優先出資法 に規定する優先出資及び資産流動化法 に規定する優先出資を含む。)若しくは出資に係る剰余金の配当、残余財産の分配、利益を用いて行う出資の消却又は優先出資法第十五条第一項 (第二号に係る部分に限る。)の規定による優先出資の消却についての内容に限る。)を表示した株券等であつて法第二十四条第一項 各号(法第二十七条 において準用する場合を含む。)のいずれかに該当するものを既に発行している者でないこと。
(2) 当該株券等と同一種類の有価証券として内閣府令で定めるものが特定投資家向け有価証券でないこと。
 新株予約権証券等 次に掲げる全ての要件に該当すること。
(1) 当該新株予約権証券等に表示された権利の行使により取得され、引き受けられ、又は転換されることとなる株券の発行者並びに当該株券、新株予約権証券及び新投資口予約権証券がそれぞれイ(1)及び(2)に掲げる要件に該当すること。
(2) 当該新株予約権証券等(新株予約権証券及び新投資口予約権証券を除く。以下ロにおいて同じ。)の発行者が、当該新株予約権証券等と同一種類の有価証券として内閣府令で定めるものであつて法第二十四条第一項 各号(法第二十七条 において準用する場合を含む。)のいずれかに該当するものを既に発行している者でないこと。
(3) 当該新株予約権証券等と同一種類の有価証券として内閣府令で定めるものが特定投資家向け有価証券でないこと。
(4) 当該新株予約権証券等(当該新株予約権証券等が新優先出資引受権付特定社債券である場合であつて、特定社債券と分離して新優先出資引受権のみを譲渡することができるときは、当該特定社債券及びこれとともに発行される新優先出資引受権証券)に、内閣府令で定める方式に従い、これを取得し、又は買い付けた者(当該者が適格機関投資家であつて、当該新株予約権証券等が第一条の四に定める場合に該当するときは、当該適格機関投資家を除く。)が当該新株予約権証券等を一括して他の一の者に譲渡する場合以外の譲渡が禁止される旨の制限が付されていることその他これに準ずるものとして内閣府令で定める要件に該当すること。
 イ及びロに掲げる有価証券以外の有価証券 次に掲げる全ての要件に該当すること。
(1) 当該有価証券の発行者が、当該有価証券と同一種類の有価証券として内閣府令で定めるものであつて法第二十四条第一項 各号(法第二十七条 において準用する場合を含む。)のいずれかに該当するものを既に発行している者でないこと。
(2) 当該有価証券と同一種類の有価証券として内閣府令で定めるものが特定投資家向け有価証券でないこと。
(3) ロに準じて内閣府令で定める要件に該当すること。

。。。長すぎる。。。面倒だから要約すると

  1. 特定投資家向けであって、かつ適格機関投資家以外の特定投資家が50人未満であること
  2. 株と新株予約権証券等は対象外

なので飛ばして、、のそれ以外にある、投資信託とかについては、発行体が金商法第24条第1項各号に該当するものを発行していないこと、特定投資家向けでないこと、などなど、って感じで、金商法第24条第1項各号はというと

 金融商品取引所に上場されている有価証券(特定上場有価証券を除く。)
 流通状況が前号に掲げる有価証券に準ずるものとして政令で定める有価証券(流通状況が特定上場有価証券に準ずるものとして政令で定める有価証券を除く。)
 その募集又は売出しにつき第四条第一項本文、第二項本文若しくは第三項本文又は第二十三条の八第一項本文若しくは第二項の規定の適用を受けた有価証券(前二号に掲げるものを除く。)
 当該会社が発行する有価証券(株券、第二条第二項の規定により有価証券とみなされる有価証券投資事業権利等その他の政令で定める有価証券に限る。)で、当該事業年度又は当該事業年度の開始の日前四年以内に開始した事業年度のいずれかの末日におけるその所有者の数が政令で定める数以上(当該有価証券が同項の規定により有価証券とみなされる有価証券投資事業権利等である場合にあつては、当該事業年度の末日におけるその所有者の数が政令で定める数以上)であるもの(前三号に掲げるものを除く。)

なので、まぁ、上場有価証券とそれに類するもの、というイメージでしょうか。書いていてだんだん面倒なのが読み取って頂けると思うのですが。。。

ざっくり言えば、適格機関投資家向け私募、特定投資家向け私募(ただし Tokyo PRO Market だけ)、あと適格機関投資家出ない人が49人まで(適格機関投資家の数はカウントしない)私募、以外は公募になる、と思った方がよい、ということのようです。

ん?そうなると、いわゆる少人数私募と拡大少人数私募の境目がなくなり、かつ適格機関投資家の数は制限なし、ということになっていた、のですね。あら。

そうすると、適格機関投資家向け私募と、私募との違いはプロじゃない人が49人入るのかどうか、でしかない、のだから、適格機関投資家向け私募っていらないんじゃないの?という気分になりますよね。でも、ファンドの観点から言うと、残しておきたいんですよねぇ。投信法の都合上、適格機関投資家向け私募だと運用報告書の交付が不要という取り扱いが出来るので。。。

ということで、綺麗に整理がついたかな?

ん?何か一つ忘れてないか?

あ、あれだ。。。

  • 当該取得勧誘が前項の規定により有価証券とみなされる同項各号に掲げる権利(次項、次条第四項及び第五項並びに第二十三条の十三第四項において「第二項有価証券」という。)に係るものである場合にあつては第三号に掲げる場合

そう、第二項有価証券のときのお話。何が入るかというと、引用すると面倒なのでまとめると、信託受益権、合同会社の社員権(持ち分みたいなもの)、匿名組合や投資有限責任組合の投資持ち分、というところ。これらは流動性が低いので、第二種金融商品取引業者が取り扱える、という仕切りにもなっていますが、これらについては、第三号の場合、って。。。これか。

 その取得勧誘に応じることにより相当程度多数の者が当該取得勧誘に係る有価証券を所有することとなる場合として政令で定める場合

て、また政令のお告げ。じゃあ、また施行令から引用するなら

第一条の七の二  法第二条第三項第三号 に規定する政令で定める場合は、その取得勧誘に係る有価証券を五百名以上の者が所有することとなる取得勧誘を行う場合とする。

そう、投資有限責任組合とか匿名組合だと、49人縛りじゃなくて 499人縛り。いいのか?

実際、これと、金融商品取引法第63条の適格機関投資家向け特例業務の規定を組み合わせることで、

適格機関投資家を一人入れれば、運用等のライセンスを持たなくとも匿名組合や投資有限責任組合を運用し、合計499名までの(個人)投資家を入れることが可能になる

ことになるので、詐欺行為の温床になる、と消費者団体からは突き上げをくらい、とはいえ、ベンチャーキャピタル投資業界からは、それがなくなったり個人投資家に対する保有資産等の条件がつくとベンチャーキャピタル投資をする個人投資家がいなくなるので困る、という痛しかゆしの状況が出来てしまっているのです。

ということで、いろいろとなかなか難しい話ですが、いろいろなケースを想定しながら法律を作るのも大変なんだろうなぁ、おかげで読むほうが大変なんだけど、という話の結論でしょうか。。。

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